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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:頑張ってダラダラしよう
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白玉メイドと仲良くなろう

あらすじ:

 パジャマパーティの翌朝、お酒が入ったせいか寝坊する人も

 パジャマパーティという名の若干の悪夢はなんともグダグダの内に終了した。

 今日はジェルがいないので珍しく一人寝だったんだが、別に眠れないってことはなかった。……いや、それこそ元の世界に戻ってた時はふつーに別々だったわけだし。


 ……うん、このことは棚上げにしよう。



 翌朝。


 お酒が入ったのか、ちょっと寝坊をしたらしい今唯一の調理担当のアイラがなかなか起きてこない。……いや、これだけ女の子がいて、料理できるの一人って色々問題じゃなかろうか。

 起こすのもなんだし、腹ペコツインにこれ以上我慢させるわけにもいかないが……

 って、思ってたら白玉メイドが厨房に現れると、さかさかと調理を始めた。最初は一人だったが、手が足りなくなったのか途中で増えた。……うん、増えた。


「ごめんごめん! 今すぐ……」


 奥からパタパタ足音が聞こえてアイラが顔を出したところで硬直する。そりゃまぁ、厨房に数人に白玉メイドがいたら驚くわな。で、件の白玉メイドはアイラに気づくと、一人に「戻って」ペコペコ頭を下げて厨房を出ていこうとする。


「ちょっと待ったぁ!」


 アイラの声に白玉メイドの動きが止まる。


「ここまで作ったなら最後までお願い。あたしも手伝うから。」


 頭が白い球体だから表情は分からないが、恐縮したように体の前で手を振るが、アイラが引かないのを見て、小さく肩を落としてからペコリと頭を下げる。


「よし、」


 と笑顔になったアイラに手を引かれて厨房に戻ると、二人で朝食の準備を再開した。

 ほどなく、具体的に言えば欠食児童が息絶える前に朝食が完成した。しばらくは色々バリエーションを考えていたが、結局パンと卵料理、そして野菜というシンプルかつ誤魔化しのきかない料理に落ち着いた。

 そして今日はオムレツにサラダにソーセージ(自家製)だ。こっちの世界じゃあ基本ソーセージというか腸詰は、まぁ保存食の意味合いが強く、塩辛いし干せまくっている。

 歯でかみ切ったらプツンと張りのある皮から肉汁たっぷりとは無縁なので作ったわけだ。無論我らが領主さまや、飲兵衛ズには酒の当てとして好評だ。


「おいしー!」

「おいしいの!」


 安定のシャウトにアイラの顔に笑みが浮かぶ。厨房で片づけを始めていた白玉メイドがどこか嬉しそうに身体を傾ける。いや、無表情や微表情は見慣れてるんで読み取れる気がするんだが、顔が白い球体だとホントに分からん。でもそれ以外はなんとも「表情」豊かだし、何体か見るが「増えた」のでなければそれぞれに個性や性格があるみたいだ。

 聞いた話だと、隣の騎士団の宿舎で何体か働いているらしいが固定ファンがついているとかついていないとか。

 最初見た時はただ黙々と動くだけかと思ったら、少しずつ個性を得たような気がする。なんか箱型汎用作業機械キューブのようだ。元々はシルバーグリフォンやその艦載機の操作で動いていたのだが、こっちに来た時に自立行動を取らせるようにしたら、得意分野や自己進化を始めたそうで。……憶えていたらジェルに聞いてみよう。


「ほらルビィ、大丈夫だよ。」

「う、うん、なの……」


 ん?


 まったりしていると、リリーとルビィの声が厨房の方から聞こえてきた。なんだろ? って思ってそっちに目を向けると、白玉メイドに抱き着いているリリーと、それを少し離れて恐々見ているルビィの図だ。

 なんかファーストインプレッションが悪かったのか、どうもコアの人や、白玉メイドや白玉執事に苦手意識があるらしいルビィ。ご飯を作ってくれた白玉メイドで慣れさせようというところなのだろう。

 そして現在進行形で胸のあたり――む、なかなかのボリューミー――に顔を埋められて顔は分からんが、困りつつもルビィが気になるように見える。顔でも描いたらどうだろうか。いや、ダメか。あ、でも魔法的な力でどうにか? ……ならんか。

 白玉メイドは片手をリリーに乗せて、もう片方でルビィを手招きする。しばらく迷っていたが、リリーの視線も手伝って、やっぱり恐る恐るだけど二人の方に近づいていく。

 そっと伸ばされた手を取って、ハッとしてその手をしっかりと握る。


「温かい……」


 そうなんだ。


 顔(白玉)を見上げるとまだ少しビクッとするが、手を放してリリーと一緒に抱き着いて、ちょっとこわごわしながらもギューとルビィがしがみつく。


「ね、大丈夫でしょ?」

「う、うん、なの……」


 まだ苦手意識はあるようだが、まぁこれは慣れてくれるしかない。少なくとも「雄牛の角亭」にいる限りは出会う機会も増えそうだしねぇ……

 白玉メイドはどこか困ったように頬(と思われるあたり)に手を当てると、その手をルビィの背中を優しくポンポンと叩く。

 一瞬ビクッとしながらも、更に力を込めてしがみつくルビィ。どこか無理をしているようにも見えるが、ホント頑張ってほしいところだ。

 そんな風に考えていると、奥の扉が開いて、誰かが現れる。って消去法で考えてもまぁジェルしかおらんだろ。


「ん、お帰り。」

「ただいま戻りました。」


 あたしの声に返ってきた言葉で、店内の視線がそこに集中するのであった。

お読みいただきありがとうございます


なんかあっちこっちレイアウトやデザインが変わりましたねぇ

慣れないといけませんなぁ

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