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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:たまに戻ってみよう

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更に遊ぼう

あらすじ:

 ゲームセンターでアイラがダンスゲームを始めてみた。まだまだ遊び足りない感じだ

 あの後、ゲームセンターでアイラがダンスゲーム――いわゆる音楽に合わせてステップを踏むやつね――にアイラが興味を示して、最初はぎこちなかったが、すぐに慣れて軽快なステップを踏み出す。リリーのせいで目立たないが、異世界人はあたし達に比べると平均的に運動能力が高い。

 あと、音感というかリズム感にも目覚めたのか、徐々に高度なステージを選択していく。


『これ、楽しいですね!』


 にこやかな笑顔でこちらに手を振るアイラ。そしてすっかり注目され始めている。ジェルが口元に手を当てて何か呟いているようなので、これまた裏工作中か。


『もう一回やってもいいですか?』


 息を弾ませたキラキラした目のアイラに、ちょっと意外そうな顔をするジェル。まぁ、向こうの世界ではこういう音楽が溢れているわけじゃないしね。

 それでもまぁ、高くてもコイン数枚くらいでできるものだ。別に断る理由はない。ジェルがコインを投入すると、ワクワクした様子で曲と難易度を選択。まぁ、こちらの言葉は分からないだろうが、そんなに難しいことを書いているわけでもないし、左右で曲を選んで、くらいなので、そんなにも難しくも無かろう。


 早速始まった。

 軽快な音楽が流れるが、画面に流れる指示はなかなかに苛烈だ。それでも華麗なステップでミスなく踏み込んでいく。もうあまり画面を見ずとも、パターンを掴んだのか、先読みするようにプレイしている姿は嫌でも注目を浴びる。撮影も(誰かさんによって)禁止されているので、ギャラリーが続々と増えていく。最大三曲までプレイできるそうだが、少しずつギャラリーが増えていき、最後まで踊り切った後には通行が困難になるくらいになっていて、ずっと集中していたアイラが初めて気づいてビクッと身体を震わす。これだけの多くの人の視線を浴びたことがないせいか、足がすくんで動けないようだ。そこに容赦なくナンパ目的なのか声をかけようと近づこうとする輩も見えて……


「はいはい、踊り子さんには手を触れませんように~」


 おっと、いつの間にかに移動したのか、ジェルがアイラの肩を抱くように引き寄せる。

 すみませんぇ、と人ごみをかき分けながら進む。と、ジェルがこっちに視線を向けて、その後この施設の別の区画を見る。


 なるほど。


「行くよ。」


 リリーの手を引いて移動。

 多少は時間がかかろうとも、ジェルなら上手い事やるだろうから、変にそっちの方は見ない。言い方はアレだが、今こっちは女の子二人なので、安全も考えてさっさと移動する。

 ジェルが指示したのはビリヤードのスペースだ。時間単位で貸し切りができる個室で、なかなかに広い。


「お待たせしました。」


 あたしたちがどうにか一息ついたところでジェルたちが入ってきた。アイラがジェルの白衣の裾を摘まむようにしてついてくる。なんとなく恥ずかしそうで、それでいて口元が緩みそうなのを一生懸命抑えているような顔をしている。……ふぅ。


「適当に飲むものやつまめるものを頼んであるので、少し休みましょう。リリーもアイラも疲れたでしょ?」

『あたしは…… 大丈夫!』

『は、ははは……』


 まだまだ元気なリリーに対し、精神的にも疲れたんだろうアイラが対照的だ。

 まぁ、そういう時は甘い物だな。

 ほどなく注文の品が部屋に運ばれてくる。人数分の飲み物と、一斤のパンを丸々使ったハニートースト――しかもクリームやアイス、チョコもタップリな感じの今日は別腹、って言い訳が必要な感じの――が二つに後はポテトとかのスナック類。早速リリーが目を輝かせている。


『甘~~~~~い!』


 ナイフとフォークでハニトーを切り分けて、クリームをタップリつけて口に運ぶ。あれよあれよという間にハニトーが小さくなっている。……これが若さかー って、リリーだからなんだろうけどさ。

 一方アイラは喉が渇いたのか、酸味の利いたレモンドリンクを一気に半分くらい空ける。潤ったところでダンスゲームで消費したカロリーを補充したくなったのだろう。恐る恐るながらハニトーに手を伸ばす。

 あ~あ、禁断の甘味に触れてしまったか。


(!)


 一口食べて目を驚きに見開く。

 しばらく口をモゴモゴさせて、まだ残っているハニトーをつぶさに観察して、また一部を切って口に運ぶを繰り返す。

 ……もう一個くらい頼んでも大丈夫じゃなかろうか。あたしもちょっと食べたくなってきたし。

 と、女の子三人で糖分を摂取していると、ジェルが手持ちぶさたになったのか、壁に飾ってあるキューを手に取る。

 慣れた手つきでラックにボールをセットして――ナインボールか――、手玉を置いてキューを構える。

 コツン、とく音が聞こえ、手玉に弾かれたボールの音が響き、アイラとリリーが手(とついでに口)を止める。

 視線を感じて、一瞬顔をあげそうになったジェルだが、特に気にした様子もなく再びキューを構えた。

 沈黙の中、ボールの音が響く。

 ジェル曰く、ビリヤードは物理と数学なので計算でどうにかなる、と得意にしている。まぁ今更なのだが、こういう時のジェルはその……うん、カッコいいんだよね。

 アイラもリリーもフォークを口にくわえたまま、ボーっと、そしてどこかうっとりとジェルの横顔を眺めている。


 いやー、気持ちは分かるよ、うん。


(おそらく)ミスなく撞ききったジェルが、うーんと背伸びをする。


『ハカセ! やってみたい!』

『あたしも……』


 ということで、あたしも久しぶりなんだけど、四人でビリヤードに興じることになった。

お読みいただきありがとうございます

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