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定められた物語<ログストーリー>  作者: 霖雨 晴流
第一章 自由都市と言霊
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Rb.4 リベルタージュの国王

(国王に呼び出され、何か重大な任務が課されると思っていたが……)


 大きな噴水の前で、二菜は元気に言った。


「よ~っし!それじゃ、今から零とたっくさん遊ぶぞ~!!!」

「「いっえ~い!!!」」


(な、なぜこんな事に………!?)


 それはさかのぼる事1時間前、正哉が零と力斗にリベラ王からの伝令を伝えた直後の時である。


「どうやら僕達が選ばれた数字(ポインター)である事がリベラ王の耳に届いたみたいでね、急ぐ必要はないけれどできれば今すぐ来てほしいとのことだよ。」

「なるほど。選ばれた数字(ポインター)って王が呼び出しをするほどすごい人なのか?」

「詳しい事はわからないけれど、噂によるとその国で困っている事は選ばれた数字(ポインター)がいれば必ず解決できるそうだよ。」

「その国で困っている事……?例えばどんな事だ?」

「わからないね……あくまで噂だから、本当かどうかはわからない。でも、選ばれた数字(ポインター)は強大な力を持っていると辞典に書いてあったから、選ばれた数字(ポインター)がいる国にとって選ばれた数字(ポインター)は困っている事を解決できる手段の一つなのかもしれないね。」

「手段の一つ、か……」

「あ、あのー…ちょっと、会話のしやすい場所に移動しない?ここだと、少し目立っているというか……」


 二菜が困ったような顔で言う。


「そうだな。それに、知らない顔が二人いるしな。どこかに座って話そうぜ。」


 零、力斗。二菜、正哉、男女二人は、近くにあった四角のテーブルを囲むように座った。


「まずは自己紹介からだね。僕と二菜はすでにしてあるから省くよ。こっちは有栖川 零。選ばれた数字(ポインター)の『0』だ。そしてこっちは一ノ瀬 力斗。同じく選ばれた数字(ポインター)の『1』だ。」

「よろしく。」

「よろしくな!」


 明るい黄色のショートポニーテールとウサギのような長い耳が特徴の軽装の女性と薄暗い緑色のメッシュがかかった黄緑色の波のようにうねる短い髪とタヌキのような丸い耳が特徴の右目に眼帯を付けた男性は何も言わず二人を見る。


「さて、三奇と四炉の紹介は…」


 正哉が言い切る前に、突然男性は立ち上がり、指のない手袋をはめた右手を左肘に当て、同じく指のない手袋をはめた左手で右目を隠すポーズをとる。そして裾が少しボロボロになった黒コートを身にまとい、声を低くして言う。


「我が名は 術勢 四炉(じゅつせ しろ) 。万象の姿をわが身に宿す一族であり、万物の攻撃魔法の使い手、そして同時に…君達と同じ選ばれし数字の者でもある。運命に導かれ、こうして巡り合えた事、とても光栄に思う。さぁ、これから共に歩もうじゃあないか。世界を支配せんとする、憎き魔王の討伐へと!」


 突然始まった痛々しい自己紹介に、零と力斗は固まり、四炉の隣に座る皮の肩当てと胸当て、そしてチョーカーを着けた女性は白いボードにペンを走らせ、書き終わると零と力斗に見せる。


【僕の名前は 術勢 四炉(じゅつせ しろ) 。攻撃魔法が得意な狸族の魔法使いで、君達と同じ選ばれた数字(ポインター)だよ。君達に会えてとても嬉しいよ。これから一緒に魔王の討伐頑張ろうね!】

「「わかるかっ!!」」


 二人は声をそろえてツッコミを入れた。女性は書いた文章を一度消し、別の内容を書き始め、再び二人に見せる。


【そして私は兎族の 速水 三奇(はやみ さき) !君達と同じ選ばれた数字(ポインター)で、隠密行動や罠の設置が得意な盗賊だよ!あ、ちなみに四炉は姿を変える魔法を持っていないし、そのような魔法を持っている人は多分いないから、安心してね!】


 三奇と四炉の独特な話し方に二人は頭が追い付かず、固まったままでいる。


「あー……えぇと……大丈夫かい?」

「えーーーーーーーーーっと…………ちょっと待って……今頑張って状況を理解しようとしてるところだから……」


 零は数秒頭を抱える。


「……よし、何とか理解はできた。それで、聞きたいことがあるんだけど……」


 零が話す間、三奇は未来を読んだかのようにペンを走らせ、ボードをダンッ!と音を立てて見せる。


【私、生まれつき声帯がなくて、しゃべられないんだ。だからボードとペンで会話しているんだ。時と場合によってはジェスチャーで伝えるから、頑張って理解してね!四炉の話し方は……まぁ、あまり気にしないでいてくれると嬉しいかな。】

「わ、分かった……」

「さて、自己紹介も終わったことだし、これから城に行こうか。」

「そうね。リベラ王を待たせるわけにはいかないしね。」

【それじゃ、しゅっぱーーーーつ!!】


 六人は都市の中央にある城へ向かった。




 六人が城の前に到着すると、零は城の頂上を見上げて固まる。


「零、どうしたの?」

「いや、大きすぎないかと思って……」

(高さは何メートルあるんだ……?城の扉でさえ三メートルはあるぞ……!?)

「そこにいる六人、止まれ!」


 城の扉の両端に立つ四人の兵士の中で1番右にいる兵士が柄に手を置いて威嚇するような声で言い、六人の前に立つ。


「全員横に並べ!」


 六人は兵士の言う通りに並ぶ。


「お前達は何者だ。」

「僕達はリベラ王から招待を受けてきました。」


 正哉の言葉に兵士は「招待…?」と疑問に思うような素振りを見せる。


「もしや、選ばれた数字(ポインター)の方々か?」

「はい。」


 正哉の答えに、兵士は柄から手を離し、敬礼する。


選ばれた数字(ポインター)の方々でしたか。これは失礼しました。念の為、冒険者カードを見せていただいても?」


 六人は冒険者カードを出し、兵士に見せる。


「はい、確かに確認しました。今から扉を開けますのでしばしお待ちを。」


 兵士は他の兵士に合図を送り、四人で大きな扉を開ける。


「では、お通りください。」

「ありがとうございます。」


 六人は城の中の大広間に入った。大広間はとても広く、扉の反対にある壁でさえかなり遠く感じるほどに広かった。


「すごく広いな……冒険者ギルドよりも広いんじゃないか?」

「確かに、ギルドより広く感じるわ……」

「ここを掃除するのに何時間かかっているんだろうね。」

「気にするところそこ?」


 零達が会話していると、一人のメイドが六人の前に立ってお辞儀をする。


「お待ちしておりました。有栖川 零様、九十九 正哉様、一ノ瀬 力斗様、御守 二菜様、速水 三奇様、術勢 四炉様。国王様がお待ちです。案内いたします。」

【つ、ついにこの時が………!!緊張する……!!】


 三奇は五人にボードを見せるが、緊張のせいか文字がガタガタになっていた。


(城を破壊する力をもつ王様………一体どんな方なのか……)

「おっとぉ!!案内する必要はないぞ!!!」


 突然、上から大きな声が響く。メイドを含め七人が上を向くと、真上から大柄の男性が降ってきた。


「えぇっ!?ちょっ!!!」

「よーいしょっっっっとぉぉぉぉぉ!!!」


 男性は着地し、床の一部を破壊する。金色の刺繍が施された表は黒色、裏は赤色の王衣を着た男性は平然と立ち、仁王立ちする。


「はーーーはっっはっっはぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!よぉくぞ来てくれた選ばれた数字(ポインター)達よ!!!!この国の民ならもうすでに分かっているとは思うが、私はリベルタージュノ王 リベラ・サオン・マジア である!!!わざわざ来てもらったのにメイドに案内を任せるのは悪いと思ってなぁ!!!私が上から飛んできたということだ!!!よろしく頼むぞ!!!」


 迫力がすさまじく、豪快な男性の声が六人の全身に響く。元気いっぱいのリベラ王からは、声を出すだけで衝撃波のようなものが出ていた。力斗や正哉は平然としていたが、ほかの四人は少し後ずさりした。


「挨拶をするだけでこの迫力………何の魔法なんだ……!?」

「いや、リベラ王は魔法を使わないお方だ。素の力で衝撃波を出しているんだよ。」

「素の力で!?どこをどう鍛えたらそうなるんだよ!?」

「む?私から放たれるこの力について気になるか?まぁ私は君達とは体質が異なっているのでな。この力は特殊な体質によるものなのだ。」

「特殊な体質……?」

「あぁ、そういうものだと思ってくればいい。」

「わかりました。ところで、どうしてリベラ王様がここに来られたのですか?」

「リベラ王でかまわんぞ!私がここに来た理由か。いくつか理由はあるが、やはり一番の理由となるのは選ばれた数字(ポインター)に早く会いたかったからなのだ。」

「っ!?皆、俺の後ろに隠れろ!」

「えっ、どうして?」

「いいから早く!吹っ飛ばされるぞ!」


 力斗はこそこそ言い、零、二菜、三奇、四炉は力斗と正哉の後ろに隠れる。


「約一時間前、冒険者ギルドから選ばれた数字(ポインター)が現れたと聞いて、ようやく現れたかと思い、こうして実際に会える日を待ち望んでいたのだ。」


 リベラ王は体を動かし、筋肉が少しずつ膨張し始めた。


「そしてこの時、最初はメイドに頼んで最上階にある王室まで案内してもらおうと思っていたが!ここから王室まで距離がある!なので!」


 リベラ王がボディビルポーズをする。


「私が!」


 リベラ王が別のボディビルポーズをする。


「長い時間に待ちきれず!」


 リベラ王が再び別のボディビルポーズをする。


「ここにやってきたというわけだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」


 リベラ王がさらに別のボディビルポーズをした途端、リベラ王から衝撃波が放たれ、壁にひびが入った。


「ちょっ!?な、なにこれ!?」

「俺にしがみつけ!一瞬でも気を抜くと吹っ飛ばされるぞ!!」

「くっ…………!!」


 衝撃波が止み、リベラ王が落ち着く。


「む、またやってしまった……すまないな。私は気が高揚するとポーズをとり、衝撃波を放ってしまう癖があるのだ。何度も抑えようとはしているが、なかなかうまくいかなくてな。今日もすでに二回王室を壊してしまったのだ。」

(あの時の爆発はそういうことだったのか……威力高すぎるだろ……!?)


 零は心の中で叫ぶ。零はふとメイドのほうへ向くと、メイドはまるで何もなかったかのように立っていた。


(あの衝撃波を直に受けても平然と立っているなんて……リベラ王に仕えてるだけあるな……)

「さて、それではここからは私が案内しよう。メイドは他の仕事に行ってきてくれ。」


 リベラ王が命令すると、メイドは「かしこまりました。」と言ってその場を去った。


「リベラ王、床と壁は直さなくて大丈夫なんですか?」

「あぁ、大丈夫だ。後で土魔法を使える兵士が直してくれる。壁や床が壊れるなんて日常茶飯事の事だからな。土魔法が使える兵士が多いのだ。」

「そうなんですね………」


 六人とリベラ王は王室に向かって移動し始めた。階段を昇り、王室に向かう途中、零は移動しながら窓越しに見える街の風景に見惚れていた。


「きれいで平和な街並みだろう?風景は異なるが、どの窓から見てもすべて美しい街並みが見えるのだ。」

「そうですね…何時間も見ていられます。」

「そうか。実はだな、190年程前は全く平和ではなかったのだ。むしろ、毎日誰かが殺し、殺される。そんな無法地帯のような都市だったのだ。」

「えっ!?そうなんですか!?」

「あぁ。犯罪が絶えない国だったリベルタージュを自由で平和な国に変えてくれたのが私の先祖様なのだ。私の先祖様は親友と二人で革命を起こし、新たな法、新たな都市を創り上げた。当時は六つの都市にわかれていたんだがな、一つ一つの都市に移動するのが面倒で、私が一つの都市にまとめたのだ。」

「六つの都市を一つに……だからこんなに広いんですか?」

「そうだな。ただでさえ都市は大きいのに、それを六つから一つにまとめる仕事は骨が折れたぞ……」

「どうやって一つの都市にまとめたんですか?」

「簡単だぞ?あそこに城壁があるだろう?あれをひっぺがして置きたい場所に投げたのだ。」

「城壁を……ひっぺがす…………えっ?」


 零は目を丸くする。


「そしてそのあと解体した家などを集めて目的地に投g」

「ちょちょちょ!ちょっと待ってください!あれを投げたんですか!?すごく大きいですよ!?」

「投げたぞ。肩を酷使したからな。翌日筋肉痛になった。はははははは!!!!」

「いや全然笑い事じゃないですよ!?城壁を投げるって、どんだけ力持ちなんですか!?」

「零、一見嘘のように聞こえるけれど、全部本当なの。実際その様子を見た人も多数いるし、歴史にも載っているわ。」

「いや、でも、えぇ…………」


 零は言葉を失う。


「信じるか信じないかは君次第だが、都市一体化令を出した時、その命令に反対する者も多くいた。その中で、特に猛反対していた人がいた。」

「 イロカ・ヴァレ 。元騎士団長の方ですよね。」


 リベラ王の話に続いて二菜が言う。


「そうだ。彼女はリベルタージュでもっとも有名で人気な騎士だった。だが、その命令には反対し、デモを起こした。私はどうにか彼女に折衷案を出して説得したのだが、それでも、彼女は命令に賛同しなかった。やがて、彼女は騎士団長を辞めてしまったのだ。」

「そうなんですね……」

「当然、騎士団長の辞任に悲しむ人が多くいた。勇敢で人望が厚い方を、もう見る事ができないと嘆く人もいた。しかし翌年、ある大事件が起きる。」


 リベラ王が話していると、王室の前に到着した。


「続きは王室に入ってからにしよう。さぁ、入りたまえ。」


 リベラ王は扉を開けた。王室は大広間と比べて狭いが、それでも七人が入るには十分すぎるほど広い部屋だった。扉の先には赤色のカーペットが敷かれており、さらにその先には羽ペンと数枚の書類が置かれた大きな机と玉座があった。リベラ王は前へ進み、玉座に座る。


「さて、話の続きに入る前に、君達選ばれた数字(ポインター)を呼んだ理由について話そう。」


 リベラ王はあたりの空気を変え、真剣な顔つきで話す。


「私が君達を呼んだ理由、それは、元騎士団長の犯罪者 イロカ・ヴァレ を倒してほしいからなのだ。」

次の話は4月1日18時に投稿予定です。

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