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第三話 マレー沖海戦勃発(1)

仕事忙しくて早速更新遅いですが気長に待ってください。

※同時刻 マレー沖 東洋艦隊


天候は快晴、北東の方に若干のスコールが見えるくらいか。

波をかき分けて進むこの船はたった5か月前に進水した最新鋭艦、キングジョージV世である、その巨体は波をこじ開け、主砲塔に海水をまき散らしながらすすむ。


最新鋭と言えば聞こえはいい物の、中身はまったくの新米で、5か月ごときではまともな訓練を積むこともできていなかった。


「提督、情報によると日本は主力艦隊を既にこちらへ向けているそうです。日本軍の侵攻から早一か月弱・・・既にフランス領は落ち、次はシンガポールへと迫っています。」


ここキングジョージV世の艦橋にはトーマス・ディッツ海軍大将と艦長のジョンズ・レイ大佐が居た。


「日本は巧み、悪く言えばずる賢いやつらだ。こいつだって本来であれば16インチ砲を積んだはずなのだ、日本が軍縮条約さえ破棄しなければ・・・。」


キングジョージV世の主砲は35.6cm、つまり14インチ砲である。

新設計された主砲とは言え、日本軍の長門・天城型の16インチ砲とでは単純な火力では大きな差がある。

新たに設計されているライオン級では16インチ砲搭載として開発されているが、急いで予算を投入しても完成まであと1年半はかかるだろう。


そうしてマレー半島を西にする位置まで進みかけた時、警報が鳴り始める。

警報が鳴るのと同時に戦艦の中で真ん中、キングジョージV世とレパルスの中間に位置するネルソンが対空戦闘を開始した。


「報告!先ほどネルソンのレーダーが敵影を感知!日本軍の偵察機です!ネルソンは現在迎撃戦闘中!」


ディッツは手すりを強く握り、数秒の間思考をする。

先に見つかったのは不運だが、既にイギリス側も水偵及びマレー半島から陸上機による偵察を行っている、発見できないうちに撤退するなどという判断は出来るわけがなかった。


「提督、敵の偵察機は恐らく機動艦隊から放たれたもの、敵航空隊を警戒し、一度スコールの中へ移動しましょう。」


ディッツはジョンズの提言にうなずき、同意する。


「北東のスコールへ突入する!艦隊全速、見張りはなんとしても敵艦隊を見落とすな!」


極東艦隊は増速しスコールへと突入するべく進路を取る。

だがそれは日本軍、齋藤艦隊と完璧に交わる進路であった。

そしてこの決断が後に大きな代償としてのしかかるとは当然知る由もなかった。



日本軍偵察機発見から40分後


スコールへ突入する直前司令塔へ伝令が走る。


「マレー航空隊偵察機が日本軍艦隊を発見!」


司令塔は一瞬にして緊張が走る、日本軍艦隊の居場所によっては最悪既に詰みの可能性すらあるからだ。


「して、場所は?」


伝令は少し震えた声で報告する。


「当艦隊前方20km地点です!敵はこのスコールを避けるべく進路を東に変えている模様!主力は巡洋戦艦クラスが4隻、その他大型艦4隻以上、護衛艦多数!」


その報告を受けた瞬間、皆がざわつき始める。


「敵の戦闘艦隊か!」

「既にそんな近距離に!」

「ここはスコールが間にあるうちに反転するべきだ!」

「それでは後方の機動艦隊が危ない、我々が盾にならねば!」

「いや、横っ腹を見せるというのならむしろスコールの中から奇襲できる。一網打尽のチャンスだ!」


様々な無責任な発言が飛び交う中、ディッツは最後の発言を採択する。


「我々の後方にはすでに友軍機動艦隊がいる、フォーミダブル、ハーミーズをみすみす敵艦隊の砲撃にさらすわけにはいかん。進路そのままスコールに突入、敵艦隊の横っ腹をつくぞ。この距離なら戦艦だけでなく重巡洋艦の砲撃も可能だ、同時に砲撃を開始し敵を一気に混乱させる。機動艦隊には攻撃隊を発進させろ!」


「はっ!」


かくしてディッツ率いる艦隊と齋藤艦隊の交戦が決定的になる、更に機動艦隊からの航空隊が追加されれば、援護なしには齋藤艦隊の勝ちの確率は限りなく低くなる。

いかに鷺宮艦隊、山川機動艦隊の航空隊が早く援護に駆け付けれるか、齋藤艦隊の命運はそこにかかっていた。


※30分後 齋藤艦隊旗艦 金剛


ここ金剛の司令塔には齋藤艦隊司令官である齋藤信高中将が司令部を置いていた。

偵察機からの報告を頼りに敵艦隊と交戦するべく移動していたが、スコールを避けるため進路を変えていた。


「報告から進路を変えていなければこのままスコールを避けた先にいるはずだ。数では勝っているが、戦力的には同等だろうな。この老いぼれにはもう少し頑張ってほしいが。」


現在齋藤艦隊は全速力の30ノットでスコールを迂回していた。

齋藤艦隊の役目は敵艦隊の足止めであり、決戦は鷺宮艦隊と航空隊に任されているというのが上層部での共通認識であった。


そうしてスコールを横目に通り過ぎようとした最中、見張りでもない司令部からでも明確に水平線が赤く染まったのが一瞬だけ見えた。

司令部では皆が思考を停止させ、現実を脳内で処理していた。

そして一瞬の間が開き齋藤と参謀である眞壁少将、そして伝声管もが同時に叫ぶ。


「右舷敵艦隊!!!」


どの艦でも気が付いたようで、警報が鳴るころにはすべての艦の主砲が右舷を指向し始めていた。


「落ち着け!実戦で初弾から当ててくる戦艦なんていままでも、これからも存在しない。進路そのまま!」


艦長の声は自信にあふれている、数十秒が経ち、風切り音と共に数多の主砲弾が着弾する。


「16インチ・・・15インチ、14インチ、その他重巡クラスが数隻・・・!」


水柱の大きさで齋藤は瞬時に見極める、そして大方の予想通り金剛型では撃破が難しい可能性も理解していた。

想像より近い距離、速力で振り切るなど不可能だろう。

そうなれば詰め寄るしかなかった。


「第五戦隊、最上、三隈本艦の右舷に出る模様!」


「相模少将・・・!」


相模吾平少将は水雷屋出の司令官で、今作戦では最上、三隈の二隻からなる齋藤艦隊第五戦隊の指揮官でもあった。

雷装も豊富な日本の重巡にて壁になりつつ敵艦隊の方向へ接近しようとする試みは日本軍兵士から見れば意図は明らかであった。


「水雷戦隊は第五戦隊と共に移動!彼らを援護しろ!」


比較的高速とはいえ金剛型は戦艦である、最高速こそ比類しても加速や転舵は巡洋艦、駆逐艦のそれには比べ物にもならずあっさり置いて行かれる。


「我々の目的は本命が来るまでの遅滞戦闘だ・・・勘違いだけはしてくれるなよ相模少将・・・。」


齋藤は司令塔から突入していく第五戦隊と水雷戦隊を眺めることしかできなかった。

そして金剛以下戦艦隊も照準が終わり、ついに初弾発射の号令が出される。

遂にここに第二次世界大戦における日本軍艦隊初戦の火蓋が切って落とされたのであった。


※補足情報

極東艦隊(司令 トーマス・ディッツ海軍大将)


極東艦隊A部隊 (司令 トーマス・ディッツ海軍大将)旗艦 キングジョージV世

戦艦

キングジョージV世(キングジョージV世級)・ネルソン(ネルソン級)・レパルス(レナウン級)


重巡洋艦

ドーセットシャー・コーンウォール(カウンティ級)


駆逐艦

タウン級5隻



極東艦隊B部隊(司令 アルガン・ウォルス中将)旗艦 ウォースパイト

戦艦

ウォースパイト(クイーンエリザベス級)


空母

フォーミダブル(イラストリアス級)・ハーミーズ‘(ハーミーズ級)


軽巡洋艦

カレドン・カリプソ(カレドン級軽巡洋艦)


駆逐艦

タウン級9隻


現在の艦隊配置図

挿絵(By みてみん)

自分の中での考えを分かりやすく伝えたいので、挿絵機能を使ってみたんですけど、これ見れていますかね・・・?皆様見れていたら幸いです。

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