アナベルたちの日常
8月24日。私たちは出勤した。スーパーの朝は早く、私たちは商品の陳列や値引きのシール貼りやレジ打ちに追われた。まだ24時間営業のお店はないが、私たちは6時から15時までのシフト。広くて浅い接客は楽しいが、意外と出逢いはない。イグニスに志願したのはもちろん出逢いがほしいから。私たちは女子校育ちだし、別に女の子だって構わない。幼き魔法戦士を従えてペット化してる子はあんまりいないが、そこまでは考えなかった。あくまでもなるようになるだけ。私たちは息が詰まるようなタテ社会を作る気はないが、あんまり聞き分けのない子たちだったらしんどいかも。イグニスは無償だから別に本業がないと務まらない。私たちは[処女性の強さ]で選ばれた。飛び抜けた容姿じゃないし、突出したスペックもない。女子校を卒業生して12年になるが、そろそろ身を固めたくもなる。異世界は同性婚できるし、満10歳以上なら問題ない。イグニスの対戦相手は必ずしも女の子限定じゃないから男性魔法戦士が来る可能性がふつうにあった。「それはそれで楽しそうね」「私はどっちでもいいかな」「私は女の子がいいなぁ」「私はどっちでもいいわ」休憩に入ると私たちは雑談に花を咲かせた。私たちの対戦相手は魔王さまが決めてくれるが、最近はお姫さまの参戦が少ないからリアルの女の子が有力かな?今や私たち女性兵士にも光が当たる時代が来た。「もしかしたらママさんアイドルになれるかもね」「だといいなぁ」「あくまでも私たちのお相手次第ね」「幼い子なら女の子でも男の子でも別に構わないわ」私たちは薄給だし、このまま一生働いても貧困から抜け出せない。でもイグニスになれば豊かになれるかもしれないのだ。魔法戦士の文化は黎明期を脱し、庶民のニーズが急激に高まってる。だからこそ私たちみたいな女性兵士でもママさんアイドルになれる可能性がある。私たちは独身だし彼氏もいない。いわば婚活であり、私たちは魔法戦士を自分好みにカスタマイズできる。もちろん力関係にもよるが、今年は私たちが有利みたい。「先輩たちは新技開発に熱心らしいわ」「凄い技?」「意外としょぼい技が多いらしいわ」「なんで?」どうやら対戦相手を油断させるため。序盤はキツい技を温存する傾向が強いみたい。「第一印象に人は左右されるからね」「女の子は急激な変化にモロいわ」「つまりしょぼい技から入るのね」「キツい技ばかりじゃドン引きされてこっちもやりにくくなるわ」仕事を終えると私たちは映画[純聖天使澄花]を見た。4時間に渡る長編アニメだが、実話を基にした作品。伊東澄花と島田美芳。末吉綾香と根津悠子は12歳で父子家庭。だが父親は長距離トラックの運転手だから年に数回しか帰ってこない。美少女たちは寂しさからイグニスに惹かれていく。三十路のお母さん兵士はいわば自分たちの理想像でもあった。だがいざ参戦してみるとやっぱり怖い。澄花と美芳は抱き合って震えるばかり。これではどうにもならず30歳のカルーセルとシンシアは途方に暮れた。そこでイグニスは対戦前にデートするなど歩み寄りを見せ、対戦後のデートにも気軽に応じた。そこでようやく対戦が始まるもカルーセルたちは情事を適当に流した。美少女たちはアソコやふくらみを執拗に責め立てられはしなかったのでホッとした。尻上がりに調子を上げた澄花たちは奮闘し、初戦を引き分けに持ち込んだ。翌日は綾香がミセリ。悠子がルミアと矛を交えた。美少女たちはさんざんごねて対戦前にデート。対戦後のデートも取り付けたが、イグニスは要所でちゃんとゆるめてくれた。懸念された新技もしょぼくて安堵した。綾香たちも引き分け。美少女たちはカルーセルたちに叱咤され褒められながら成長していく。澄花たちは空中戦でも地上戦でも圧倒し、しばしばイグニスを脅かした。美少女たちは徐々に慾が生まれ[お母さんたちをロリコン化する]妄想に取り憑かれる。サイズ感でもパワーでも見劣りする以上、カルーセルたちをロリコン化し眠らせるしかない。澄花たちは対戦前からスキンシップを増やし、お母さんたちを自分でしか抜けないよう仕向けていった。イグニスは美少女たちに好感し、喜んで受け入れた。澄花たちの戦略は軌道に乗り始め、9月6日と7日に参戦したのに年内で決着がつかなかった。戦績も5分をキープ。美少女たちはビデオを撮り、お母さんたちのロリコン化に拍車をかけた。実は[澄花たちの幼女化]も同時進行していたが、美少女たちは全く気づかなかった。何しろ自分たちはイグニスをロリコン化する立場。澄花たちはカルーセルたちが用意した幼い服を嬉々として身にまとったが、皮肉にも美少女たちの幼女化に拍車がかかった。数年後。澄花たちは6歳児にまで幼女化され、カルーセルたちに授乳された。あざといくらい短い丈のミニを履かされ下着姿は丸出し。でもかつての美少女たちは元気に遊び回った。