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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:頑張ってダラダラしよう

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軽食を提供しよう

あらすじ:

 パジャマパーティの翌朝、ジェラードが王都から帰ってきた

「すみませんが、何か軽く食べられるものがあれば。」

「はいはーい、朝のパンが残っているので、サンドイッチ?って奴にしますね。」


 ジェルのお願いにアイラがパタパタ厨房に駆けていく。白玉メイドさんはもう引っ込んでしまったようだ。

 この世界のパンはなかなか固い――バケットを想像してほしい。その七倍は固い――ので、サンドイッチに向かないのだが「雄牛の角亭」のパンは酵母発酵で作られたフワフワパンだ。この製法も少しずつ広まって行ってるので、パン料理も発達することだろう。

 とか考えてる間にアイラがさっとサンドイッチを作って戻ってくる。味見程度の小さいのをリリーとルビィの前に置くのも忘れない。


「ありがとうございます。」

「いえいえー お安い御用ですー」


 リーナちゃんが不在の今、料理ができるのがアイラだけなのか、じかに頼られて実に機嫌がよさそうだ。……いや、ホントにこんだけ女の子いて、全滅ってどーゆーことよ。いや、あたしも人のことはこれっぽっちも言えないのだが。


「朝食もとらずに逃げるように帰ってきたのですよ。」


 がっつく程ではないが、急ぎ目でサンドイッチの朝食を済ませるとハーブティで口を潤す。


「あのまま王都にいたら、もう二三日帰れないところでした。」

「……だから本当の急ぎの分だけ先に片づけさせてもらったんだよ。後は最悪こちらでもいいからな。」


 さっきジェルが出てきた入り口から眼鏡をかけた美丈夫が現れた。宮廷魔術師兼、第一王子のストッパー兼、ハンブロンの領主補佐ってとにかく雑務ばっかりやらされるし、それもキッチリこなす優秀な魔法使いのギルバート――ギルさんだ。そのままジェルとあたしのいるテーブルに着く。魔法の力で王城から「雄牛の角亭」まで瞬間移動できる転送陣を使ったで間違いないようだ。ちなみにジェルはこの転送陣と相性が悪いらしく、戦闘ヘリのブラックホーネットで小一時間かけて戻ってきたわけだ。


「おお、神よ。我を見捨てたもうたか。」


 顔はいつもの微表情のままで天に手を差し伸べるジェル。対するギルさんは眉一つ動かさない。


「神なんて一番縁遠いだろうがお前は。」


 そういうギルさんもあんまり「神」というものには興味がなさそうだ。


「文句があるなら、自分の優秀さを恨むんだな。」

「……どういうことなんですか?」


 ギルさんが来てから遠巻きに見ていた中でリリーが好奇心に負けたのかついつい言葉に出してしまう。声をかけられると思わなかったギルさんが、ちょっと戸惑いながらも答える。


「ん? ああ……

 ジェラードな、置いてあった資料をペラペラってめくって目を通しただけで、問題点とか間違いを見つけるんだぞ。王城に一人置いておきたくなる、と我が王がな。」

「やっぱりハカセだ!」

「……うん、すごい。」

「ジェラードさんですからねぇ……」

「すごいの!」

「さすがですわ。」


 遠巻きガールズ(メイド二人は無言)から称賛の声が聞こえて、ジェルが(分かりづらいが)渋い顔をするが、あれはある意味照れ隠しだ。放っておけばいい。ギルさんもそう思ったのか、気にせずに続ける。


「……いや、分かるでしょうが。」

「分かるか。俺もお前に指摘されるまで全然気づかなかったぞ。全体を読んでやっと分かるのを、何であの流し読みだけで分かるんだ? おかしいだろ。」


 呆れと感心の混じった言い方に、ジェルが助けを求めるようにこちらを見る。こっち見んなや。


 まぁ、補足させていただくと、頭じゃ理解できていないのに、違和感を覚えたり、いきなり答えが分かることがあるんだけど、それが「勘」と言うものだとか。で、この勘って当てずっぽうではなく、知識や経験の積み重ねにより産まれるのであって、ジェルの場合はその傾向が酷い。唐突過ぎるんだが、でもまぁ当たっていることが多すぎて、ジェルの本気声の時は一切疑問を挟まずに指示に従うってぇのがチーム・グリフォン内の暗黙の了解だったりする。

 結局のところ、


「まぁ、ジェルだしね。」


 裏切られた! って顔をしているんだろうジェル。両手を広げて天を仰ぐ。


「やはり神は我を……」

「そういうのはいいからな。申し訳ないが、あと三つほど目を通してほしい案件がある。……場所を移すか。」

「仕方がないですねぇ。」


 諦めたようにジェルが席を立つと、二人で厨房を挟んだ反対側の食堂へと移動する。ということは、特に内緒話をするわけでもなさそうだ。聞きたければどうぞ、って事なのだろう。

 興味はあるんだろうけど、リリーとミスキスは日課の鍛錬。ルビィとサフィの王女ズはこれまた日課の職務、ハルカとミリアの隠密メイド(相変わらず受け入れがたい)も本来の仕事があり、アイラはアイラで「雄牛の角亭」の仕事がある。


 見事にニートなのはあたしだけか。

 皆が出て行ってしまうと、あたし以外は黒猫スコッチと背景のサクさんくらいになってしまうので、あたしもジェルとギルさんの方に向かうのであった。

お読みいただきありがとうございます


……ちょっと方向性が迷子気味。そろそろ何か事件でも起こすかな……?

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