Rb.3 適性武器
零、力斗、二菜、正哉が都市の北門に到着し、門番にそれぞれの冒険者カードを見せる。
「ん?力斗、お前選ばれた数字になっているぞ。」
「俺が?」
力斗の反応に門番が頷いてカードを四人に返すと、力斗は自身のカードをじっくりと眺め始めた。
「本当だ……!俺が、選ばれた数字の『1』になってやがる………!!」
「力斗も選ばれた数字なのか。じゃ、仲間だな!」
「仲間?って事は、お前らもか?」
力斗の言葉に、三人は頷く。
「おおおお!まじかよ!?よっしゃあ!仲間が欲しくて困っていたところなんだ!これからよろしくな!!」
「あぁ、よろしく。」
零は力斗と握手した。そして四人は北門を通って都市に入った。
「二菜と正哉の武器は知ってるが、零の武器はなんだ?」
「実は、武器石が反応しないんだ。魔力は流しているんだけど、武器石は全然反応しなくて………」
零が困ったように話すと、力斗は「そうなのか…」と小さく呟く。
「……………よし、零、今から武器屋に行こうぜ!」
「えっ!?今から!?いや、言っても意味ないって!」
「いや、俺の知ってる武器屋の店主なら何とか出来るかもしれねぇ!とりあえずついてこい!」
「じゃあ、依頼の報告とパーティー結成の報告は僕と二菜がやっておくから、零と力斗は武器屋に行ってきてくれないかな。集合場所は、冒険者ギルドにしようか。」
「おう!わかったぜ!」
(だ、大丈夫なのかな………)
零は不安になりながらも、力斗について行った。一方、リベルタージュの城の最上階は再び爆発していた。
二菜、正哉と離れて約十分後、零と力斗は人気のない場所に到着した。
「随分静かだな…こんな所に武器屋なんてあるのか?」
「店主は静かな場所が好きなんだ。それに、店主は凄腕の人だ。隠れた名店って、なんだかカッコよくねぇか?」
「うーん…気持ちはわかるけど……」
力斗は何の変哲もない家の扉を開ける。
入った家の中は、広いとは言えないが、全面の壁に同じ形の石がずらりと並んでおり、並べられている石の下に値札が付いていた。
「おっさーん、いるかー?」
「その声、力斗か?まさかお前さん、また武器を壊したのか?」
力斗の声に反応して右腕が義手になった4、50代の男性が部屋の奥から現れた。
「ちげぇって!今日は別の用で来たんだ。」
「別の用?って、そいつ…お前さんの知り合いか?お前さんが連れてくるなんて珍しいな。」
「あぁ、俺、パーティーを組むことになったんだ!だが、こいつがどうも適正武器がないらしくてよ。何とかできねぇかって思ってな。」
「パーティーを組む?お前さんからその言葉が出るとはな。今日は雨が降るかもな。」
「おいそれは言い過ぎだろ!」
「ははっ、冗談だ。」
二人が楽しそうに会話する中、零は疑問に思ったことを口に出す。
「武器石って壊れるのか?」
「普通は壊れない。だが、力斗のような馬鹿力の持ち主だと、一撃の威力が桁違いすぎて、武器石がその威力に耐え切れず壊れてしまう事があるんだ。こいつも、過去に5、6回は壊している。あぁそうだ、お前さんは初めましてだったな。俺はこの武器屋を運営している喜屋武 葡穿だ。よろしく。」
「有栖川 零だ。よろしく。話が変わるけど、ここに来る途中、鍛冶屋を見かけたんだが、武器屋と鍛冶屋ってどう違うんだ?」
「ほとんど一緒と考えていいぞ。だが、違いがあるとすれば売られている武器石の形と種類だな。武器屋は性能重視で、武器石の量と質の種類が多いのが特徴だ。対して鍛冶屋は量と質の種類が多くない代わりに、形を加工している。武器石は基本四角で、冒険者によっては持ち運びづらくてな。鍛冶屋に頼んで持ち運びやすい形に加工してもらうんだ。」
「形を変えられても性能は変化しないのか?」
「変わりはするが、よほど小さな形に加工しない限り気にするほどでもないだろう。鍛冶屋では武器石の加工ができるとは言ったが、加工専門の店 加工屋 もいくつかある。だから、ここで武器石を買って加工屋に行くというのも一つの手だ。話を戻すが、適性武器がないんだって?少し、この武器石で適性があるか試してくれないか?」
「わかった。」
葡穿は零に武器石を渡し、零は渡された武器石に魔力を流す。しかし、何も起きなかった。
「…………」
零が魔力を流す様子を、葡穿はじっと見つめる。
「やっぱり、何も起きない……」
「本当に適性武器がないんだな…」
「なるほど。もしや……」
葡穿はぽつりと言い、部屋の奥に進む。数分後、葡穿は四枚の紙を持って戻った。
「零、だったな。この紙に描かれている絵を思い浮かべながら魔力を流してみたらどうだ?」
「わ、わかった。」
零は一枚の紙に書かれた剣の絵を思い浮かべながら魔力を流す。すると武器石の形が剣に変化した。
「か、変わった……!?」
「零の適性武器は剣だったって事か?」
「まだそうと決まったわけじゃねぇ。次に、この絵を思い浮かべながら魔力を流してほしい。」
葡穿は剣の絵を一番下に動かし、後ろに隠れていた杖の絵を見せる。零はその絵を思い浮かべながら魔力を流すと、武器石の形が剣から杖へと変化した。
「また変わった……!」
「杖にも適性があるのか?」
「次はこれだ。」
葡穿は同じような動きをして零に弓の絵を見せる。零も同じように魔力を流すと、武器石の形が杖から弓に変化した。
「最後にこれだ。」
葡穿は同じように動いてモーニングスターの絵を見せる。零は同じように魔力を流すと、武器石の形が弓からモーニングスターに変化した。
「やはりな。」
「…………どういう事だ?零は適性武器が四つあるって事か?」
今目の前に起きている現象に、力斗は首をかしげる。
「いいや、違う。零はおそらく全ての武器に適性があるという事だ。だが、零が初めて武器屋に行って武器石に魔力を流した時、武器のイメージがわかない、または一度に複数の武器を思い浮かべていたから、結果的に何も起きなかったんだろう。武器石の形を変えるには、たった一つの武器をイメージしないといけないからな。ま、要するに零はオールマイティって事だ。まさかここで会うとはな。」
零は武器石の形を戻しながら口を開く。
「こういった事は珍しいのか?」
「そうだな。すごく珍しい。俺は25年以上世界中を歩いて武器屋を営んできたが、お前さんのような人は数えるほどしかいねぇ。だが、こういうのは器用貧乏になりやすいから気を付けておいた方がいい。」
「わかった。」
「それにしてもここで会えるとは…………人生何が起きるかわからねぇもんだな。お前さん、確か武器石をもっていないんだったな。じゃ、これ持ってけ。」
葡穿は壁にかかっていた武器石を一つ取り、零に渡した。
「げっ!?おいおっさん!これたっけぇやつじゃねぇか!?いいのかよ!?」
「かまわん。零から流れ出る魔力を見た時から、こいつは必ず強い冒険者になると思ったからな。それに、力斗のパーティー結成祝いだ。タダでやる。」
「ほ、本当にいいのか?これだと赤字じゃ………」
「そんな事気にしていたらこんな人のいない場所で店なんて開いてねえよ。それに、俺はお前さんのこれからの成長が楽しみだからな。期待しているぞ。」
「…じゃあ、ありがたくもらうよ。」
「おう、頑張れよ、お前さんら。」
零と力斗は葡穿と握手をして店を出た。
「まさか、俺の適性武器は全部だったとは……」
「びっくりだよなぁ。そうだ、冒険者ギルドに行く前に、本屋に行って職業の辞典を買わねぇか?あの辞典には特定の職業に使う武器の絵もかいてあるはずだから、零に役立つと思うぜ。」
「賛成だけど、俺お金持ってないんだよね……」
「マジで?なら、俺が払うよ。仲間を助けるのは当然の事だからな。」
「あ、ありがとう……」
(この世界、優しい人が多いな…………)
零と力斗は本屋に寄り、『職業大全』という名の辞典を買って冒険者ギルドへ行った。
「はぁ、ハプニングはあったが、冒険者ギルドに着いたぜ。」
冒険者ギルドに入って力斗は言う。しかし、ギルド内の雰囲気は『毒道の森』へ向かう前とは異なっていた。
「ねぇ、あの子『アリス』じゃない…?」
「うわっ、本当だ……!『アリス』がいるぞ……!」
「隣にいるのは、もしかして『破壊者』の力斗か?」
「まじかよ……最強じゃねぇか……!?」
零が初めて来た時の賑やかさとは違い、辺りはざわついていた。
(力斗の話をしている事はわかったけど……『アリス』って誰の事だ?)
零が声の聞こえた方へ向くと、数人が目をそらした。
「俺達、いつの間にこんな有名になったんだ?」
「選ばれた数字だからじゃないか……?」
「そうかもな……」
二人が話していると、盾の形をした武器石を留め具に使う水色髪の魔法使いと、腰に武器石のキーホルダーを身に付けた深緑色髪の双剣使い、そしてその後ろに男女二人が零と力斗に近づく。
「やぁ、零、力斗、おかえり。」
「ただいま、二菜、正哉。」
「武器はどうなったんだい?」
「それがよ、零の適性武器は全部らしいんだ。」
「へ~……えっ?ぜ、全部?」
「まだ確証はないけどね。適性武器の幅は広いけど適性がある事はわかった。」
「ぜ、全部って…………」
二菜は驚きはするが大きなリアクションはしなかった。
「ん?二菜、正哉、後ろの二人は誰?」
「あぁ、その話に入る前に、零と力斗に伝えたいことがあるんだ。」
「伝えたい事?」
零と力斗が首を少しかしげる。
「リベラ王直々の伝令だ。『今すぐ城に来てほしい』ってね。」
「「…………は?」」
あらすじをよりわかりやすいように変更しました。
Rb.0、Rb.1の内容をほんの少し変更し、武器石について、キャラクターの外観について少しわかりやすいようにしました。
次の話は3月28日の18時に投稿予定です。




