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2話 2/2 パンツ、師匠

父と母と共に家に帰り、食事と入浴を済ますと、疲れ果ててすぐに寝てしまった。


『ん…… ここは……?』


気がつくと、薄っすらと霧が立ち込める、暗いような明るいような不思議な空間にディノが1人横たわっていた。


「どこだ? ここ?」


ディノがゆっくりと立ち上がり周りを見渡すが、辺りには何もなく、どこまでもその空間が続いているような気がした。


「夢… なのか?」


ディノがゆっくりと歩きだす、前に進むたびに霧がどんどん濃くなっていく。


「前が見えない…」


とうとう完全に霧に覆われ、視界を失ってしまう。


『もうすぐ運命の日が訪れます。 君に会えるのが今から楽しみです。』


突然、綺麗な女性の声が何も無い空間に響く。


「誰ですか!? 運命の日ってなんですか?」


ディノが周りを見渡すも霧が濃くて何も見えず、答えも返って来なかった。


気がつけば自分の部屋のベッドで寝ていた。


「ん… 変な夢だったな…」


ゆっくりと身体を起こし、目をこする。


ベットから降り、窓を開けて朝の光を浴びる。


「はぁ〜、 よしっ!!」


部屋から飛び出し、洗面所で顔を洗い歯を磨く。


部屋に戻り着替えると、すぐに家から飛び出す。


「行ってきまーす!!」


「ディノ〜! 朝ごはんは? お昼はどうすの?」


母が慌てて後ろから声をかける。


「昨日いっぱい食べたからお腹空いてないから大丈夫! お昼も俺の分は用意しなくていいよ!」


「ディノ!!」


母が強く呼び、思わず立ち止まり振り返る。


「な、何…?」


「気をつけてね。」


その言葉を聞いてハッとする。


「(そうだ… 俺は昨日死にかけたんだ… 父さんと母さんは何があったか知らないけど、6歳の息子が何も言わずに夜遅くまで帰ってこなかったんだから、そりゃ心配するよな…)」


「ごめん、母さん。 ありがとう。 しっかり気をつけて、行ってきます」


「ええ、行ってらっしゃい。」


ディノが再び走り出す。


「(よし、改めて昨日の場所へ行ってみるか!)」


風魔法でどんどん身体を前へと押し進め、飛んでいく。


魔法を使ったおかげであっという間に目的地に到着する。


「セルスさ〜ん! 居ますか〜! ディノです〜!」


ディノが大声で呼ぶと後ろに気配を感じる。


「やぁ、おはよう。 ディノ君。 早いね。」


「わっ!! お、おはようございます!!」


ディノが慌てながら挨拶を返す。


「うん、元気そうで良かったよ。」


「今日は… 服ちゃんと着て来たんですね」


「え、私普段からあんな感じだと思われてる?」


「違うんですか?」


「否定はしないかな」


「やっぱり…」


「まぁまぁ、さぁ。 行こうか」


「行くってどこへですか?」


「私の家だよ」


「え? セルスさんの家ってこの辺りにあるんですか?」


「割と近くにあるよ」


「(この辺りは結構探索したけど俺の家以外見つからなかったんだよな… 一体どこにあったんだろ?)」


「こっちこっち」


セルスが手招きする方へついて行く。


「そういえば昨日、セルスさんのあらゆる記録が消されてるって言ってましたけど、理由…聞いてもいいですか?」


「あ〜、実はね。」


「(近衛魔法師隊の隊長クラスの人を無かった事にする理由…一体どんな重い話なんだろうか…)」


ディノが息を飲む。


「私ね、王女様のパンツ盗んだのよ」


「パンツ… え?パンツ? ふざけてます?」


ディノがセルスを少し睨む。


「いやいや、大真面目よ? それがバレて斬首刑になるところだったけど、王女様の温情で追放だけで許してもらえたの」


「何やってんですか…」


「昔から我慢出来なくてね〜 街をパンツ一丁で歩いたりもしてよく部下に怒られたよ」


「あの、昨日全裸で頭にパンツ被ってたのって…」


「ただの趣味! と言いたいところだけど、あれをすると自然と魔法の制御がしやすくなるんだよね」


「え〜 それ本当ですか?」


「本当本当」


そんな事を話しながら歩いていると、気がつけば開けた場所に着き、目の前には割と立派な家が建っていた。


「いつの間に!?!? この辺りにこんな立派な家あったんだ…」


「まぁ、普段は誰もここに近寄れないように魔法で隠してるからね」


「なるほど、だから今まで見つからなかったんだ…」


「ささ、中へどうぞ」


セルスに言われ、中へとゆっくり入っていく。


「お邪魔します」


中は普通の家といった感じの印象だ。


「ちょっと用があるから、少しそこの椅子で待っててね。 あ、奥の部屋には絶対入っちゃ駄目だよ? 絶対だよ? 絶対だからね?」


「あ、はい」


ディノが台所にある椅子に座る。


暫く待っていると先程の言葉を思い出す。


「(ん〜 そう言われると入りたくなっちゃうよな……  ………ちょっとだけなら、、、)」


ディノが椅子から降り、ゆっくりと奥の部屋に近づく。


「(そ〜… っと…)」


ディノがゆっくりと部屋の扉を開けようとした瞬間、


プチッ


「にょわァァァァァァァァァァァァ!?!?」


突然視界が赤くなったと思ったら、次は黒くなり、両目に感じたことのないような激痛が走る。


ディノの両目は噛み潰したプチトマトのように、プチッと弾けてしまったのだ。


「ガァァァァァァァァ!!! 目が!!! 目がァァァァァァァァァァァ!?!?!?!?!?」


ディノが両目を押さえながら床を転がりまわっていると、後ろから足音が聞こえてくる。


「あ〜あ、だから言ったのに〜」


「セセセセセルスさん!? 勝手に入ろうとしてごめんなさいぃぃぃぃ!!!! ととととりあえず助けて下さいぃぃぃぃぃぃ!!!!」


「もう勝手に入ったら駄目だよ?」


「わわわわ分かりました!!! 助けてぇぇぇぇ!!!!!」


セルスがディノの目に手を当て、回復魔法を使う。


両目が治ったのを確認して、ディノがようやく落ち着く。


「はぁ… はぁ… あぁ… 死ぬ程痛かった…」


「そんなに私の部屋に興味があったのかい?」


「いえ… 念を推して入るなって言われると、つい好奇心が勝ってしまって… ところで、あれ…どういう魔法なんですか…?」


「あれはいわゆる【呪文】ってやつだよ。」


「呪文、ですか?」


「そう、呪いに関する魔法の総称だね」


「呪文って発動する内容とか条件を細かく決めれるんですか? その…対象者が扉を開けた時、両目を潰す…みたいな…」


「何個か複合して条件や内容を付与できるよ。 目だけじゃなくて、ついでに手足をもいだりもできる。 まぁ、その分消費魔力が多くなったりもするね。 呪文は扉とかの物にかけることもできるし、人に直接かけることもできるよ」


「なるほど… 呪文って解く方法はあるんですか?」


「聖魔法で解けるよ。 あと、呪文を付与した本人が死ぬことでも解けるね」


「なるほど… 勉強になりますっ!」


「さて、この話はこの辺にして、とりあえず外へ出ようか。」


セルスに連れられ、外へ出る。


「そうそう、これを渡そうと思ってたんだ。 はい、どうぞ」


セルスがそう言うと、ディノに折り畳まれた黒い服のような物を手渡す。 広げてみると、それはローブだった。


「ローブですか?」


「ただのローブじゃないよ。 魔法師隊特製の魔道具。 ある程度の魔法ならそのローブで弾くことができる」


「すげぇ…! これ、借りていいんですか?」


「あげるよ。 返さなくて大丈夫」


「え!? 魔道具って確かめちゃめちゃ高価って聞いたことあるんですけど…」


ディノが心配そうにセルスを見ると、セルスが少し笑う。


「いいのいいの。 それはもう私には必要無いから。 それに君は今日から私の弟子だからね」


「っ!! 改めて、これからよろしくお願いします!! 師匠っ!!」


セルスの口角が少し上がる。


「あぁ、こちらこそよろしくね。 ディノ君。」



















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