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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
小ネタ集
111/133

メイドは妄想す

ちょっと説明というか、あらすじ回


あらすじ:

「雄牛の角亭」にはハルカとミリアのメイドコンビも住み込んでいるのだが、ハルカが妄想にふける

「雄牛の角亭」も一日が終わり、それぞれが自分の寝室へと戻っていく。

 例外を言えば、黒竜であるらしい謎存在のサクと、同じく黒い猫のスコッチくらいだろうか。

 そもそも、このハンブロンの町の「雄牛の角亭」は初期に比べれば最低二倍の大きさになっている。最初の店舗は一階の食堂と二階の宿泊場所であったが、厨房を中心として背中合わせのように同じくらいの建物が増築された。

 手前側は今まで通り店舗として使用して、裏側が居住区として使われている。

 ここに住んでいる三人娘であるアイラ・リリー・ミスキスは個室があり、居住区側の一階で寝泊まりしている。

 我らがチーム・グリフォンの面々は、最初と同じジェラードとラシェル、ヒューイとリーナが同室で、カイルが一人デカすぎるので一室で同じく居住区側の二階に寝泊まりしている。

 そして今はここで寝泊まりする人が五人ほど増えた。

 コンラッド王国の宮廷魔術師ギルバートに、サフィメラとルビリアの王女姉妹。そして一応侍女として、ミリアとハルカの二人のメイドだ。

 残念なことにギルバートは忙しいのか、なかなかのんびり休めないようで、泊っている姿は目撃されていない。

 逆に王女姉妹は本来は隣の領主館に滞在する予定だったのだが、一部未完成であったことを理由に「雄牛の角亭」の二階の二人部屋に居座り続けている。

 安全面が、って意見はあったのだが、困ったことに後に完成した領主館よりも「雄牛の角亭」の方が安全というのは周知の事実だったので、押し切られてしまった。

 そんなわけで、一応王女様ってことで、侍女として、ミリアとハルカの二人が選ばれた。

 所属はそれぞれ第七騎士団と第八騎士団という王女直属の騎士団に所属しているが、名前は騎士団ではあるが、城で働くメイドの大半はこの二つの騎士団に所属している。更にメイドは専門・戦闘・隠密の三種に分かれていて、非戦闘の実務専門のメイド・護衛も兼ねる戦闘が可能なメイド・戦闘力は劣るものの斥候的な仕事もできるメイド、という区分けになっている。ちなみに、ちゃんと全身鎧をがっちり着こんだ「騎士」もいるわけだが。

 元々この二人は二十一世紀あたりの日本からの転移者で、色々あってジェラードたちと知り合い、元の世界から持ってきていたスマホをこちら用にカスタマイズしたことで、あちこちに通信ができるようになった。その関係で隠密メイド所属となり、色々な諸事情を経て、この「雄牛の角亭」に常駐することになった。

 そんなわけで、王女様たちの隣の二人部屋で寝泊まりしているのだが、幸か不幸か同僚から羨ましがられることもない。やはり王女様の近くにいるというのは、相当な恐怖らしい。貴族や王族に対する畏怖というものはこの世界の人間には深く染みついているようだ。


「実際はかわいらしい女の子デスヨネー。」

「ミリア、一応不敬よ。」


 二人とも王女姉妹とは年齢が近いのと元々の性格、そして「雄牛の角亭」だと気が抜けるのかロイヤ

ルオーラが薄れて、一言で言えばだらしないので、怖くもなんともない。


「ソー言えばハルカ、ジェラードサンとはドーなの?」


 二人きりでいるときは会話は自然と日本語になる。アメリカ人のミリアは日本の漫画やアニメを見たくて日本語を憶えたつわものだが、微妙なイントネーションは何というか「いかにも」ではある。ハルカはワザとじゃないか、とちょっと疑っている。

 ただ、出てきた名前に一瞬反応してしまう。

 少し前に海の国ワワララトに行った時に、随分と物理的に距離が縮まったというか、強制的に縮めさせられた記憶が蘇る。

 名前から日本人ではないと思うのだが、黒目黒髪でアジア系のような雰囲気を持つジェラード。その点だけでも異国感しかない異世界で日本人のハルカにとっては親近感がある。

 表情をあまり出さず、口調は大体素っ気なく慇懃無礼気味で、いつも面倒くさそうな態度をとるが、結構マメだし、女性に関してはとても誠実だ。

 城のメイドとして何度か接していたが、たいてい隣には金髪ポニーテールの少女――ラシェルがいて、その彼女が彼と減らず口を叩きながらも、リラックスしているのを見て、ちょっと羨ましいと思った。

 方法は分からないがジェラードが倒れる程消耗してルビリア姫を助けた時は、ベッドに寝かされた彼にラシェルが口移しで薬を飲ませていたのを見て、その素直じゃない慕い方がいいなぁ、と思った。

 そして多分これがトドメになったと思うのだが、ルビリア姫の成人のお祝い何者かが無数の「鎧」を呼び出して、いわゆるテロ行為を行った。その時にルビリア姫と「親友」として呼ばれていたリリーの二人でその「鎧」の司令官的なのを倒したのだが、それをきっかけに残りの「鎧」全てが二人を狙う。その時にラシェルが二人をかばうが所詮は時間稼ぎ、と思ったら颯爽とジェラードが登場。それくらいならそこまでいかなかったと思うが、ルビリア姫とリリーがケガをしているのを見て、珍しく怒りの感情を見せたのだ。その時、ちょうどハルカもその場にいたのだが「鎧」に吹っ飛ばされて身動きできなかったのだが、ジェラードの視線が自分にもチラリと向いていたことに気づいてた。


「その時、ああこの人は他人のことで怒れるんだな、って思ったら、さ。」

「あの人も怒ることあるんデスネー。」

「でしょ? しかもなんかスーパーなんとか人みたいになってさー

 他の人が全然倒せなかった鎧をバッタバッタよ。かっこよかった~」


 うっとり恋する乙女の顔になったハルカに、ミリアは「おーまいがー」と肩を竦めるのであった。

お読みいただきありがとうございます

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