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Lost19 銀龍の正義  作者: JHST
第三章 不確定要素
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⑨行軍六日目 -緊急事態-

「事情は分かった。そう言う理由ならば仕方がない………ちなみに、残りの物資は集まりそうか?」

「は、はい! あと一日半程頂ければ、既に街に向かっている騎士達が戻ってくるはずです」

 一日半。余裕を持って考えれば二日はこの街に足止めされる。だがそれでも本隊よりも現地に到着する事ができる。

 物事が常に上手くい進むとは限らない、デルは今回の問題を止むを得ないと割り切った。


「分かった。騎士達には俺から事情を説明し、物資が届き次第出発としよう」

「申し訳ありません」

 何度目になるか、事務騎士は頭を深々と下げる。

「いや、むしろ他の街で物資を調達しようと機転を利かせてくれた事に感謝する。間に合わせようと無理に割増で購入していた方が遥かに恐ろしかったよ」

 デルは事務騎士を咎める事なく肩を叩き、『後は頼む』と言って部屋を後にする。


「さて、このまま何もせずに待機………は、ないよな」

 デルが部屋を出て頭を掻いている中、今度はバルデックが小さな紙を持って近付いてきた。

「団長、副長達からの早馬が到着しました」

「来たか」

 やはりとデルはバルデックから紙を受け取ると、すぐに中を開く。

 手紙は二枚。

 一枚目にはゴブリン達が数日前から、早馬の差を考えれば三日前から村に襲撃をかけて来たと書かれている。数はおよそ三十匹。カッセル達は予めバリケードや木の柵で陣地を構築しており、相手を足止めした後、左右からの騎馬による突撃によって半数以上を撃退したと書かれている。

「………ゴブリンが本格的に仕掛けてきたか………まぁ、蛮族程度の襲撃ならば騎馬隊の突撃で一掃できるだろうが―――」


 デルが二枚目をめくると、今度は真逆の事が書かれていた。

「夕方には二度目の襲撃が………敵も随分と早いな。ゴブリン達は木製の長槍(パイク)を携帯し、騎馬の突撃に対抗………まさか!」

 ゴブリン五十匹の襲撃に対し、八名の騎士が死亡。十名以上が重軽傷と書かれた手紙を読んだデルは、持っていた紙を握り潰す。


 ゴブリン達が騎馬の弱点である長槍(パイク)による戦術を使ってきた事など一度もない。ゴブリン達が作る事ができるのは精々、石を削った刃物か短距離の弓矢程度で、良くても冒険者から奪った武器を使うくらいである。

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