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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:再び海に行こう

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工事をしてみよう

あらすじ;

 強襲突撃装甲車ランドタイガーを召喚して、水路の工事を始める

「「…………」」


 沈黙があたりを支配……しない。

 まぁ何せ爆音が凄い。声を張らないと隣の人と会話もできないくらいだ。

 ルビィの召喚魔法で、ワワララトの沿岸の海上にいるシルバーグリフォン号の格納庫から、この場所まで強襲突撃装甲車ランドタイガーを瞬間移動させた。ちなみに召喚の代償はルビィの「存在」なのだが、近距離だったのと、海竜の娘ちゃんも合わせて五人で負担を分け合ったので、特に問題はなかった。

 現れた巨大な鉄の塊に、初見の人は驚きに声も出ず、更にそれが独りでに動いて喋ったりして更に驚かせる。

 しばらく驚きの声と視線を浴びていたタイガーだが「仕事」を思い出して、最初から装着していたアームを左右に振る。


〈で、俺はこれをガーってやればいいんだろ? 図面は確認済みだから…… 少し俺の好きにやらせてもらっていいか?〉

「まぁ、こういうのは専門家に任せた方が早いしな。」

〈さすが博士、話が分かるぜ!

 じゃあ、ちょっとやってくるから、危ないかもしれないから、皆少し下がって博士の裏に隠れてくれ。〉


 と、クロウラーを響かせて水路(予定)の上を進んでいく。


〈よし、まずは小手調べといくか。

 タイガーキャノン!〉


 発射音自体は意外と小さいのだが、着弾後に大爆発が起きる。安全には気を使っているのか、派手に土煙が立ち上って石とか岩が飛び散っているが、ここまでは届かない。


《お次は多段式ロケットだ!》


 距離がはなれたせいか、あたし(と多分ジェル)の耳の通信機にタイガーの声が聞こえてくる。……なんか楽しそうだ。

 遠くに見えるタイガーの上部から何本もの細いものが煙を引きながら射出され、空中で弧を描いてタイガーの前方に次々に落ちていく。さっきは(おそらく)炸薬の入っていない砲弾だったけど、今度は炸薬入りのロケットなので、派手な爆発の光に轟音が鳴り響く。


「「…………」」


 ギャラリーで全然動じてないのはルビィにミスキス、ハルカあたりかな?

 竜であるサクさんや海竜さんですら、目を見開いて驚いているように見える。あ~ 娘ちゃんはキャッキャとはしゃいでいるようだが。

 特に勇敢な海の男である王様もポカンと口を開いている。次はアレかな?


「…………」


 ぎぎぎ、と音が聞こえそうなこちら――具体的にはジェル――を向くけど、ジェルの微表情を見て諦めてタイガーに向き直る。


《よし、少し掘ってみるか。》


 タイガーの姿が地面に沈んでいったので、多分崩した水路(予定)に降りて行ったのだろう。ジェルが空中にバーチャルディスプレイを広げると、そこにはタイガーが作業用のアームで土砂やがれきを除去している姿が映し出された。ワワララトの王様や一部の人はちょっと前に見たことあったが、初見の人も多くて驚きの声が漏れる。なんつーか、いつもの通貨儀式というべきか。

 ザックザクと簡単そうにやっているように見えるが、実際は人では数人がかりでどうにかできそうなレベルの作業を「ザックザク」で行っている。

 砕き損ねた大きめの岩は、そのままアームでパンチして小さくしている。


《ん? ここからはしばらく直線か?

 博士、いっちょ『吠えて』いいすかね?》

「ん~……」


 ちょっと物騒なこと(理由は後で分かる)を言い出したタイガーに小さく唸るジェル。そして後ろを振り返る。


「皆さん、少し下がって、可能なら物陰に隠れて耳を塞いでください。」


 言われて、左右のドアを開いたホーネットを「物陰」として人が集まる。

 と、ジェルは耳栓をつけて他の人と違って逆に一歩前にでる。紋章付きのマントに手をかけているので、ここで壁になるつもりらしい。それなら……


「……ラシェルさん?」

「まぁ、ここ安全だし。」

「そうですか。

 タイガー、やっていいぞ。」

《よっしゃ、ちょっとぶちかますぜ!

 ハウリング・ブラスト!》


 順番としては、遥か向こうに派手に土煙が連続的に上がって、続いて轟音と共に身体が痺れるような振動が駆け抜けていく。

 え~と、可聴域を超えた音波を収束して発射する音波砲だ。タイガーの必殺技ってことになっているので威力は半端ない。


「ふ~ん…… 三割の威力でこれか。

 意外と早くいけそうだな。」

《戻るの面倒だから、ホーネット、グリフォンまで戻ってチャージャー持ってきてくれ。あと弾薬もな。あと、観測員オブザーバーもやってくれ。》

〈んも~ ヘリ使い荒いなぁ……

 ちょっと行ってくるねぇ。飛ぶからみんな離れ……って、ディーナさぁ…… って、海竜の娘さんまで…… ま、いっか。〉


 離陸しようとしたホーネットにどこか嬉しそうに姫巫女ちゃんと海竜の娘ちゃんが乗り込んでいく。

 ぐちぐち言いながらも二人を乗せてホーネットが飛んでいく。


「というわけで、工事は順調です。」

「なんていうか…… 言葉もないな。」


 王様も驚きすぎたのか、疲れたように首を振る。


「多分、もう何度も聞かれたかと思うが、世界征服には興味はないんだな?」


 そしてジェルもいつものように首を振ると、


「だって面倒じゃないですか。」


 と、いつものように返すのであった。

お読みいただきありがとうございます


……コロナにかかって約一ヶ月。暑いせいか、それとも治ってないのか、熱が37度くらいから思ったより下がりません。動きは問題ないのですが、何かモヤります。うぬぅ

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>ジェルが空中にバーチャルディスプレイ(初見のワワララトの王様たちは普通に驚いていた)を広げる 王様は88話でバーチャルディスプレイを見ています。
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