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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:再び海に行こう

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それなりに仕事の話をしよう

あらすじ:

 若干暇を持て余したジェラードが、遥か遠くの王都のギルバートに連絡を入れる

『何だ、また仕事を…… いや減らしたといえば減らしたのか。』

「減らしましたねぇ。その分、この国の発展にリソースを回してください。」


 特に連絡も無いので作業も順調なんだろうと、姫巫女ちゃんの屋敷で今日もダラダラしているジェルだが、何か思い当たるところがあったのか、王都にいる宮廷魔術師にギルさんに連絡をとっていた。

 この人はジェルの思考についていける数少ない賢人なのだが、そのおかげかせいで自由奔放な第一王子のお目付け役に加えて、ジェル担当という大役を授かったわけで。


 ……そういやぁ、最近王子の話聞かないけどどうしたんだろ?


『ん? バカ王子は今騎士団でしごいてもらっている。……が、あいつ、意外と強いんだよな。』


 試しに聞いてみたらそんな風に返ってきた。つまらん、と雑なコメント付きで。そういやぁ剣を抜いたところは見たことあるが、その直後王子抜きで敵戦力を沈黙させたからなぁ(無論あたしは何もしていない)。


『……まぁ、その辺は会ったときにしよう。

 話を戻すが、ん~……』


 画面の中でギルさんが困ったように眉根を寄せて目を閉じる。

 しばらく唸った後に、眉間が疲れたのか一揉みすると、顔を上げる。


『やってしまったものは仕方がないか。今更ながら、お前を止めるのは無理だしな。』

「……王都で新興貴族に対する風評被害が行われていたとは。」


 さも嘆くように首を振るジェルに、画面の中のギルさんがニヤリと笑みを浮かべた。


『ならば、風評を払拭ふっしょくする為に、世界を救ってくれたミルビット卿の偉業を大々的に公表することにしよう。』

「私が間違っておりました。」


 深々と頭を下げるジェルに、ギルさんもちょっと引いた。そんなに、ってやっぱり嫌か。


「まぁ、冗談はともかく、」


 いや結構マジ顔だったぞ。


ここ(ワワララト)が早まったことで、スケジュールに変更はあります?」

『そうだな…… 個人的には紙の話を進めたいところだな。』

「あんなもんこそ、誰かに教えれば、後はその人が一生懸命頑張ればよいのでは?」


 さも面倒くさそうに言うジェルだが、ギルさんはそれを許さなかった。


『まぁ分かってると思うが、お前が突っ立ってると、突っ立っていないので大分変るんだがな。』

「……それは言外にまた私に王都に来い、と?」

『ハッキリ言った方が通じるか?』


 ジェルが切なそうにため息をつく。理解はしたようだ。そういやぁ、何度か王都に呼ばれていなかった日があったっけ。


「まぁ、分かりましたよ。その代わり、こっちの件が片付いたら少しのんびりさせてくださいよ。」

『ふ~ん……』


 画面の中のギルさんの目があたしに向く。


『と言ってるが、どうなんだ?』

「たぶん、ご想像通りかとー」

『だろうな。』


 はいそこ、裏切られた! って顔しない。そして姫巫女ちゃんの屋敷だからってあんまり気が抜けないから、シルバーグリフォンに戻ってダラダラしようと思っていることも知っている。


『いいんだ。ジェラードはどっかのバカ王子と違って、サボってるくらいがちょうどいい。ヘタに本気を出されると、常人には収拾がつかない。』

「失礼な。」

『現に、ヘタしたら年単位と思われた工事を三日に短縮したろうが。』


 ギルさんの否定できない指摘にむぅ、とジェルが唸る。対するギルさんはそこでどこか疲れたように息を吐く。


『というか、まだ俺の知らない乗り物……なのか? があったんだな。』


 そういやぁ、装甲車のランドタイガーはあんまり見ている人いないか? まぁ邪神?のごたごたで、ハンブロンの町が魔獣に襲われたときにルビィに召喚されてひと暴れしただけだしなぁ。あ、そのあと暴れすぎたためにしばらく街道の整備していたけど、その時はギルさんが来てないころだったしね。


『なぁ、話はズレるが、手の空いた時で良いから、シルバーグリフォンに乗せてくれないか? ……その、星の世界とやらを俺も見てみたい。』


 どうやらルビィからグリフォンに乗ったときのことを色々聞いたらしい。


「構いませんよ。それこそサフィメラ王女にも頼まれていますし、ルビリア王女ももう一回、とか言われていますし。」

『それはすまない。』

「別にいいですよ。たまには飛ばさないと拗ねますし。」

《拗ねません、って。》

「…………」

『…………』


 突然割り込んできた声に思わず沈黙が流れる。


『こういうの、ってみんな聞かれてるのか?』

「そうですね。厳密に言えば、グリフォンやホーネットを介して遠くとやり取りしているので、全て筒抜けですね。」


 悪用するかどうかは本人たち次第ですが、とも付け加える。


『その気になれば、お前は全部分かるってことか?』

「面倒ですし、興味ないですね。

 私の周りに危害を加えようとするならさすがに考えますが。」

『誰がするんだ、そんなこと。』


 と、ギルさんが締めたところで、この話題は終了した。


「じゃあ、今日の進捗を後で送っておくので確認しておいてください。」

『了解だ。

 ……しかし、何でもかんでも早いもんだな。一ヶ月単位で行っていることが、即日か。便利と言えば便利だが、せわしないな。』


 そうよね。移動するだけでも一週間とかふつーにかかるわけで。


『折角だから報告を遅らせて、少しのんびりさせてもらうか。』


 ついにギルさんが文明の力に溺れて、邪悪な心に支配されてしまったようだ。なんてことだ!


「Hello,World.」


 この世界の人には通じないよ、それ。

お読みいただきありがとうございます

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