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Lost19 銀龍の正義  作者: JHST
第七章 追跡者
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③二百年前 -失われた歴史-

「あなた………魔王軍と名乗る蛮族達と戦った?」

「なぜそれを?」

 デルは一瞬驚いたが、そもそもゲンテの街を襲ったのも同じ蛮族達ならば、彼女も知っていても不思議ではない。彼はすぐに落ち着き、それを説明しようと口を開こうとした。


 だがフォースィは首を左右に振り、デルが考えている事が間違っていると教える。

「私は………以前から魔王軍の存在を知っていたわ」

「………どういうことだ? 全然話が見えてこない」

 理解ができないとデルが眉をひそめた。

 フォースィが言い方を変える。

()()()()()()は、昔からその存在を知っていたという事よ」

 フォースィが扉を開くと、そこには小さな部屋があった。そして目の前にはカビ止めや防水加工を施された古い本棚が一つだけ置かれている。

 その本棚には厚さの異なる、しかし装丁は統一された本が上から二段目まで敷き詰められていた。


「書庫と呼ぶには随分と貧相な部屋と本数だな」

 デルも中に入って辺りを見回すが、正面の本棚以外は石壁と壁掛けの魔導ランプのみ。それ以外は何も置かれていなかった。

「貧相? いいえ………この本には王国の知る歴史の全てが記されているのよ」

 価値などつけようがない。フォースィがデルを本棚の前へと案内すると、彼は適当に本を一冊取り、表題を確認する。


 だが、その本には題名がなく、数字の『3』が書かれているだけだった。


 他の本にも指を這わせていくと、題名がないまま背表紙の数字だけが一つずつ増えている。

「この数字は………巻数か?」

「ええ。そして本の厚みが違うのは、歴代国王の在位年数に合わせて作られているわ」

 その言葉にデルは最後の本の巻数を確かめる。記されている数字は『17』、現在のウィンフォス王国国王の代の一つ前と合致する。


「王国の歴史か………」

 デルは最初の一巻を手にとり、適当なページを開く。そこには、公にされている事件から、教科書に載せられない記述も数多く含まれていた。

「凄い………建国初期の双子竜伝説は本当だったのか!」

 小さい頃から子供を脅かす為に、大人が使ってきた恐怖の双子竜の伝説や、その双子竜を倒した黒い剣の英雄の話が事実だった事が事細かく記されていた。


 デルは興奮も冷めきれぬまま、適当に本を手に取って開いていくが、ある所で本を取る指が止まる。

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