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武術魂  作者: 富野夷
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空手道部

これはたんなる実話です。

昭和53年、とある大学に入学しました。ついでに空手道部に入部してしまいました。

実は、この空手道部は存続の危機にあったのです。4年が五人、三年が三人、二年が1人。次は、いよいよ0人かという次第。それで、誰彼かまわず勧誘に走ったのです。おかげで私の様な者まで、入部するはめになってしまったのです。

まあ、それはともかく。当時の武道部は鯱張ったものでした。しゃちほこばるとは余りに古めかしい言い方ですが、そうとでも言わないと収まりがつかないような物なのでした。

さて、一年生の恒例行事は、秋になって、学園祭のブロック割りでした。ブロックなんて割れるのかとお思いでしょうが、その通りなんです。

割れるはずがありません。

で、ブロックをコンロでよく焼きます。さらに、それだけでなく。ノコギリで切り込みを入れます。ご丁寧に紙粘土で分からない様にしておきます。

そんな手間をかけて、割るのです。

固い物を割れる事が空手の実力と信じられた時代なんですよね。

ですから、稽古では、常に体に力を入れている状態が要求されます。本末転倒で、固い物を割れるという過信が、伸びのない固い体の動きを生んでいたのです。

打撃の接触面だけが固いは意味がありません。足から伝わってくる動きを上半身に連動させて後は腕の拳が、相手に伝えるだけでいいのです。

つまり、部分だけの強さは無駄です。

笑い話に近いですが、試合では姿形の恐さが、かなり影響を与えていたというのが昭和の空手道部でした。


私は、中年になりジムに通う様になり、スタジオでヒップホップ等もやる様になりました。

今でも、なかなか動けています。

もしかして、今の私が、あの頃の自分と空手の試合をしたなら、きっと勝ってしまうのではないかと思うぐらいです。

ところで、この令和の世では、本当に空手道部は0人だそうです。運動神経の良い子達はダンス系のサークルに行ってしまうのです。

さもありなんと、私は思うのです。

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