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異世界行ってもチーム・グリフォン!2  作者: 財油 雷矢
MISSION:再び海に行こう

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夕飯にしよう

あらすじ:

 まぁ、色々あったが、皆で夕飯をとることにした

 ホーネットの運命は後回しにすることにした。というか、お互いちょっと触れたくない話題にしたい。


「あ、すぐ用意いたしますね。」


 食堂にジェルと二人で入ると、家事担当のベルリーズさんがいそいそと席を立つ。

 食事はこれかららしく、おしゃべり中でワイワイと楽しそうだ。


「…………」


 その中で一人異彩を放つのがコンラッド王国の宮廷魔術師であるギルさんだ。今更ながら女の子ばかりの中の唯一の男性なわけだし、一人だけやたら背が高いし大きいのでなんかこー目立つ。

 無言でジェルを見て、というか睨みながら顔を動かすので、おそらく隣に座れ、との意味だろう。立場的な問題なのか、左右を王女姉妹に囲まれて肩身が狭そうだ。

 仕方がないので空気を読んで、ギルさんとルビィの間を空けてもらい二人して座る。それに合わせて皆もガタガタ椅子を動かして調整してくれた。


「話は聞いたぞ。」


 ジェルが腰を下ろしたあたりでギルさんがぼそりと、そしてどこか楽しげに言う。ふん、と鼻で息を吐くジェルだが、気にした様子もなく言葉を続ける。


「仕事に対するプライド、というわけでもないのか。なかなか言葉にするのが難しいが、多分そんなところだろうな。」


 この二人の間だと余分な言葉が必要ないので、傍からだと分かりづらいが仕方がない。


「まぁ…… なんというか、小出しにして人を試すような言い分もそうでしたし、その方が自分たちの為になる、みたいな決めつけもありましたし。駆け引きってやはり嫌ですねぇ。」

「意外と言えば意外だが、なるほど。確かにお前は手加減するときでも全力だな。」

「それはどちらですかね?」

「褒めてもいないが、貶してもいないぞ。」

「そうですか。まぁ食事に戻りましょう。」

「そうだな。」


 と、会話を止める。

 今晩のメニューは魚の水煮、かな? 名前は分からないけど。ハーブとか野菜とか入っている。匂いからして美味しそうだ。

 って、予想通り美味しい。


「水がふんだんに使えるのはやはりいいですね。これが国中に広がるわけですから、これから楽しみです。」


 料理が関わると若干人格が変わるのか、嬉しそうな笑顔を浮かべるベルリーズさん。


「はい、とても美味しいです!」

「ええ、ベルの料理は素晴らしいのです!」


 ルビィと姫巫女ちゃんが素敵な笑顔で料理を褒めるので、何ともいたたまれなくなって追加を取りに行く振りをしてキッチンに入っていく。

 水道を引いた上にキッチンをメッチャ魔改造したので、ベルリーズさんも色々作りたくてしょうがないようで。次から次へと料理が出てくる。

 と、人数が多いのに意外と大食いの人がいない。ルビィは食に対する意欲は旺盛だが、量に関しては普通の女の子レベルだ。甘いものは若干別腹であるが。


「……なんだ?」


 期待の星だったギルさんだが、あの図体の割には意外と食べないし、やや偏食気味ときた。野菜は食べるのでよくあの肉体を維持できるものだ。

 ちょっと大丈夫かと思ったが、ジェルの尽力と、ほわほわお姉さん系と思わせつつ、実は武闘派のベラリーズさんの頑張りがあって、完食することに成功した。こんなときリリーがいたら……

 ジェルに関しては、元々生活リズムが怪しいし、運動するタイプでもないが、まぁ太っていないので自制はできているんだろう。それでも黙々と食べ続けたのはちょっと驚きではあった。


「…………」


 たが、さすがに食べ過ぎたのか、表情には出さないがダルそうに長椅子に横になっている。少し休めば大丈夫ですよ、とはジェルの弁だが、どうしたものか……


「ぶい!」


 なんか向こうで女の子たちが集まって、じゃんけんっぽいものをして何かを決めている。そしてミスキスが無表情で拳を突き上げた。

 何を、って思ってたけど、ジェルの方に移動すると、その頭を軽く持ち上げて自分の体を滑り込ませた。


 なぬ?


 いわゆる膝枕なのだが、いや、なんつーか、なぜあたしは選抜から外れてた? いや、したかったとかそーゆーわけじゃなくてね?


「でもラシェル姉様は、ジェラード様にしたことありますよね?」


 サフィにびみょーに圧をかけられながら言われたので、言葉に詰まってしまう。まぁ、言葉に詰まったのはちょっと心当たりがあるからな訳だが…… 一応、緊急事態というか、ジェルが倒れた時に、その何度か……ね?

 で、権利?を勝ち得たミスキスだが、はしゃぐわけでもなく、その褐色の肌を少し赤くしながらも、どこか嬉しそうな目でジェルを見下ろしている。

 苦言めいたことを言いたそうなジェルだが、その目に何も言えずになすがまま――という程何かされているわけではないのだが――になっている。


「おつかれさま。」


 多分夕飯のことではないのだろうが、どこかたどたどしい手つきでジェルの髪をさわさわなでる。

 そこに含まれる感情も分かって、諦めたようにジェルが溜め息をつきながら体の力を抜く。お腹が苦しいのはどうしようもないのか、目を閉じて体調が回復するのを待つようだ。


 そして小一時間。


「もう大丈夫ですよ。だいぶ落ち着きましたので。」

「だいじょうぶ、そのままかも~ん。」


 ちょっといい気になったミスキスの言葉に、王女姉妹のロイヤルチョップが落ちるのであった。

およみいただきありがとうございます


ボチボチ帰りたいところですな

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