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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:頑張ってダラダラしよう

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仲良くなろう

あらすじ:

 女の子たちのパジャマパーティ。少しずつアルコールが入ってきて……?

「というわけで、あたしたちはジェラード様達とは違う時代というか世界からこちらに来たのです。」

「はい、あたしたちはある方に助けられて城勤めに。」

「そうですよね。ジェラードさんたちみたいに強い人ばかりじゃないですからね。」


 隠密メイドのハルカとミリアの身の上話にアイラがうんうん頷く。


「そういえばハルカさんはジェラードさんと雰囲気似てますけど、何か関係が?」


 確かにハルカはジェルと同じ黒目黒髪だ。ミスキスも色は近いが、彼女は目も髪も紫がかっていて明らかに別の色だ。元々この世界では黒って珍しいんだよね。


「多分…… 違うと思います。名前の感じが全く違うので。」


 言語の違いかな? そういえば、あたしは一応フランス人なんだけど、ジェルは何人なんだ? まぁ、世界が色んな国に分かれていた頃はともかく、あんまり国籍ってものは関係なくなっているのがあたしたちの世界というか時代だ。


「あたしがいた国は、周りが皆同じような色だったので、ちょっと…… 親近感が湧きますね。」

「「「む!」」」


 幾つかの視線がハルカに突き刺さる。

 あたしもちょっとピンって来た。


 ……え~と、何かあったっけ?


 そういえばルビィの成人のお披露目の時に変な鎧に襲われて、リリーとハルカが戦っていたっけ。そんで親玉みたいのはルビィとリリーの二人でどうにか倒したものの、みんな力を使い果たしたところで残った鎧が二人に殺到したんだよね。あたしもとりあえず二人のかばうために行ったけど、役に立つわけでもなく。

 まぁ、いつものようにギリギリでジェルが現れて、ルビィもリリーも色々傷ついたのを見て激おこになって、一気に殲滅したんだよねー それ見てたよねー

 自分の為じゃなく、誰かの為に怒って、その上で圧倒的な力を見せたら、そりゃキュンとは来るかぁ…… 来るよねぇ、あんときって本気でカッコいいし。あー 一般論一般論。


「まぁ、ハルカはジェラード様が気になるんだもんね~」

「そ、そんなこと…… ある、かも。」


 ミリアの指摘に尻すぼみになりながらも、ちゃんと肯定するハルカ。むむむっ。


「「「むむむっ。」」」


 同じような声があちこちから聞こえるが、すぐに小さなため息に変わる。


「ジェラードさんですからねぇ。」

「ラシェルは知ってると思うけど、真剣なときの横顔、いい……」

「ハカセ、カッコいいし、優しいよね……」


 三人娘が「恋する乙女」の顔をされると、あたしも何も言えないし、自分はあんな顔ができるんだろうかって考えてしまう。


「そうです! ジェルさんは凄いんです!」


 両手に腰を当てて、さも自分のことのようにふんぞり返るルビィ。……あのね、一応じゃなくてもお姫様なんだから、もうちょっとエレガントにね。って、それを注意すべきお姫様(姉)はニコニコとロイヤルに見ているだけだ。


 というか、お酒入ってる?


 ちょっと鼻に集中すると、あちこちからアルコールの匂いがする。元々弱めの奴を割って飲んでるから大した度数ではないが、飲んでりゃ効いてくるわね。

 ちらっ、とアイラに目を向けると、あたしの意図を悟ってくれたか小さくウィンクで返してくれる。これでもずっと一人でこの店を切り盛りしていたから、アイラが見ていてくれたら飲み過ぎでどうにかなることはないだろう。うんうん。


「そういえばさぁ、ルビィ?」

「…………」

「わ、ミスぇ、いきなり何?!」

「…………」


 時に何故かサフィがあちこちチョロチョロしているリリーを何故かずっと目で追っている。


「リリーさん、」


 サフィがポンと手を叩いてリリーの気を引くとニッコリと微笑む。


「ねぇ、この子は?」

「ルビィ……?」


 妹を引き寄せてそのツインテールをピコピコさせながらリリーに尋ねるので、意味が分からず恐る恐る返す。


「じゃあ、こちらの方は?」

「アイ姉ぇ……」


 少し離れたところにいたアイラに手を向けてもう一度尋ねる。やはり理由が分からなくて首を傾げながらも答える。


「はい、」


 最後にサフィを自分を指さすとニッコリを笑みを浮かべたところで、やっとリリーもサフィが何を言わんとしているか気づいて顔が強張る。


「私もルビィの姉なのですよ。妹だけ愛称で呼ぶんですから、私も……」


 と、どこか演技じみた拗ねた顔をするところでリリーもやっと気づいたらしい。おろおろと周りを見渡すが、展開が分からないのが半分、分かってて期待が半分くらいの雰囲気にリリーがサフィを見つめるが、ロイヤルなスマイルが返ってきて言葉に詰まる。


「サ、サフィ……姉ぇ。」


 頑張ったリリーがそう口にすると、サフィがパーッと笑顔になってから、こほん、と小さく咳ばらいをした。何かを言おうとして口が開こうとして何か言えなくてしばらく頑張っていて、拳を握りしめて気合を入れてその名前を絞りだした。


「リ、リリー……」


 やっと言えたようで、疲れたように息を吐いた。


「妹以外の人をこういう風に呼ぶのは初めてですわ。」

「ダメー! リリーはルビィのなの!」

「いや、違う。リリーはわたしの。」

「あ~ん、お二人ともズルいですわ!」


 ルビィとミスキスがリリーの左右から抱き着くと、サフィがクネクネして見えないハンケチを噛みしめる。

 アイラは呆れ、ハルカとミリアはここぞとばかりに小さな板状端末を掲げているので撮影をしているんだろう。


 ……お前ら、やっぱり酔ってるな?


 なんかこう出遅れ感があって、仕方が無く自分のカップを傾けた。

お読みいただきありがとうございます

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