進入ウイルス
進化する世の中で人間の目が届かない裏の場所でもある存在が進化を遂げていた。奴らは想像も出来ない方法で歪みを潜り抜け、信じられない空間へと進入していたのだ。進入に成功した奴らはあるウイルス……医師達の目を欺き、知らぬ間に進入した世界で繁殖を続けていたのだ。そのウイルスの名はこれまで幾度となく世間を苦しめていた恐るべきあの、『新型コロナウイルス』だ。通称コロナは人間の手を逃れ、有り得ない空間でのうのうと生きている。<進入大成功!><いくら医療が進化した世の中でも、ここまで人間の手が伸びることはないぞ!><新時代は我等新型コロナウイルスが支配する!>コロナ達は高笑いを響かせ、世界の侵略を企み始めた。奴等が進化した世界とは、漫画、アニメ、ラノベ、ゲームの世界だった。登場人物達の体はコロナに蝕まれ、疲弊していく。現実世界にいる人間達は皆、どうする事も出来ず策が浮かばない。その間にもコロナ達は進化と繁殖を繰り返し空想世界を支配していきつつある。訓練された特殊部隊もこれでは活躍出来ない。しかもコロナという奴は日頃の行いが良いヒーロー、ヒロインばかりを感染させ、なぜか悪の組織にいる連中には近付かない。
「倦怠感と目眩で変身……出来な……い」「今だ!マジカルエルフを攻撃するのよ!」ダーククイーンが僕に命令する。あっという間に主人公はやられてしまう。バッドエンド。
コロナの進入のせいで正義の味方が減りつつあり、敵ばかりが生き残る。
現実世界の人間達は困り果てる。どうにかして進入したコロナを封じ込めないと主人公が絶滅してしまう。全ての漫画、アニメ、ラノベ、ゲームの世界が闇に染まる。それだけは阻止しないとストーリーのラストが闇完結になるではないか。そんな中で立ち上がったのは、自衛隊でもなく、医療従事者でもなく、漫画家、アニメ脚本作家ラノベ作家、ゲームシナリオライターの皆だ。彼らは声を掛け合い、空想世界に登場させるウイルスハンターの設定を提案し出した。リアルな世界では訓練されたハンター、ファンタジー世界では魔法使いハンター、学園世界では学者ハンター等々……世界観に合うウイルスハンターを絵コンテから清書までを急ピッチで仕上げ、それぞれの世界に送り込んだ。その成果があり、各ハンターは活躍を見せていった。あっという間にコロナを封じ込め、連動して一度は滅びた主人公が全員甦った。ハンターの中にはコロナを突然変異させ、予防ワクチンに類似させた正義の
菌を産み出す者も現れた。形成逆転!空間の歪みから次々新たな主人公を送り込む為、プロ達はこれからもキャラクターを提案していく。書き手のプロは皆、ヒーロー、ヒロインだ。