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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
宇宙(そら)からの脅威

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打開の一手

あらすじ:

 降下艇の攻撃をのらりくらりをかわす戦闘ヘリのブラックホーネットだったが、その矛先が地上にある姫巫女の屋敷に向かったのに気づいて、反射的に射線に割り込んでしまう。

《まずい! まずいまずいまずい!》


 人命優先の基本プログラムの影響か、本人の意思が混じったのか、反射的に降下艇のビーム砲の前に割り込んだ戦闘ヘリのブラックホーネット。

 ビーム砲の先には、海の国ワワララトの姫巫女と呼ばれる少女の屋敷がある。彼女自身はホーネットの機内にいるが、彼女に仕える双子の侍女がまだ屋敷内にいる。ビームの直撃を食らえば、一瞬で屋敷ごと蒸発してしまうだろう。


《あの出力のビームは僕の装甲では防げない。そりゃそうだ。僕はヘリコプターだ。》


 ホーネットの装甲は、せいぜい同じくらいの大きさのヘリや戦闘機の固定武装に耐えられるくらいで、ミサイルの直撃に耐えられるほどではない。人間が持てる程度の火器では傷つけられないので一般基準では強固ではあるのだが。


《テイルブームを犠牲にしても、ビームの威力はそこまで落とせない。ディーナもおねーさんたちも助かる方法は……!》


 ちなみにディーナとは姫巫女の幼名で、ホーネットだけが呼ぶ名前である。

 通常のコンピューターを遥かに超える思考速度でこの状況を打開する方法を計算する。何十回のシミュレーションを繰り返したのち、結果は無情であった。


 ――不可能。


《ダメだ! ディーナが泣くか死んじゃう! 僕にはどちらも選べない!》


 メモリの消費量が思考速度にまで影響するくらいにまで高まる。


《どうしたらどうしたらどうしたら!》


 ホーネットの回路はその言葉で埋め尽くされる。


「ホーネット!」


 少女の声に無駄な処理が止まり、それこそ「正気」を取り戻す。なんで名前を呼んだかは不明だが、そのおかげで最後のチャンスに賭けられるのは幸運だ。

 今の状況を再度確認する。目の前には降下艇と、今まさにビームを放ちそうな砲門が見える。そのビームの向かう先は地上にあるディーナ――姫巫女の屋敷で、そこには彼女を小さいころから見守っている双子のお付きの人がいる。人の足で脱出するのは間に合わないのは明確だ。


《って、やっぱり無理ぃぃぃぃぃっ!!

 博士もこういう時に使えるような便利な機能くらいつけてよぉぉぉぉぉっ!!》


 もう泣き言だ。


《ぬいぐるみに嗅覚センサーだの触覚センサーだの、そんな変なもんつけている暇あったら、もうちょっとこう、なんかあるだろ?!》


 そして恨み言。


〈それでも僕は…… ディーナを守りたい。いや、守る。

 そうじゃない。絶対守ると決めたんだぁぁぁぁぁっ!!〉


 思わず機内に響いた「誓い」に操縦席の姫巫女が目元を潤ませながら口元を手で覆う。その手を胸元で祈りの形にした。


(海竜様。一生のお願いです。ホーネットに、大好きなホーネットに戦う力を……)

「あ、」


 それまでずっと黙っていた海竜娘が小さく微笑んだ。


「つながったね。」


 そしてホーネットの内部に、本()すら知らなかった「何か」動き出す。


〈は? え? 僕すら知らなかった機能がアンロック? なんだよそれ!〉


 機能の説明のデータを読み込むのは、コンピューターであるホーネットにとっては瞬く間で十分だ。


〈はぁ? はぁ? はぁ?

 なんだよそれ! ふざけんな、ふざけんな、ふざけんなぁ!〉

「ホーネット……?」


 緊迫した状態から急に解放された安堵もあるのか、さっきと違う声のトーンで何かをののしる言葉が続く。


〈最初から分かってたら、ここまで悩まなかったのに! 博士はいっつもこうだ。そんな気が無いのは分かってるけど、いっつもいっつもいっつも、ホントにこーゆーの止めてよね!〉


 目の前の降下艇のビーム砲のエネルギー反応が増加する。それが見かけでも分かったのか、姫巫女の表情が強張る。


「……!」


 ついにビーム砲が発射された。光速で飛来するレーザーと違い、比較的視認はしやすい。実際の戦闘では至近距離から撃つか、相手の移動先を読んで「置く」場合が多い。

 事態の緊迫さのせいか、ゆっくりと迫るように見える光線。それでもホーネットはまだブツブツ呟いている。


〈もういい加減にしてよぉ!

 ……でも、ありがとうぉぉぉぉっ!

 いけ! ピンポイントミラーシールド!〉


 ホーネットの前に小さく丸い「何か」が出現した。それは降下艇から離れたビームを受け止めると、そのまま正確に跳ね返した。

 ピンポイントミラーシールド。シールドという名だが、実際は空間技術を使って質量の少ない飛翔物の進路を歪めるものだ。シールド自体の面積も小さいし、自分の望む通りの軌道に歪めるためには綿密な計算が必要だ。

 しかしそこは、観測と繊細な電子戦を得意とするホーネットの独壇場だ。発射時に解除された防御シールドを張りなおす前に戻ってきたビームが砲門を貫く。

 ビーム砲を粉砕したビームは、小爆発を引き起こし、内部にダメージを与えた。

 すかさず追撃のレーザーガトリングを撃ち込むが、数発は装甲に突き刺さったが、それ以降はシールドを張りなおされたので、さほどのダメージにもなっていない。しかも、やはりというか何というか、エネルギーの消耗はなかなかに厳しい。

 どうにか一矢報いたが、それでもまだまだ状況は芳しくない。


「ねぇ、あのみえないかべ、どうにかできる?」


 そこで海竜娘が口を開いたのであった。

お読みいただきありがとうございます

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