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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
小ネタ集

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118/152

メイドのおしごと

あらすじ:

 リーナが主体となって「メイド教育」が行われるが、その内容は……?

「おはようございます。」

「「「おはようございます。」」」


 メイド姿のリーナが頭を下げると、彼女の前にいる十数名のメイド姿の少女が一斉に頭を下げる。

 コンラッド王国の騎士団の中の第七と第八騎士団。本来は第一王女サフィメラ、第二王女ルビリア付きの護衛騎士団ではあるが、その多くは城内のメイドである。

 表現がおかしく感じられるが、一般のメイドに対し、戦闘メイド及び隠密メイドは基本騎士団の所属である。

 しかしメイドである以上、美しい所作や礼儀作法は必須である。だた結構職分は細分化されており、メイドは基本掃除が仕事である。「掃除」という暗喩に関しては置いておいて。

 後は貴人の身の回りの世話などもあるが、さすがにそれは上位のメイドでないと貴族や王族のお世話はできない。


 それはさておき。


「本日は僭越ながら、護身術について説明させていただきます。

 護身術、とは自分の身を護る術ではありますが、皆さまのような仕事の場合、他の人の身を護る術でもあると思われます。」


 講師役のリーナが言葉を続ける。


「そして、いつも手元に武器があるとは限りませんので、素手、もしくは身近なもので身を護るヒントを教示しようと思います。」


 ペコリ、と小さく会釈すると、メイド軍団もペコリと頭を下げる。


「それではまず実践してみましょう。

 えっと…… カレンさん、そちらの木の棒で私に切りかかってもらえませんか?」

「え? あたし……ですか?」

「はい。」


 名指しされた戦闘メイドの一人が恐る恐る聞き返すが、気にした様子もなく笑顔のままのリーナ。


「えっと…… 参ります。」


 戦闘メイド所属あって、木の棒ではあるが構える姿は一端の剣士だ。特に構えを取らないリーナに対し、間合いを見計らいながら足を進める。


「せぃ!」


 鋭く斬り下ろすが、一歩サイドステップしただけで避けられる。振り下ろしを無理やり止めて、そのまま薙ぎ払いに変えるが、その前に近づかれて力が入る前に手首を掴まれる。


「!」


 掴まれた、と思った瞬間、視界が逆転し、腰のあたりをポン、と叩かれたかと思うと、再び両足で大地を踏みしめている。

 周りで見ていたメイドたちは、急に動いたリーナがカレンの腕を掴むと、カレンが腕を支点に一回転したのは分かったが、何をしたかはまるで理解できなかった。

 見ていた側ですらそうなのだから、カレンには何が起きたかは全く理解不能だった。それでも未だに剣がわりの棒を握っているのは自分でも頑張ったと思うが、基本的には負けであろう。一回転して足から着地しているが、力加減では頭から落とされていたとしてもおかしくない。


「申し訳ございません。大丈夫でしたか?」


 自分を心配する優しい笑みに同性とはいえ、カレンも見ているメイドたちも新しい扉が開きかけたのはちょっとした余談。


「私の場合、素手戦闘の訓練を受けていますので、ある程度の対応ができます。このある程度、が最後の一秒を分けるのです。」


 まぁリーナの場合は格闘技の達人のヒューイから習っているのと、生まれの関係で通常の人間よりも身体能力が高いので、性格的なものを除けば戦闘力はかなり高い。


「まず心得として、諦めず希望を捨てない事です。……万が一になっても、最後まで後悔しないで足掻きましょう。」


 笑顔のままだが、サラっとなかなか重いことを言う。


「さて、最初に皆さんには準備運動をしてもらいます。その動きで適性を見て、班分けしたいと思います。」


 それから柔軟体操やストレッチをして、更に上空からドローンで確認しながらメイドたちの動きを観察する。


「はい、はい…… はい、分かりました。」


 どこからの通信を受けたらしいリーナがこくこく頷いて、最後に遠くの人なのに大きく頭を下げて感謝の意を示しているのが微笑ましい。


「それでは……」


 といつの間にかに全員の顔と名前を憶えたのか、一人一人指示して、メイド隊を三つに分ける。


「それではハルカさんとミリアさん、お願いします。」


 呼ばれた二人がリーナの左右に並ぶ。


「ハルカさんは相手の態勢を崩す技を得意として、ミリアさんは格闘を得意とします。私はその両方を教えることになります。

 短い期間ではありますが、よろしくお願いいたします。」


 三人そろって頭を下げる。

 ハルカとミリアは二十一世紀の地球から転移したのだが、ハルカは古武術を、ミリアは空手を子供に教えられるくらいには嗜んでいる。

 ちなみにハルカはメイド長にも立ち姿が綺麗と褒めらえたことがある。ミリアも同様に言われかけたが、カラテガールの悲しさ、足を開き気味になるので減点されていた。リーナに関してはメイド長が自分の地位を譲ってもいい、と言わせるほどのパーフェクトメイドぶりだったのだが、さすがにそれは固辞した。

 この戦闘及び隠密メイドたちは、騎士たちと一緒で基本二週間このハンブロンで滞在して通常業務とその傍ら訓練を行う。

 戦闘訓練に関してはメイド隊にはそこまで重視されていないので、大体一週間くらいのスケジュールとなる。

 基礎訓練――それこそ走り込みとかもあるので、実際どこまで教えられるかは謎だが、せめて自分で反復練習ができるくらいには教えたいところだ。


「それでは皆様、頑張っていきましょう。」


 そして飽くまでもエレガントなメイド戦闘術が広まっていくのであった。

お読みいただきありがとうございます

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