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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
小ネタ集2

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133/152

ヒューイという男

あらすじ:

 主人公にもなれるスペックのヒューイだが、その内面は……?

 ヒューイ=ストリング。

 チーム・グリフォンのイケメン担当。ドライバーとしてもパイロットとしても超一流。母艦のシルバーグリフォン以下、艦載機も含めて「自分の身体のように」動かすことのできる搭載AIよりも操縦が上手いので、皆からは尊敬の念以前に不思議がられて彼の操縦データの解析に余念がない。

 個人でも格闘技とナイフ術も超一流。射撃に関してはハンドガンとライフルのスナイピングを得意とし、合わせてサイレントキリングもステルスキリングに優れているが、それを抜きにしても戦闘力は人間としてカイルと別の意味で最強クラスである。

 ただ飽くまでも捜査官なので、不必要な殺人は控えるようにしている。

 どこぞの科学者の作った、一応救助用(・・・)装甲服の「スカイナイト」を装着し、ちょっとした国を救ったこともあったりなかったり。


 性格は温厚で常識人でどこか事なかれ主義。

 どうせ巻き込まれるのだろう、とは思いながらも、わざわざ自分から足を踏み入れたくないという処世術かもしれない。

 前述のとおりイケメンで背も高く服越しでも分かる贅肉のない細マッチョ。人当たりもいいので基本女の子にはモテる。でも「雄牛の角亭」の中では何故か好みが偏っているので店内では存在感が若干薄くはあるが、特に本人は困っていない。


 ダラダラしたいはずなのに、なんだかんだであちこち飛び回っているジェラード(とラシェル)や、「家族」が王都にいるので時折様子を見に行っているカイルと違って、ヒューイは基本ハンブロンの町にいる。

 まぁ、一人は残っていた方がいいだろうという理由もあるし、個人的にも「雄牛の角亭」を離れたくない理由もある。


「あ、お帰りなさいませ、ヒューイさん。」

「ああ。」


 柔らかい笑顔で迎えてくれたリーナに、ヒューイが短く言葉を返す。「お帰りなさい」と言われる幸せは何物にも代えがたい。

 今日のヒューイの「仕事」は物見やぐらから獣が町に近づいてくるのを見張ることだ。とはいえ見張り用のセンサーが四方に設置されているので、そこまで面倒な仕事ではない。ただ、あまり広くない物見やぐらの上から動けないくらいで。今日は交代要員の都合がつかず、午前と午後一回ずつトイレの時の交代と、昼にお弁当をリーナに頼んでいた。

 そういう意味では平和な一日。

 今日は全員揃っていて、賑やかな夕食が済むと、三人娘の内のリリーとミスキスがジェラードにじゃれつくのを、アイラがどうにか引っぺがして、それをラシェルがどこか達観したように見ている。金髪の王女様は黒髪のメイドを従えて、リリーたちに混じってジェラードに近づいていくし、銀髪の王女様はそんな妹をにこやかな笑顔を浮かべて眺めている。


「平和だねぇ。」

「はい、そうですね。」


 少し離れたテーブルでヒューイが呟くと、隣に立っていたリーナがどこか嬉しそうに返す。

 元の世界と比べて文明が進んでいないので、犯罪と言ってもヒューイたちの感覚からしたら「平和」だ。魔法という不可解なものもあるが、場末のチンピラが手にできるような「力」でもない。


「リーナちゃんはさ、」

「はい?」

「その……」

「はい。」

「この世界はどう思う?」

「…………」


 ヒューイの問いに少し目を見開いてから、視線を宙に彷徨わせて、そしてヒューイを向き直って真っすぐに見つめてくる。その瞳に思わず引き込まれそうになる。


「個人的に言えば、こちらの世界は食材が天然ものなので腕の振るいがいがあります。

 ただ、どんな世界にあっても私は博士や皆様のお世話をしていたいだけです。」


 ふとリーナの目がジェラードを中心とした人の輪に向く。


「ただ…… 博士があれだけ色んな方に慕われているのを見ると、私のすることが無くなるんじゃないかなぁ、と最近思うようになりまして。」


 少女の口から漏れたネガティブな言葉に驚くヒューイだが、顔を見るとそこに暗さは無かった。


「でもそれと同時に、私も同年代の方々と知り合ったり、今までなかった経験をたくさんしました。あ、ちょっと大変なこともありましたね。」


 サラっというリーナだが、おそらくその「ちょっと大変」はヒューイも関わった事件で、彼女は死の危険まであったので、思わず酸っぱそうな顔をしてしまうヒューイ。

 それにはちょっとごめんなさい、と小さく頭を下げるリーナ。


「……なので、少し戸惑っています。」

「そう、か……」


 意外と深刻な思いに、ヒューイも少し声が沈む。


「今まで通りに過ごせばいいのか、それとも何か新しいことにチャレンジしようか。でも今までそんなことすら考えたことが無かったんだな、と気づきました。」


 元々色々な事情があって、社会経験が少ないリーナ。基本的にジェラードの生活の世話と、後はチーム・グリフォンとしての仕事だけであった。そういう意味では自主的に何かしている、ということに欠けていたのかもしれなかった。


「まぁ、なんだ。リーナちゃんが望むなら俺はいつでも応援でも手伝いでもしてやるし、それこそ周りにたくさん人がいるんだから色々相談すればいい。」

「ですよね。はい、たくさん悩んで、たくさん相談して、何かあればたくさん頼らせていただきます。」


 笑顔を浮かべるリーナ。


「ああ、そうするといいよ。」

(というか、ホントは俺を一番に頼って欲しいんだよなぁ……)


 かつてはプレイボーイだった自分を変えた「理由」にもう少し近づきたいヒューイではあった。


(相変わらずリーナぇとヒューイさん、仲いいよね。)

(あの距離感、羨ましい……)

(いつもあんな感じだから、町の女の子も結構諦めた、って話しみたいよ)


 ……まぁ、意外と自分たちがどう見られているかは分かっていないもので。

お読みいただきありがとうございます

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― 新着の感想 ―
ヒューイ「お前に魂があるのなら……応えろ!!」 AI達「えーと、マシン独自の魂があるとすると、自分達の存在意義を疑ってしまうんですが……」 初読の時、「イケメン(優男?)が人工少女に一目惚れ」っての…
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