情報を整理しよう
あらすじ:
明日に海の国ワワララトとの調印をするってことらしい一行。説明がてらに情報を確認しておく
※ざっくり説明回です
ワワララトに着いて翌日は海で遊んで、その次の日は準備。そして三日目がこの国のお偉方との話し合いと調印というわけだ。
二日目でジェルが確認ついでに説明してくれたんだけど、この海の国ワワララトと、あたしたちが滞在しているコンラッド王国はそこまで親交があったわけじゃなかった。
それが交流を深めようとなったのは、まぁ何というかまたあたしたちのせいというかおかげというか。
詳細はどこかにあったと思うけど、簡単に説明すればワワララトが海賊に襲われて、逃げてきた姫巫女様――いやぁ、もう姫巫女ちゃんでもいいか――が助けを求めて来たのをヒューイたちが拾って、そのままの勢いでヒューイと戦闘ヘリのブラックホーネットでパーッと行ってきたわけだ。詳しいことはどっかにあったと思う。大事なことだから二度言ってみた。
それで個人的に魚介類の仕入れをホーネットでやるようになったのだが、王都や「雄牛の角亭」で振舞ったら、新鮮な魚介類の良さが知れ渡って本格的な交易をしよう、という話が湧いてきたそうだ。ついでに海があることから塩だってあるわけで。
まぁさすがに馬車で一週間かかる距離なので、新鮮なまま、は難しいかもしれないが、魔法でどうにかする方法があるのかもしれないし。
たまたま(にしておく)、王都コンラッドから南に延びる街道に整備の必要ができたので、それのついでにワワララトまでの街道を見直そうとしているとか。予算は? と思うが、色々あって貴族や豪商のいくつかがお取り潰しになってお金に余裕はそれなりにあるとか。……って、それもこれも何か心当たりはあるのよねー うん、気にしない気にしない。
で、前に我らがハンブロンの領主さまであるジェニーさんが事前交渉でここに来て色々話あったらしいが(詳細は知らん)、その際にこの国が慢性的な水不足であることを知って、恩を売る、という言い方はアレだが、それを解決するために助力をしよう、ってことになったみたい。それくらいしてでも交流を深めたいというのが王家の考えだそうだ。
まぁ、なんで水不足かと言えば、地下水とか井戸はそれなりにあるのだが、砂岩の地質らしく海水が混ざりこんでしまうとか。まるっと海水じゃないけど、やはり飲用には向かないので雨水を溜めて使っているとか。
気候的には温帯~熱帯ではあるが、乾燥地帯でもあるので雨季と乾季がそれなりにある。今は雨季側なのでまだマシだが、乾期になると水を蒸留したり、それこそ魔法で水を作り出して過ごしているらしい。
でも、そんなことは一般庶民にできるわけもなく、国もそこまでカバーできないので、なかなか大変だとか。
で、そんなもんどうしたらいいのさ、って思ってたら、ジェルが色々調べていた。
ワワララトから少し離れたところに水源があり、そこから地盤の固いところを通って国の近くまで通せるルートがあるみたいだ。後はそこまで水を引いて貯水池でも作れば、水不足はだいぶ解消できるみたいだ。
とはいえ、この世界には重機なんてものはない。もしかしたら魔法でゴーレムみたいなのを作れるのかもしれないが、基本は人力だ。水を通さない岩盤層ってことで、事前調査だとかなり固そうで、それを水路にするとなるとどれほどの手間暇が、と。それでコンラッド王国で人手や資金を出して…… なんつーか、仲よくしましょう、っていうことらしい。政治はよー分からんが。
そこでジェルなんだが、あたしたちがワワララトに遊びに行った時の騒動で何か思うことがあったらしく、うちの戦闘機姉妹を使ってよく分からない地面に延々と対地レーザー撃ち込んでいたのよね~ なぜだろ~
って、とぼけてはみるが、これでだいぶ水路工事は楽になるだろうねぇ、と思いたい。
あたしが見た感じではボッコボコにした岩盤のがれきを撤去するだけでもそれなりに水路として使えるはずはずで。それでも相当のマンパワーが必要なんだよねぇ。そこは二つの国の人たちに頑張ってもらうんだろうね。
ある程度は政治的な下準備ができていて、明日それを正式に調印するってことだ。
コンラッド王の名代としてジェル。それこそ、ジェラード=フォン=ミルビット子爵様だ。ただまぁ、ちょっと子爵だと「弱い」らしいのと、ハッタリ?も含めて、第一王女サフィメラと第二王女ルビリアが身分保障をしてくれる、という形になっている。……本当かなぁ?
ちなみに今回同行しているミスキス、ハルカは護衛兼、身の回りの世話ってことだ。あたしはまぁ賑やかしってことで。
「というわけですね。分かりました?」
「まぁ……」
相変わらずジェルの説明は丁寧だ。
それでも多分言ってないことはありそうだし、何か企んでいる空気感だ。疑問はあると言えばある。そういやぁシルバーグリフォンで来たこともそうだし、なんで装甲車のランドタイガーも載せてきたんだろ?
まぁそのタイガーも姫巫女ちゃんの屋敷のインフラ工事手伝っていたからそれかなーって気もしたけど、それだけ……かな? 箱型汎用作業機械だけでもできそうだよねぇ、って気も。
「とりあえずラシェルはいつものように後ろで見ていて気になったことを教えてください。」
まぁそうね。あたしは実際に何かできるわけじゃないし。
とはいえ、いつものようになるようになるしかないわね、うん。
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