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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:たまに戻ってみよう
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買い物を楽しもう

あらすじ:

 いつもの服屋に行ったらすぐにアイラとリリーが店主に拉致された

 帰ってきた二人は……(悲しげに目を逸らす)

『ラシェぇに裏切られた……』

『遠い世界で亡き者にされるとは……』


 なんか同じセリフを別の一人からまとめて気がする。

 こっちの世界の馴染みの服屋に行くと、早速店長にアイラとリリーが捕獲されてしまった。そのまま奥に引きずり込まれると、数分後にどこかやつれた二人が帰ってきた。


 ……奥の防音ってなかなか優秀だこと。


「銀河連合警察の捜査補佐官としては何かすべきかな?」

「何の罪で逮捕するんですか。」

「強制捜査権でも発動するか。」


 ちなみに「強制捜査権」とは銀河連合警察の捜査官(捜査補佐官)が(程度はあるが)何やってもオッケーな制度だ。


「その前に、こちらの二人を見ると、ラシェルを裏切りの罪で逮捕した方が良さそうな気がしますが。」

『『賛成!』』


 裏切りは連鎖するのか……


 と、間抜けな会話をしているところで、二人を堪能した店長が何をしているかというと、さっきからそれなりに広い店内を駆けずり回って、いくつも服をピックアップしている。


「よし、そこの二人、カモン!」


 店長が目を爛々とさせて裏切られた二人を指さすと、その有無を言わせぬ口調に恐る恐るとまた奥に引きずり込まれる。

 やはり逮捕すべきか、とは思ったが、そんなこともないので、あたしも服を物色する。ジェルはジェルで所在なさげにボーっと突っ立っているが、無理はないか。ナイティとかランジェリーもあるわけで。

 ちょっと目が合った時に「出てもいいですかね?」って顔するが、そんなわけもいかない。支払いはジェル任せだし。

 と、しばらく二人きり?の時間を過ごしていると、奥から誰か駆けてくる音が聞こえてきた。


『じゃん!』


 若干厚手の生地のボレロ付きワンピースって感じかな? スカートも膨らみが大きめで、小さなポシェットとハットが少し子供っぽいかな? とも思うが、そもそもが十五歳のリリーなので違和感はないし、かわいらしさを引き出して実にいい。で、ジェルに視線で圧を送る。


「可愛らしいですね。前の緑のドレスの時は活発な妖精のような可愛さがありましたが、今回のはお人形さんのような可愛らしさがありますね。」


 ジェルの言葉の破壊力にリリーの身体がぐらりと傾く。手折れるのをギリギリで堪えながら赤くなった顔をポシェットで隠そうとするが、全然大きさが足りていない。


『うれしいよぉ……』


 にへら、とするリリーはとても幸せそうだった。と、そこに第二の人物が現れる。


『えっと……』


 最初から照れが入ったアイラがおずおずと姿を現す。


 おおぅ……


 オシャレ着と言えば、城の舞踏会の時のドレスくらいのイメージしかなかったが、今日のコーディネートのテーマは大人の女性、というところだろうか。

 白のワンピースだが透ける生地ではないがふわふわと波打つ感じだ。デザインは大人しめだが、首回りや胸元がなかなかに広いが、そこは薄いショールとペンダントとカバー。というか、そういう方向性なんだろうな。

 なかなかのスタイルの持ち主なアイラだからこその「大人の色気」を引き出している。……これであたしよりも年下かぁ。

 仕方ない、と思いながらももう一度ジェルに圧をかける。


「いや、これで何か言うと危険なことにしかなりません。

 これは夜の食事とお酒を誘わなきゃいけなさそうですが…… あ、申し訳ございません。こちらの世界ではまだお酒はダメな年齢なんですよね。」


 まぁ、十七だからね。お酒はまだ数年早いのよね、こっちでは。


『こ、光栄です……』


 はにかみながらもジェルを真っすぐ見つめるアイラ。


『その時はよろしくお願いいたします。』


 小首を傾げる仕草がなかなかにあざといが…… うん、あざとい。


「ね? ね?

 やはり素材が良いとやりがいがあるわ~

 今回のコンセプトは『本気じゃない振りの本気のデートコーデ』なのよ。」


 と、満面の笑みの店長登場。

 ホント、性格もアレで行動もソレだが、見る目とチョイスは天才的なのよね。

 鏡の前でクルクル回ってずっと眺めている二人。その間にもジェルの言葉を思い出したのか、頬を赤くして自分の世界に浸っている。


「まぁ、いつものように色々包んでください。その辺はお任せします。予算は気にしないで。」

「はい、その辺はいつものように。」

「それと……」


 店主と話していたジェルが、未だに鏡の前から動かない二人の方をチラリと見やる。


「あれはそのままいただいていきますので、今までの服をまとめていただければ。」

「はい、既に用意しておりますわ。」


 と、二人分のさっきまでの服が入った紙袋を渡してくれる。

 これくらいならパンサーも文句は言うまい。

 一人ファッションショーの熱も冷めてきたのか、新しい服を探し始める二人に混じって、あたしも追加で検分する。

 それを見守るジェルと店長。

 アイラとリリーの二人は分からないが、それこそ向こうの人たちの分もそれなりに、と思うとなかなか絞り切れない。

 どんどん服が増えていくが…… まぁ、女の子の身支度は必要経費だ。

 時折ジェルの方を見るが、別に気にした様子もないので、こっちも気にしないようにする。


 まぁ、どうにかこうにかここでの買い物は終わったんだけど……


 ……人の欲望って、凄いものね、うん。

お読みいただきありがとうございます

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