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Lost19 銀龍の正義  作者: JHST
最終章 勝利か死か
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③ゲンテの戦い ―鎖の弱点―

「さぁ、時間がもうありませんよ!」

 アイムは迫って来るデルの頭上目がけ、白銀の斧を振り下ろす。だがデルは彼女の一撃を斜めに構えた剣で削るようにいなし、その軌道を変えると、アイムの上から剣を振り下ろした。

 しかしまたしても、剣は赤い鎖の壁によって阻まれる。

 デルは防がれた剣を押し込むように体を近付けると、腕のバネを使って上半身を反らし、浮き上がった右足で上段蹴りを放った。


 だがそれすらも、彼女の前に鎖の壁が生まれ、勢いが出る前の右足の動きを止める。

「格闘戦も駄目かっ! だが、まだまだぁ!」

 デルはさらに阻まれた右足で鎖の壁を蹴り、体を一回転させた。そして右足を回し蹴りとして発展させ、アイムの顔目がけて踵を突き出した。


「無駄よ!」

 回し蹴りを見切り、アイムは体を横に反らす。

 手足を使った衝撃ならと考えたデルの連撃も、彼女の鎖によって防がれた。それどころか、回し蹴りを避けられたデルは、アイムに背を向けた形で地面に着地してしまう。


「これで、終わり!」「終わりだ!」

 デルは相手に背を向けたまま右足の踵を後ろに、空目がけて振り抜いた。

 右足から重い感覚がデルの体に届けられる。

「………当たった?」

 技を放った側が驚いていた。 

 デルの踵は高い音を響かせ、斧を振り下ろそうとしたアイムの下顎を捉えていた。顎を蹴り上げられた形となった彼女は、強制的に口を閉ざされ、さらに頭を後ろへと吹き飛ばされる。

 無理矢理放った着地からの背面蹴り。それを下から上へと突き上げるように放った一か八かの一撃だった。

 デルの背面攻撃に、赤い鎖は全く反応しなかった。


「………裏当てなら、いけるのか?」

 確信はない。デルは地面に背中をつけたアイムに体を向け、再び剣を構えた。


「あんな一撃を受けるなんて」

 アイムが赤くなった顎を手で擦りながら立ち上がり、メイド服についた汚れを反対の手で払い落す。そして軽く首を左右に曲げ、首から顎にかけての違和感を和らげた。


 だがアイムが立ち上がった頃には、デルは彼女の間合いに飛び込んでいた。

 デルの右手から放たれる瞬速の剣撃が、ほぼ同時に三本の軌道を生み出す。赤い鎖は瞬時に剣の軌道に合わせて小さな壁を順々に作り、彼女の盾となる。 

「無駄だという………のにっ」

 飛び込んで来たデルに対して、アイムは右足で蹴り上げる。だがデルは彼女の懐で体を左にねじると、彼女の蹴りを回避するだけでなく、そのまま回転に勢いをつけ、左手の裏拳をアイムの左横腹に押し込んだ。


 赤い鎖は発動しなかった。

「こ、こいつ………っ!」

 アイムの表情が、明らかな苦悶な表情へと変えていく。

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