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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:異世界での生活を再開しよう

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貴族の話を聞こう

あらすじ:

 領主であり貴族のジェニファーの話を聞く

「話を戻して、貴族の仕事についてだが…… いきなり説明するのもなんだな。誰か分かる者はいるかな?」


 会話に変化が欲しかったのか、ジェニーさんが教師のように周りに問いかける。って、そういやぁこの人昔、王子の家庭教師だったんだっけ?


「はい、なの。」


 小さな手が上がった。


「よし、ルビリア王女」

「はいなの。」


 指名されてルビィが立ち上がる。


「お城で働いている偉い人はだいたい貴族なの!」

「うむ、正解だ。ジェラード君、褒めてあげなさい。」

「は?」


 急に振られた驚いた声を上げるが、ルビィはルビィで目を輝かすと、やや下向きになり頭頂部を見せるような体勢になる。それを見て他の女の子たちもやる気を刺激されたというか、色めきだつ。

 あ~ やらなければやらないで、それなりに遺恨が残りますぜミルビット子爵。

 目でそう訴えると、一瞬天を仰いでから、周りからの圧に負けて、ルビィの金髪に手を伸ばす。


 サワサワサワ……


 こっちにいる機会が増えた姫様ズはジェル謹製のシャンプーとリンスをお使いあそばされたせいで、その金髪と銀髪が更に磨きあがってキラキラと輝く。とはいえ、髪のツヤなら三人娘も負けちゃいない。


 ……って、そこはポイントじゃない。


「まぁそれくらいでいいだろう。

 ルビリア王女の言った通り、国の要職は貴族が担っている。貴族だから要職なのか、要職だから貴族なのかはともかく。大臣、宰相、騎士団長などなどだ。」

「……あれ?」


 名残惜しそうに離れるジェルを見つめるルビィという壮大なドラマの最中にジェニーさんの説明が入った。そこで何かに気づいたのか、アイラが小さく声を上げる。


「どうしたかね?」

「いえ…… ギルバートさんって宮廷魔術師、ですよね?」


 第一王子のお目付け役の方が目立っているが、一応この国トップクラスの魔術師ってことになっている。ただ「平民上がり」とか陰口叩かれたり、王様が爵位をあげたい、みたいなことを言ってたところをみると、それこそお貴族様じゃないんだろう。


「良いところに気づいた、アイラ嬢。ジェラード君、」

「勘弁してください。」


 また振られそうになったジェルだが、即座に口を挟む。もしかして自分も、と淡い希望を抱いていたアイラが、まさかの裏切りに絶望し、どこか恨みがましい目でジェルを見る。


「……と、いずれ全周囲から圧がかかりそうなのと、そういうやり方で教育効果が得られるかどうか、という疑問が。」

「まぁ確かに一理はあるな。

 それはさておき、ギル坊のことだが、実際にアイツは貴族でも何でもない。」


 ちなみに私が見出したのだよ、とちょっとした爆弾発言がジェニーさんから放たれる。


「魔法の腕は大したものだし、腕っぷしも強い。手のかかる王子のお目付け役としては十分だったよ。

 それでも単なる平民を王城に置くにはそれなりの肩書が必要だし、現に国一番と言っても過言ではないほどの魔術の使い手だ。」

「凄いんですね……」


 多少魔法が使える関係で、ギルさんとは話す機会の多いアイラ。ただまぁ、正直なことを言えば、王城関係者以外の魔法使いなんてアイラともう一人くらいしか知らないから、魔法を使えること時点で結構凄いんじゃないかとは思う。


「ただまぁ、あの男の本当に凄いところは、魔法でも腕っぷしでもない、あの頭脳だろうな。ジェラード君と対等に渡り合えるのは心底感心したよ。」


 まぁ、あたしもそれは同感。ジェルもギルさんとの会話は楽しんじゃないだろうか。


「ただ、残念なことに、ギル坊もジェラード君もあまり貴族向きではないのだが、それはそれで好ましいものだよ。」


 うんうん、と店内の女の子たちが納得したようにうなづくので、居心地の悪くなったジェルが困ったように視線を逸らす。


「そんな私を貴族したのは誰なんですかね?」

「そりゃあ、我が王だよ。ちなみに私が止めなかったら侯爵になって、私もこうやって気楽に声をかけられなくなったところだよ。」

「……それは感謝した方がいいのですかね?」

「自分でも頑張ったと思うよ。君は違うと分かっていても、やはりそれだけ『差』があるとね。」


 あたしが物語とかで見た感じだと、平民にとっては皆まとめて「貴族」ではあるけど、貴族同士だと結構そういう爵位の差が重いらしい。まぁジェニーさんは元々そういうのを嫌ってハンブロンの町を納めるようになったわけだが、それこそジェルのせい(もしくはおかげ)でハンブロンの町に注目が集まり、もしかしたら表舞台に返り咲くのかも。

 と、疑問に思って聞いてみたら、なんとも男前に微笑まれた。


「心配ご無用だよラシェル嬢。確かに私を中央に戻して、代わりにこの町を、って言っていた欲深がいたが、王に『この国を滅ぼすつもりか!』と叱責されていたよ。」


 大げさに聞こえるかもしれないが、分かる気がする。ジェニーさんほど「話せる」人じゃなかったら、あたしたちの異世界生活はもっと大変だったかもしれない。


「この町はいくらでもお金が湧いてくる泉のようなものだからな。その水を独占しようとする輩はいる。

 ……その為に領主館を隣にした、と言っても実は過言じゃないかもな。」


 サラリと怖いことを言うジェニーさんだが、元の世界に一度戻って準備万端になったあたしたちに死角は……あるかも?


 面倒ですねぇ、といつもの口調で呟くジェルだが、逆にいつも通りで安心する自分がいるのは秘密だ。

お読みいただきありがとうございます


ちょっと調子がアレだったので、一日遅れになりました。次も遅れたらすみません

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