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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:異世界での生活を再開しよう

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33/152

更に貴族の話を聞こう

あらすじ:

 貴族は色々面倒そうで、ジェニファーに話を聞く


※今回もちょっと説明回です

「で、面倒ついでに思い出しましたが、王城行ってなんかしなきゃならないんですか。だとしたら暴れますが。」


 ジェルがぼそっと物騒なことを呟く。

 ある程度は予想をつけていたんだろうか、ジェニーさんは少し苦笑いしながらも、律儀に答えてくれた。


「それも私とギル坊で必死に止めた。少なくとも皆の前で大々的に授与するのは無しだ。というか、我々がさせない。

 それが騙し打ちのようになったとはいえ爵位を与えるのを止められなかった我々の責任かと。」


 意外と重い内容にジェルも一瞬言葉が詰まる。ジェニーさんなりに抗ったらしい。


「……恩義に感じるほどではないですが、ご面倒かけたようで申し訳ない。」

「いやいや、恩義を感じてくれても良いぞ。」


 ニヤニヤするジェニーさんにジェルが(分かりづらいけど)表情を戻す。


「一度、お互いの恩義を清算しますかね。」

「やめてくれ。どう考えてもこちらの負債が多すぎるし、今後も増える一方だ。アイラ嬢ではないが、この身を捧げるしかないよ。」

「…………勘弁してください。」


 さすがにコメントに困って、絞り出すような声を出すジェル。ついでに流れ弾が直撃したアイラが助けを求めるように周りを見るが、なんか今更なのか、みんなニヨニヨと見て救いの手は差し伸べられなかった。


「さすがに即答されると私も傷つくところだったよ。これは私にもまだチャンスがあるということかな?」


 なんて言うと、店内の「圧」が高まる。ルビィもそんな顔するんじゃない。ついでにサフィも面白がってやってるでしょ?


「とりあえず旗色が悪いので無理やり話題を変えたいのですが、紋章とか決めなきゃならないです?」

「ん? そうだね。早めに決めた方がいいな。紋章官は…… いや、いなくてもいいか。」

「領主さま、紋章って?」


 小さくリリーが手をあげる。


「ん? リリー嬢には私の紋章の指輪を渡したと思ったが。

 まぁ簡単に言うと貴族の証明だな。その紋章を見せた上でのことは、全てその貴族の責任となる。偽造したら大罪だし、盗まれたりして悪用されたら目も当てられない。」


 ジェニーさんがそう言うと、リリーがさーっと青ざめる。落ち着いてジェニーさんの顔を見てみなさい。半分笑ってるから。


「大丈夫だよリリー嬢。

 私は別な意味で有名だからな。例えばだが…… ジェラード君が町中で『俺が世界を救ったんだぜ』って自慢をしていたらどう思うかね?」

「「「ダウト!」」」


 あたしとリーナちゃん以外の女の子たちが一斉にジェルを指さす。いや、言いたいことは分かるし、間違いじゃないのは確かだが。指をさされたジェルはどこか疲れたような顔をしている。


「だろう? というわけで、リリー嬢が使う分には問題ないし、盗まれて悪用しようにもすぐにバレるから安心して持っていたまえ。」

「はぁ……」


 どこか納得のいかなそうな顔のリリーだが、それでも少しは安心したようだ。と、今度はアイラが質問をする。


「あのぉ…… ついでに紋章官、って教えてもらえませんか?」

「いいだろう。紋章官とは、家名や紋章を管理というか、記録する仕事だ。

 新しい貴族が生まれたときに、現在使われている家名や紋章が重複しないように確認するわけだ。あと過去のものでも曰く付きのものもあれば、色々なルールやタブーも把握している。」


 あ~ あたしたちの世界の昔々には紋章にも色々なルールがあったと歴史の授業で聞いたことがある。紋章学って学問もあったはずだ。


「ああ、そういうことですか。

 グレイ、ちょっと来てくれ。」


 ジェルの呼びかけに壁に偽装されていた箱型汎用作業機械キューブが一つ出てくると、イメージカラーの灰色になって、そこから声が聞こえてきた。


《呼んだかの?》

「この国の紋章の傾向と、適当な候補を。」

《そうじゃのう……》


 大型トレーラーのグレイエレファント。パーソナリティは老人。ある種の読書家ビブリオマニア。ジェルも凄いが、純粋な知識量ならコンピュータのグレイの方が遥かに上である。こちらの世界の書物もドローンを使って収集しているようなので…… ってそういうことか。


《大体はシンボルを二つか三つ組み合わせている場合が多いのぉ。立体的な紋章から、印章に使うものまで全て同じデザインになるから、凝りすぎても困るようじゃな。》


 なるほどなるほど。


《一般的には動物や、その家のモチーフを組み合わせることが多い。ただ、竜や亜竜は公爵以上でないと使ってはいけないようじゃな。やはりグリフォンを使うのじゃな?》


 だろうね。あたしたちはチーム・グリフォンなわけで。


「デザインはいくつか候補を挙げておいてください。その中から考えます。」

《了解じゃよ。》


 と、灰色のキューブの色が戻ると、また壁に戻っていく。


「……後は何かすることありますかね?」

「そうだな。一応、一度くらいは王に会ってくれるかしてくれると助かる。」

「分かりました。

 やっぱり貴族って面倒ですねぇ……」


 ノンビリしたいのですがねぇ、とジェルは叶わない望みに溜息をつくのであった。

お読みいただきありがとうございます

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