女の子たちで集まろう
あらすじ:
ちょっとしたパジャマパーティが始まる
どうしてこうなった。
「「「かんぱーい!!」」」
目の前にはたくさんの美少女たちが飲み食いしている。飲みはともかく、食いに一生懸命なのは約二名だが。
まぁ、みんな夜着姿なので、なかなかに眼福だ。これらもあたしたちの世界で買ってきたものだ。まぁ、パジャマなんてそんなにサイズが厳密じゃないんで、結構多めにあるんだよね。生地も薄いからかさばらないし。
まぁカエデみたいなごく一部が大きい人には合いそうにないが、ここにいる女の子たちでは問題なかったようだ。
さて、そもそもどういう状況かというと、なんかヒューイとカイルが少し森にこもるわ、って言い出したことだ。
都市騎士と騎士団で希望者を連れていくとか。で、実は騎士団――コンラッド王国第七及び第八騎士団って、サフィリア姫とルビリア姫直属の騎士団なので女性騎士だらけだ。ただ半数くらいはメイドで、更に戦闘メイドと隠密メイドが半々くらいで。……不思議な単語だな、うん。
そんなわけで、それぞれから五~六人連れてって森に行ってくるとか。女性騎士も多いのでリーナちゃんも連れていくそうで。
いっつも忘れそうになるが、あの家事の微笑み女神のリーナちゃんだが、戦闘もサバイバルもヒューイたちに仕込まれているので野営とかも全然平気だ。半数くらいが女性なので、今回同行させることにしたとか。
へぇ、と思ってたら、なんかジェルも王都に呼ばれて飛んで行った。
事情はよー分からんけど、なんか急ぎだったのか、いつもはあたしが一緒に行く感じなのに珍しく置いていかれた。その後で連絡があって、今日は戻ってこれないそうで。
……ホント珍しい。というか、こっち来て初めてかも?
続くときは続くもので、何か別件だったらしく、我らが領主さまのジェニーさんも別件で王都に行ってしまった。ジェルは「飛んで行った」って戦闘ヘリのブラックホーネットに乗って行ったのだが、ジェニーさんは新しい車両であるパンサー2に興味津々だったのもあって、ピューと走り去っていった。なかなかご機嫌な横顔が見えたので、お気に召したらしい。
そうしたら、
『今日は店閉めましょう。』
と、オーナーから雇われ店長になったアイラがそう決めた。元々ワーカホリック気味だったが、最近は少し息抜きを憶えたらしい。
『ふ~ん、』
アイラがいつもよりもやや少ない店内をグルリと見回す。
『よし、じゃあ……』
ってことで、この女の子だけのパジャマパーティだ。サクさんも誘ったのだが『拙者にはパジャマは似合わぬのでな』と断れたので、残りのメンバーでいつもみんなが集まる食事スペースと厨房を挟んで反対側の「居住区」とされる側の食堂に集まった。
前もやったと思うが、イカれたメンバーを紹介するぜ!
ジェルに雇われるって形になったことで「いつこの身を捧げれば」と弱々しい口調にはそぐわない笑顔を浮かべるのがちょっと怖いアイラ!
訓練の賜物か、すっかり気配が希薄になってジェルですら気づかぬ内に遠くから見つめている事が気になるミスキス!
日々騎士団と混じって身体を鍛えているせいか、食事量が増えている気がするけど、全然太る気配がないなんとも羨ましいリリー!
こっちにいるときはすっかり甘えん坊なのか、お姫様らしさが日々失われていくので不安なルビリア姫ことルビィ!
妹と違ってロイヤルなオーラは出ているのだが、最近は少しずつ薄れてきつつある普通の女の子になりたいサフィリア姫ことサフィ!
そしてお姫様の警護のための騎士団が今日は少ないため、という名目で店にいた隠密メイドのハルカとミリア! ……この二人、実はあたし達とは違う時代の異世界から来たらしく、色々あって城勤めをしている。最初は通常のメイド(って意味不明な言い回しだが)だったが、ジェルから小型の端末を使えるようにしてもらったことで、隠密メイドに配置換えになっとか。あんまり話したことがないので、今日は少しは近づけたらいいな。
全員成人しているので、アルコールもオッケーなのだが、そんなに強いのは用意しない。せいぜいジュース類で割って飲むくらいだ。
お菓子類も甘いのしょっぱいの、それこそあたしたちの世界のお菓子を用意した。で、今日はリーナちゃんがいないので、地下のコアの人の所からメイドさんが二人来てもらった。
……そう、あの頭が球体のメイドさんだ。
ただまぁ物静か(口もないわけだし)で、コップが空いたら新しいのを用意してくれるし、お菓子の補充もしてくれる。
表情は分からないのだが(球だし)、動きがなんというか機械的じゃなく、どこか人間味が感じられる。最初苦手にしていて、ちょっと怯えていたルビィなのだが、メイドさんがどこか申し訳なさそうに頭を下げるのを見て、少しずつ態度が軟化しているようでなにより。
というわけで、乾杯の後、お互いに簡単な自己紹介をする。MCとか特に決めてなかったのだが、いつの間にかにあたしがやることに。なんでだろ? って思ったが、よくよく考えなくても、全員と面識があるのがあたししかいなかったわけで。
……多分あの話題になるんだろうなぁ。
ちょっと戦々恐々となりながら、それを誤魔化すためにポテチに指を伸ばした。
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