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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:また異世界に向かう準備をしよう
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謎を解こう

あらすじ:

 異世界へ向かう方法を探すジェラード。しかし全く当てがなく、五里霧中もいいところであった。

「ふ~む……」


 異世界に自力で行こうとして早三日。事態は膠着していた。

 いや、言い間違いではなく地球から出発しワープしてシルバーグリフォンが異世界にばれた宙域に到着し、空ワープを繰り返して異世界への道筋を探している。

 向こう(異世界)にもビーコンはおいてきてあって、超光速通信の要領でビーコンの電波的なものを探しているが、なかなか捉えられない。

 あたしやミスキスも謎パワー的なもので異世界への道を探しているわけだが、まぁそんなに簡単にできるわけがない。

 ヒューイの勘も、リーナちゃんの天然も通用しない。ただでさえ宇宙は広大で未知なのに、それにさらに異世界という未知が加わったらどれだけ難しいことか。


「ん~……」


 後ろのあたしに椅子ごと振り返って、ジェルが分かりやすく困った顔と声をする。こりゃ本気で困っているな。

 よし、ここは(自称)聞き上手のあたしが問題点を整理させよう。


「で、何がダメなの?」

「何もかもで。」


 と、切なげにため息。

 おおぅ。これはホントに万策尽きている感じだ。

 

「行き方は前と同じだと思うんですけどね。ワープフィールド内でリープをする、だと思うのですよ。帰りと行きで何が違うのか……」


 また「ん~」と唸ったかと思うと、ジェルが口を開く。


「そもそも、向こうのビーコンが掴めないのでチャレンジのしようがありませんで。」


 そういやぁ、ラシェルが道筋を見つけたんでしたっけね、と口をもよもよさせる。


「ふぅん?」


 それこそ天才(変態)科学者のジェルですら分からないんだから、一般人のあたしになんか分かるはずもない。ただまぁ、分からないことは聞いてみよう。


「じゃあ、なんで掴めないの?」

「なんで……? そりゃぁ……」


 ジェルの言葉が止まった。

 すぅ、とジェルの雰囲気が変わると、ブツブツと早口で呟きだす。


「受信ができない理由は大きく分けて送信側と受信側の問題。異世界より帰還したときもビーコンを掴んでいない。

 そもそもビーコンの出力と、グリフォンの能力を考えれば受信できないのがおかしい。超光速航行と原理は同じなのに、何故通信波はダメなのか。となると、逆に何故受信できないのか。」


 視線を宙にさまよわせて、小刻みに左右に動く。


「遮断される? いや、もっと巨大な物質であるグリフォンが突破できるんだ。電波が通過できないはずがない。」


 何か分からんが、何か閃いたらしい。


「ふむ、もしかしたら状況を打開できるかもしれません。その功績でラシェルには後ほどセクハラの限りを尽くしましょう。」


 ニコリともしないで正面に向き直ると、ものすごい勢いでキーボードに指を走らせる。


『羨ましい……』


 うるさいぞ、ミスキス。というかされてたまるか。


「……グリフォンが突破できたことを考えると、電磁波――つまりは光子か。粒子性か波動性かどちらかが遮断されている可能性。

 あ、待てよ。それでも魔素マナの流れが見えたということは電子と似ている粒子は何故透過できたんだ?」


 独り言が長いが、これはこれで核心にたどり着くためのいつものルーティーンなので、コクピット内の皆がジェルの呟きを見守る。ふと動いていた指が止まったかと思うと、おそらく短いコマンドを叩く。


「パンサー、暗号解読の準備だ。ビーコンの出すパターンから現在確認できるノイズに変換できる公式を導け。」

了解ラジャー。計算能力に艦内のリソースの使用許可を。》

「許可する。」


 ジェルが言葉を返すと、グリフォンがパンサーの後を引き継いだ。


了解ラジャー。これより日常生活が送れる程度のエネルギー消費に抑えますので、皆さまコクピットを離れてください。〉


 メインスクリーンやコクピットの照明が暗くなる。あたしたちの手元のコンソールも光が落ちてくる。


〈一応、計算時間はおおよそ七十二時間と推定されます。私及び、現在の艦載機すべての演算能力を使用しますので、しばらくは対応が遅くなります。〉

「というわけで、時間ギリギリになりますが、またも待機となります。」


 時間ギリギリって…… あ、そっか。ここまで異世界を離れて十日くらい。それから三日となれば、ジェルが「約束」した二週間を超えてしまう。無理はしたくはないが、できるならそれまでには「戻り」たいのだろう。


 ……甘くなったもので。


 とはいえ、あたしも同じ気持ちなので人のことは言えない。向こうの人たち――特に何人かの女の子――はジェルのことを全面的に信頼している。その期待を期待を裏切りたくないのだろう。


 さて、また三日か。

 さすがに暇潰すネタも切れたから、ここは禁断の扉を開くとするか。

 そしてあたしはミスキスを誘って、動画を見たりゲームを教えたりした。たが大変残念なことに、最初はまだ知っている有利さで対戦でも勝てたのだが、基本スペックの差なのかあっという間に追い越されてしまった。


『凄い面白いけど、きっとハマるとマズい。やるにしても時間を制限しないと。』


 そしてこういうところでも負けてしまったよ。がっかり。


 ……さ、あと三日で行く方法が見つけられるのかどうか。なんていうけど、きっとジェルのことだからうまくやってくれるんだと思うんだけどね。

お読みいただきありがとうございます

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