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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:再び海に行こう

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空を見上げよう

あらすじ:

 砂浜で横になり風を感じていると声が聞こえてきた

「ちなみに、なんで私はこんなことになっているんですかね?」


 三つ並べたビーチチェアの真ん中で、ジェルが釈然としない顔をしている。その目に映る青空はさぞかし眩しかろう。


「ぎゅー、なの。」

「あ、あの、その、そ、粗末なものを……」


 嬉しそうな顔の王女様のルビィと、顔を真っ赤にさせたメイドのハルカが両側からジェルの腕に抱き着いている。ちなみにハルカの何が粗末かというとボリュームだ。

 アジア人の中でも小柄らしいハルカは確かに小さいし華奢だ。年齢もそこもルビィと同じくらいなので、まぁ今後に期待ってとこだろうか。……まぁ、あたしはまだ勝ってる。未来は知らんが。

 さて、なんでこんなことになったかと言えば、ミスキスとジェルとあたしの三人でビーチチェアを並べて風を感じていたのだが、意外と気持ちよかったのかそのまま寝てしまったようで。

 そのまま寝ぼけて(だと思いたい)ジェルの腕に抱き着いてしまったようで、それで戻って来た釣り組のルビィとハルカの悲鳴じみた声で目が覚めて現実に気づいてしまったわけで。ちなみに姫巫女さんとお付きの方々は静観だったのが逆に辛い。

 あたしは別に驚きもしなかったのだが、ミスキスは自分がジェルにしがみついているのに気づいて、驚きと他の感情で顔を赤くすると、数メートルは跳びはねて砂浜に転がり、そして炎天下の砂の熱さに悶絶してたっけ。無表情で声にならない悲鳴を上げていたので、なんかこー ちょっと面白かった。笑っちゃいけないけど。

 まぁジェル謹製の日焼け止めがある程度の熱を遮断してくれるので、火傷するほどではなかったそうで一安心だ。

 ミスキスの災難はともかく、ルビィと、ついでにハルカに何となく強い視線で見つめられて、未だに抱えていたジェルの腕を解く。


「…………」


 両腕の拘束が失われたことで、ジェルが複雑そうな顔で身を起こそうとするが、そこに何故かルビィの声がかけられる。


「ジェルさん、ちょっとそのままなの!」


 いきなりのことにジェルが何事か、みたいなって顔をしたところで、ルビィがトコトコとあたしの方にやってきて、腕を引っ張って立ち上がらせる。

 と、多分あたしの温もりが残るビーチチェアにルビィが転がると、そのままの勢いでジェルの腕にしがみついた。


「ほら、ハルカも来るの!」

「え? えぇ?!」

「くーるーのー!」


 王女様の命令だからか、あわあわとしながらもミスキスのいたビーチチェアに腰を下ろしてから横になり「失礼します」と一言断ってから同じようにジェルの腕にしがみついた。


 そして冒頭に戻る、というわけだ。

 ルビィは顔をちょっと赤くしながらもまだ余裕があるが、ハルカはボチボチ限界が近そうだ。だがそのせいで締め付ける力が強くなったのか、少々痛そうに見えなくもない。

 いやぁ、それでも女の子の柔らかさを二人……じゃなくて、四人分も堪能できたから、それはそれで良かったんじゃないの~

 って、何故あたしはびみょーにイライラしているんだろうか。


「ラシェルさん、そろそろ何とかしてもらえると助かるのですが。」


 なかなか複雑な表情を見せてるところをみると、ジェルでも照れたり恥ずかしがる事があるようだ。……まぁ、何も思わなかったらそれはそれで屈辱なわけだけど。


「はいはい、二人ともその辺にしておきなさい。」

「は~い。」

「あ、ありがとうございます……」


 あたしが声をかけたら素直に引いてくれた。力ずくとなると掴みどころが難しいのでこれは助かった。

 ジェルが重めのため息をついて、白衣を着なおしながら立ち上がる。だいぶお疲れのようで。なんて贅沢な奴だ。


「ふふふ、次は私の番ですね。」

「いや、それは……」

「ええっ! ラシェル姉様、ひどい……」


 とんでもないことを言い出したのでバッサリ切ると、さめざめと泣く真似をする銀髪のお姫様にチョップを落とす。ただそれはそれで親愛の情と思ったのか、どこか嬉しそうなので扱いに困る。

 グダグダしかけたのだが、どことなく聞こえたお腹の音で空気が一気に緩む。

 誰のおかげか知らないけど、色々助かったというかなんというか。


〈あれ、今のディ……〉


 なんか向こうでヘリコプターを模したぬいぐるみが、姫巫女様の腕の中でモチャモチャにされて物理的に黙らされたのは気のせいだろうな、うん。



 色々とちょうどいい感じになったので、昼ごはんの準備に。釣り組の釣果はなかなかのもので、刺身に焼き魚、スープを散々作っても余るくらいだった。それこそ昨日のうちに冷蔵庫や冷凍庫もできたんで困ることもないだろう。

 午後は急にスコールになったんで、海遊びは中断。室内で昼寝やお喋り、持ってきたボードゲームとかで過ごした。

 夕方になると雨も止み、夕食に。

 雨といえば、この国は真水が足りないんだっけ。この雨は文字通り惠の雨ってことか。

 ここはジェルの作った装置で真水が豊富に使えるけど、この国の人は水に苦労しているんだよな。

 あたしはひょんなことでこの世界に来たけど、ジェルのおかげで身の回りに困ることは無かった。でもこの世界は普通に衣食住に困る人がいるわけだ。そう、あたしが普通に恵まれていたんだ。

 全部ジェル任せとはいえ、この国の人の生活が少しでも良くなってくれたらいいな。

 雨上がりの星空を見上げて、らしくもなく、と自分でも思っちゃうようなことを考えてしまったのであった。

お読みいただきありがとうございました

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