アリの行列
少し前に見た夢から思いついた作品です。
ある日の夕方。
リョウヘイは放課後、家へ帰るべく歩いていた。
「ん?」
それはただの偶然だった。
リョウヘイの視界の隅に、アリの行列が映った。
「…………よーし……!」
しかし、その行動を選択したのは、まぎれもなく彼の意志だった。
「そりゃっ!そりゃっ!そりゃっ!」
リョウヘイはアリを次々と踏みつぶし始めた。
彼は虫を見つけては殺すのが大好きだった。
アリだけでなく、クモやミミズ、壁などにとまっているチョウやトンボなども、見つけては体を千切ったり潰したりして楽しんでいた。
「そりゃっ!そりゃっ!そりゃっ!」
その時、が見つけたアリの行列は思いの外長く、彼は夢中になってアリを踏みつぶし続けた。
「そりゃっ!そりゃっ!そりゃっ!」
そうやってアリを踏み続ける中で、リョウヘイは無意識の内にアリたちの先頭を追いかけていた。
「…………ん?」
そうして歩いていると、やがてアリの巣穴が見えて来た。
(よし、あの巣穴もメチャクチャにしてやろう!)
そう考えたリョウヘイは巣穴に向かって駆け出そうとした。
「あ、あれ……?」
ところが、走ることができない。
リョウヘイは気味が悪くなり、足を動かそうと力を入れるが、止まることも歩く方向を変えることもできない。
まるでアリの行列の一部になったかのように、一定のペースで巣穴に向かって歩くことしかできない。
「ひっ……!」
慌てたリョウヘイは助けてくれそうな人を捜そうと、辺りを見渡す。
しかし、周囲はいつの間にかうっそうとした雑木林になり、人影は全く見えない。
空もいつの間にか真っ暗になっている。
「だ、誰か!誰かいませんかー!」
大声で叫ぶも返事はなく、その間にもリョウヘイは巣穴へ近づいていく。
そしてリョウヘイが巣穴の目の前に来た時、巣穴が突然大きくなった。
穴の中は真っ暗で、まるで人を食べようとする怪物の口のようである。
「い、イヤだ……!イヤだあああぁぁぁーーー!」
リョウヘイは必死に逃れようとするも、身体は彼の意志に反して巣穴の中へと入っていた。
そしてリョウヘイが入ると、巣穴は元の小さな穴に戻った。
その日から、リョウヘイは行方不明になった。
警察は必死に捜索したが、情報は全くなく、何年かかっても捜査に進展はなかった。
それから十数年後、とある工事のために地中を掘っていた所、子供の人骨が見つかった。
遺体が身に着けていた衣服や、一緒に埋められていた持ち物から身元が判明した。
ただ、警察は遺体が完全に白骨化しているにもかかわらず、衣服などの破損や腐敗がほとんどないことを不思議に思った。
それはまるで、何かが衣服の中に入り込み、肉体を食べたかのようだった。
小中学生の頃の同級生に、よく虫を殺して遊んでいる奴いましたけど、今頃どこで何しているんでしょうかね?




