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2話 1/2 パンツ、師匠 

「君、大丈夫? すごい怪我だけど」


パンツを被った全裸の老いた男が話しかけてくる。


「え、あ! はい! い、いや! 大丈夫じゃない!… です!?(あれ?ブラ男と違ってこっちは普通に話せるな)」


あまりに普通に話しかけてくるので思わず返答に詰まってしまう。


「とりあえず、怪我を治そうか」


そう言いながらパンツを被った全裸の老いた男がディノに近づき手をかざす。


一瞬の出来事だった。


手をかざした次の瞬間にはかすり傷一つ無い綺麗な身体に戻っていた。


「え!? な、何が!?」


あまりの出来事にディノが戸惑っていると、老人が優しくディノの肩に手を置く。


「もう、大丈夫だからね」


「え、えっと! ありがとうございました!」


ガシャァァァァン!!


ディノが一安心していると、勢いよく氷の壁が砕け、ブラを被った全裸の男が再び姿を現す。


「舐めやがってジジイィィィィィ!!!」


叫びながらパンツを被った老人に襲いかかる。


「少し、寝ていなさい」


老人が男の額を一瞬にして掴む。すると、老人の手から一瞬魔法が放たれ、男の動きが止まる。


「にょわぁ……」


男が情けない声を出しながら力なく倒れてしまった。


「………ゴボォ゙! ゴボゴボゴボゴボォ゙!!」


川にうつ伏せ状態で倒れたせいで男が苦しそうに息を荒げる。


「おっと、危ない危ない」


老人が男の身体を軽く持ち上げる。


「よいしょっと」


あまり筋肉はついていないように見えるが、自分よりも一回りも二回りも大きな男をひょいっと岸まで投げてしまった。


「ゲホッ! ゲホッ!」


男が水を口から吐き出す。


「よし、冷えるから君も岸に上がりなさい」


「あ、はい」


先程からいろいろな事が起きすぎて完全にディノの思考が止まっていたが、反射で返事だけはかろうじてできた。


ディノと老人が川から上がると、老人が男に近づき、治癒魔法をかける。


「えっと… とりあえず貴方の名前を聞いてもいいですか?」


老人に何から聞けばいいか全く分からなかったが、とりあえず1つづつ聞いていくことにする。


「あぁ、そういえば名前をまだ言っていなかったね。 私はセルス・クオス。 君は?」


「ディノ・ルブロです」


「ディノ君か、よろしくね」


「よ、よろしく…お願いします…(全裸の老人となんて、よろしくやっていきたくないけど…) あの…なんで全裸なんですか?」


「あぁ、彼は恐らく邪神の影響だろうね」


「邪神…? いや! そうじゃなくて! いやその人もそうなんですけど! セルスさんもなんで全裸なんですか!? あとなんでパンツ被ってるんですか!?」


「あぁ、そっちね。 まぁ、いずれ分かる日が来るさ」


「えぇ… さっき言った邪神の影響じゃないんですか? と言うか、邪神ってなんなんですか?」


「私は邪神の影響では無いよ。 邪神についてもいずれ分かる日が来るだろうね」


「は、はぁ…」


ディノが聞いても頑なにセルスは答えようとしない。


「(もうこの話題はいいか…)えっと、この人を岸まで投げたやつは魔法…ですか?」


「あ、そうそう、強化魔法だよ。 私は基本ずっと身体に強化魔法を付与しているんだ」


ディノの瞳孔が少し小さくなる。


「あの、もしかしてクオスさんってめちゃめちゃ強かったりします?」


「そうだね。 昔は王宮で【近衛魔法師隊】の隊長をしていたこともあったよ。」


「た、隊長!?(【近衛魔法師隊】、本で読んだことがある。 確かロエドの王族を守るこの国最強の魔法師隊。 その隊長って… この国でもトップクラスの実力者…! ……でも、俺が読んだ本にはセルス・クオスなんて名前、歴代の近衛魔法師隊の隊長の一覧には書かれてなかったはず… 俺が読んでた本が古いのか…?)」


ディノの中で疑問が生まれたが、それはすぐにセルスの発言で解けることとなる。


「そう、隊長だった。 だが、私の名前はどの記録にも残されていない。 私の隊長だったという功績、いや、私に関するあらゆる記録が国により抹消されている。」


「なんでですか!?」


「ハハッ、ちょっとやらかしちゃってね!」


セルスが少し笑いながら、何かを語ろうとした瞬間、セルスが何かを感じたように振り返る。


「どうやら、時間切れみたいだね。」


セルスがそう言うと森の中から何か聞こえる。 ディノの父と母のディノの呼ぶ声だ。


「父さん! 母さん!」


ディノが少し涙目になる。


「流石にこの格好を見られるのはマズイから、私はそろそろ行くことにするよ。」


そう言うと、セルスが転がっているブラ男を担ぐ。


「(マズイ格好っていう自覚あったんだ…)」


「ここであったこともできれば話さないで、適当に誤魔化してくれると助かるよ。」


「ちょっと待って! 俺! 魔法を教えてくれる人を探してて! セルスさんが良ければ俺の師匠になってくれませんか!?」


セルスの足が止まる。


「あぁ、どうせ暇だからね、良いよ。 また都合が良い時、ここに来なさい。」


そう言い残すとセルスはあっという間に森の中へと消えて行った。


「行っちゃった…」


ディノがセルスの消えて行った方を眺めていると後ろからどんどん声が近づいてくる。


「「ディノ!!」」


「父さん! 母さん!」


慌てて両親がディノの元へ駆け寄る。


「大丈夫か!? ケガは!?」


「何があったの!? 遠くからでも分かるくらい光ったり、大きな音がしたから心配したのよ!?」


「あ〜… え〜っと… (ブラジャー被った全裸の変態に追いかけられてた所をパンツを被った全裸の変態に助けられたなんて言えないよな… セルスさん、心配しなくてもそんな意味不明なこと両親に報告しないよ… 俺は…) ちょ、ちょっとね、色々魔法試してたんだ、ハハ… 帰るの遅くなってごめんなさい…」


「とりあえず、早く家に帰ろう、疲れただろう。 ご飯を食べて、風呂に入ったら早く寝なさい。」


「そうね、早く帰りましょう。」


「…ありがとう、父さん。母さん。 (どうやら、まだこの世界では生きていられるみたいだな… 良かった… 明日、早速またここへ来てみようかな。 ここに来ればセルスさんが迎えに来てくれるみたいだし。)」
















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