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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:異世界に再び降り立とう

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みんなに手を振ろう

あらすじ:

 異世界の宇宙空間に戻ってきたシルバーグリフォン

 懐かしのハンブロンの町を目指して降下する

 さて、あたしたちにとっては「異世界」であるこの世界の宇宙空間へリープアウトしたシルバーグリフォン。

 宇宙空間から惑星に降りるなんてシルバーグリフォンにとっては朝飯前だ。出るときは気にしなかったが、惑星の周辺にデブリ(宇宙ゴミ)がほとんど無いらしい。降りるのは楽ですよー というのがグリフォンの弁だが。

 それに関しては、長い月日の間に引力で落下したか、風化したというところだろう、というのがジェルの予想。

 一度上下しているので、特に問題もなく大気圏に突入。そのままハンブロンの上空まで。……それこそ、惑星一つと比べれば、あたしたちが移動した範囲なんてたかが知れてるんだよね。

 他のもの(宇宙船)と比べればだいぶ静かとは言え、高度が下がれば自然と聞こえてくるだろう。それこそ姿を消してるわけじゃないからバレないようになんか着陸できるわけもない。

 あたしたちがいなかった二週間で工事が終わっていたのか、山肌に空いた大穴が無くなっていた。


〈ゲートオープン。〉


 グリフォンが何かシグナルを出すと、山肌が切れて、内側は金属製の「蓋」がゆっくりと開く。山肌が崩れないところを見ると、そこも含めて人工物なのかもしれない。

 あ、当然だけど、遠くからその光景を眺めているだけで、間近で、ということではない。大気圏内で速度はだいぶ落としたとはいえ、未だ音速を超えた速度で飛んでいる。さすがに目の前でゲートが開くようなタイミングだったら怖くてしょうがない。

 山の手前で音速以下まで速度を落とすと、そのまま山に空いた穴に飛び込んでいく。

 これ、前に聞いたらグリフォンが操縦しているときは、周りのビーコンからのデータに合わせて微調整して飛んでいるらしいが、ヒューイが操縦していると、そういうのがなくスッと入っていくらしい。人間ってすごいですね、ってすっごいコンピュータに言われるんだからやっぱりすごいもので。

 山に作られた通路をスムーズに潜り抜けると、広い空間に到着する。それでも百五十メートル級の宇宙船用のスペースだから相当広い。

 その真ん中にゆっくり着地をすると、整備用のアームが伸びて機体を固定し、あっちこっちから現れた箱型汎用作業機械キューブが取りついてチェックを始める。


「さて、時間がありません。

 あんまりのんびりしてると、こっちに人が押し寄せてくる可能性が否定できません。」


 あ~ そうかも。


 今も誰かさんを誰かさんが必死に抑えているような気がしないでもない。

 五人+一匹スコッチでグリフォン後部の格納庫に向かうと、換装、というかボディを取り換えたパンサーが待っていた。未舗装路では不向きなスポーツカーからSUVに変わっている。

 ……そういやぁ、パンサーのAIのコピーが「雄牛の角亭」にもいるはずだけど、その辺の折り合いはどうなんだろう。

 色々気になることはあるが、急いで向かおう、というか、戻る、になるのかな?

 後部ハッチが開いて、さっきとは大きさが全然違う車両用のトンネルを抜けると、行き止まりに突き当たる。


〈周囲に生体反応及び、監視の存在確認できず。数度ジャミングをかけて魔法的存在を妨害しました。

 ゲートオープン。〉


 パンサー――そういあぁ、こっちの車体の時は何て呼べばいいんだ?――の声とともに、行き止まりの壁が開き、外の光が差し込んでくる。さっきまでやや暗い通路にいたので、なかなかに眩しい。

 壁が開ききって外に飛び出すと、この世界を出た時はまだ雪景色だったのに、たった二週間ほどで雪はほぼ消えて、陽光が暖かそうに降り注いでいる。窓を開けると、やや肌寒いが、それでも暖かさはじんわりと感じられる。


「風の匂い…… 懐かしい……」


 あたしと反対側に座っていたミスキスが同じく窓を開けて外の空気を感じている。そういえば、しばらく宇宙空間にいたから外の空気なんて久しぶりだ。そして改めて分かったが、あたしたちの世界の空気はやっぱり「清浄した空気」なんだなぁ、と。澄んでいるのは同じなんだけど、異世界こっちの方が空気に香りがあるような気がする。多分。

 そんなに飛ばすことなくとも、少し走ればハンブロンの町が見えて……来たけど、


「まぁ、」


 助手席のリーナちゃんが自分の前でパンと手を合わせて嬉しそうな声を上げる。


「皆さん、お懐かしいです。」


 まぁ、二週間ほど離れただけなんだけど、確かに懐かしいのは分かる。分かるんだけどさ……

 そう、リーナちゃんの言う通り、ハンブロンの「皆さん」が門の前に勢ぞろいしていた。……いや、ハンブロンの町の人たちだけじゃないぞ。

 一番前列は「雄牛の角亭」の残してきた三人娘の二人だし、その隣には王女ズがいて、見覚えのある黒髪金髪のメイド。それに揃いの黒い制服の兵士風も見たことがある。

 なんか色々聞いた気がするんだけど、ちょっと想定以上に賑やかになっている気が。


 さてさて、これからどうなることやら……

 とは思いつつも、これから起きるだろうドタバタに、ちょっとワクワクしている自分もいる。

 早速ジェルが面倒くさそうな顔になって遠い目をしているが、まぁそこはいつものことだと思って頑張って欲しい。というか、色々元を正せば自業自得だかね。そしてジェルに関して言えば、あたしも色々頑張ったり「戦ったり」しないとなぁ。うん。


 ぐだぐだ考えてもしょうがないので、窓を大きく開けて身を乗り出し、あたしは群衆に向けて大きく手を振るのでありましたとさ。

お読みいただきありがとうございます

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