1 連続銃撃犯
2人が気まずい雰囲気になったことに気づき、博士はすぐに涼介の方に話題を振った。
「久しぶりの再会だね。といっても1年くらいしか経っていないか。」
涼介は正晴など最初から存在しなかったかのように注意をそちらへやった。
「ああ、ところでそこに座ってもいいか。」
デスクの前のソファーを指さした。正晴は彼の無遠慮さに内心眉をひそめた。だが博士は見た限りではあるが冷静で寛容な姿勢を崩していない。きっと以前、仕事仲間だったのだろう。
「正晴君、お茶を煎れてもらってもいいかな。」
「はい。」
部屋の隅にあるシンクで缶から茶葉を取り出し急須に入れポッドから熱湯を注ぐ。
その間も博士と涼介の会話を抜け目なく聞き取ろうとした。2人はソファーで対面している。
「尋ねるまでも無いと思うが、要件を聞いておこう。」
「実は4日前、市内の南部で殺人事件が発生した。」
「そうか。それでどんな感じかな。」
「被害者は29歳の独身女性だ。死因は銃撃による失血死。」
博士が首を振った。
「これはまた凄いのを持ってきたな。」
その時正晴が2つの湯呑みをお盆に乗せて持ってきた。
「ところで資料は持ってきたかい。」
尋ねられ涼介は右手にある鞄に目を向けた。
「ああ。」
そのまま何の指示も出されること無く用紙を数枚取り出し博士に手渡した。
正晴がちらりと盗み見たところいくつかの何のとりとめも無いような写真だった。現場で撮られたものだろう。博士はじっくりと眺めはせず素早く資料をめくった。きっと今みたいな場面に何度も遭ってきたんだろうなと思った。
読み終えたらしく紙を涼介に返した。
「ありがとう。じゃあ今から現場に向かおう。」
そう言うと博士と涼介はソファーから立ち上がった。
唐突な展開に傍で立っていた正晴はどう動けばいいのかわずかな間分からなかった。
そんな彼を見て博士が言った。
「正晴君、君も来い。」
具体的な指示を与えられたのはいいが、同時にその言葉に正晴はさらに困惑してしまった。
「俺としては部外者を立ち入らせる訳にはいかない。」
涼介は自分の疑念を隠そうともしない。
正晴も博士の発言が不適切だと言わざるを得なかった。博士は僕を見込んで雇ったのだろうけど、それでも僕はただの一般市民で学生だ。安易に犯罪現場に立ち入らせていいのだろうか。
「僕にも僕なりの考えがあるんだ。君も警察の邪魔になるようなことはしないね。」
乗り気ではなかったがここで否定するのもおかしいので正晴は頷いた。
涼介はしばらく真顔で2人の顔を見つめたあと、許可を与えた。
前回まで一話あたりの文字数を具体的に定めていなかったのですが今回から一話1000文字を基準に投稿していくことにしました。
あと、読んでみて風景描写が多いと思った方もいると思いますが投稿者は手探りで執筆しているので作風が多少変化しても暖かい目で見守ってもらえると嬉しいです。
感想、質問等がございましたらお気軽にどうぞ。




