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Lost19 銀龍の正義  作者: JHST
第七章 追跡者
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④二百年前 -Lost12-

「おい、12巻がないぞ」

 別の場所に紛れているのかと、デルが最新巻までの背表紙を指を横に這わせながら確認したが、やはり一冊だけ見つからなかった。


「12巻は………ここにはないわ」

 当然気付くと思っていたと、フォースィは素直に答えた。


 12巻に相当する時代は、王国の歴史では今から約二百年前に当たる。一つ前の11巻では、十一代目国王が、戦争状態にあった隣国のカデリア王国と停戦条約を結ぼうとした際、カデリア王国の手で謀殺されるまでが書かれていた。

 その事件は市販されている歴史書にも載っている。そして父の遺志を継いだ十二代目が、その娘であるリリア女王の時代だという事も知られている。 

 だが、実のところ女王の時代に関する細かい記述については、一般的に出回っている本ではほとんど語られていない。


「12巻はね、その殆どが失われているの。だからあの時代に何が起きたのか、誰がカデリア王国との戦争を終わらせたのか、その真実は語られていない」

「そんな馬鹿な」

「表に出ている事実は、何も問題ない事象か、歪められた事象のみ。百年近く調べてきた私ですら、分かっていない事が多すぎるの」

 ただ12巻は存在する、とフォースィが締めくくる。


「百年って………フォースィ、お前は一体」

 デルが落ち着きを取り戻し、その先の一言を発しようとした時、階段の上から長い笛の音がこの部屋まで届いてきた。

「………何、この音は?」

「この高い笛の音………まさか!」

 デルは焦るように部屋を飛び出し、通路を走り抜け階段を駆け上がった。

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