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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:再び海に行こう

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顔を見よう

あらすじ:

 今日も一通り終わって夕食が済んだところでジェラードから謎の電子音が響く

 今日の夕飯はベルリーズさん特製の魚介類がタップリ入った具だくさんのスープだった。料理上手なのは伊達でも何でもなく、すぐに新しいシステムキッチンの使い方をマスターしていた。……アイラもすぐ憶えちゃったよなー

 塩分交じりの水を使わなくてもいいってことで、煮物を作りたかったんです、って今まで見たこと無いまばゆい笑顔で言われた。

 食後は果物も使ったハーブティと、凍らせたフルーツで待ったりしているところで、ジェルから謎の電子音が聞こえてきた。


「…………」


 一瞬視線を宙にさまよわせてから、バーチャルキーボードを呼び出すと、キーを叩くと、バーチャルディスプレイが開いた。

 そこには「雄牛の角亭」で留守番をしているアイラ・リリーの姿があった。


『えっと、今お話し大丈夫です?』



「というわけで、最低三日はこちらにいることになりました。」

『そうですか…… 雇われ店長としてはオーナーにあまり店を空けられるのも……』

『あ、ハカセー! 早く帰ってきてねー!』

『ハルカ、ちゃんと頑張ってますか?』

「何がですか!」


「雄牛の角亭」から通信が入って、アイラに経過報告をしていると、それに気づいた女の子たちがジェルの背中にへばりついて肩越しに画面を見つめる。

 ひょこ、っと隅の方から顔を出したメイドのハルカだが、目ざとく見つけられた同僚のミリアの言葉に思わず声を上げてしまい周りの視線を集めてしまう。そのあとは口をもにょもにょさせて顔を伏せてしまうが、ある意味自業自得? でもツッコむのは止めておこう。多分面倒になる。


『皆さんも元気そうで何よりです。』

「そちらの様子は?」

『変わりありませんね。リリーは相変わらず食べますし、領主さまは相変わらず飲みますし。』


 えー! ひどーい! って悲痛な声が聞こえてくるが、事実なのでフォローのしようがない……が、ん?


「ジェニーさんいないの?」

『そうなんですよー なんか忙しいみたいで、三食うちには来るんですけど、食べてワインを空けたらすぐに戻っていきまして……』


 確かに今店内にいたら、絶対顔を突っ込んでるよね。そうじゃないとなると忙しいんだ…… ってそれが本来の姿と言えばそうなんだろうけど。


『ヒューイさんもカイルさんも隣に行き浸りで、リーナもそっちに連れていかれて。

 でもまぁ来る人は限られてるんで、あたしとリリーだけでも回るですけどねー』


 と、やさぐれた口調を聞く限りは、おおむねいつも通りらしい。


「無いとは思いますが、手に負えなさそうな自体が起きたらすぐに連絡してください。」

『了解です、オーナー。

 ……でも、普通に連絡を入れても良いんですよね?』


 画面の中で上目遣いをするアイラだが、うん、ちょっとあざといぞ。まぁ、これで胸元を強調してみるってことをしないだけマシかもしれないが。


「こちらも微妙に暇になりましたのでね。……まぁ、それこそオーナーとしては店の業務報告を聞くのも仕事です。」


 言葉を選びながらのジェルだが、その取って付けたような言い訳にも、目に見えてアイラが明るい顔をする。……む、今のにはあざとさがない。


「夜更かしはお肌の敵なので、今日はこの辺で失礼します。」

『おやすみなさい。』

『『おやすみなさーい。』』


 三人分の挨拶と共にバーチャルディスプレイが消えた。多少気疲れしたのか、ジェルが小さく息を漏らす。


「それにしても馬車で二週間もかかる距離の相手と顔を見て話せるとは凄いですね。」


 ジェルに何かを感じたのか、サフィがさらりと話題を変えてくれる。通信距離で言えば、同じ惑星上ならタイムラグはない。超光速通信なら、ワープ一回で跳べる距離ならまぁまぁ気にならない程度だ。


「それに関しては技術、って奴のおかげということですね。」

「魔法は限られた人しか使えませんが、技術は誰もが使えるんですよね?」

「とは言いますが、私の場合は自分で作れるから安上がりですが、それなりに費用や材料がかかるので『誰もが』というと、やや語弊があるかもしれません。」

「なるほど…… 私たちの感覚で言えば魔道具みたいなものですね。」


 サフィが納得したように呟く。その一方、姫巫女ちゃんが自分が抱えているぬいぐるみに視線を落とす。


「そういえばホーネットも普段はハンブロンの町にいるんだよね。」

〈そうだね。〉


 姫巫女ちゃんの腕の中で戦闘ヘリのホーネットをデフォルメしたぬいぐるみがもちゃもちゃ動いている。随分とあそこにいるのも慣れたのか諦めたのか。


「顔、かぁ……」

〈そんな声出されても困るんだけど、僕の顔ってどこさ?〉


 コクピット内でも機首とかでも微妙に違うよなー アバターみたいのあったっけ?


「でもホーネットは私のこと見ているんでしょ?」

〈まぁ、ね……〉


 ぬいぐるみを持ち上げて自分の顔に近づけた姫巫女ちゃんだが、ホーネット(ぬいぐるみ)がちょっと困ったように身体をねじる。目をそらされたと思った姫巫女ちゃんがホーネットの向きを変えて正面?を向かせようとするが、そのたびにグネグネ動いてなかなか定まらない。


 ……青春してるなぁ、なんか。多分あの子には何故ホーネットがグネグネしているか分かってないのだろう。


 とりあえず、明日から三日くらいはヒマになるので、何をしようかなぁ、というか、何をしてもらおうか。

 まぁ、でも今日はそれなりに頑張ったからゆっくり休むとするか。って、あたし自身は大したことしてないか。あはは。

お読みいただきありがとうございます

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