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理の王 ~転世者を裁く者たち~  作者: 鹿竜天世
第二章 花冠の王
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行動開始

 テムザが村に戻った頃には、もう夜が明け始めていた。


「ミリア!」


 村に着くや否や、隻腕の鍛冶師がテムザのもとに駆け寄ってきた。


「彼女は――」


「俺の娘だ。ああ、こんなにボロボロになって…。悪かった。ごめんな。父ちゃんが悪いんだ」


 片腕で娘を抱えて泣く父を見て、テムザは言った。


「悪いのはこちらのほうだ」


「なぜあなたが謝るんです? 悪いのは俺です。この娘が受けた仕打ちは消えない。俺の腕なんかよりもよほど深い傷を心に負ってしまった。この娘は一生、それを抱えて生きていかなきゃならない」


 返す言葉が見当たらなかったテムザは、二人をそっとしておくことにした。


 自分にもやるべきことがまだ残っている。それを終わらせるのだ。ヘイレスを亡き者にしたところで、解決というわけにはいかない。


 あの少年は誰だったのか。ここへ来る烙日草の啓示は、ヘイレスのことを暗示していたのか。どこか釈然としない。あの花はもっと、別のことを知らせようとしていたのではないか。


 ――とにかく、少年を見つけ出すことが先決だ。


 テムザは近場にあった木に近寄り、手を当てて目を閉じた。


 ――木々よ、草よ、花々よ。我の呼びかけに応え、この言葉を彼に伝えてほしい。


 祈りを捧げると、呼応するように周囲の草花が風に揺れる。


 これは万が一のための保険だ。少年だけならばいざ知らず、ここにはあのゼルヴェも姿を見せている。ゼキア家の人間ともあろう者とぶつかれば、勝てるかどうかは賭けになる。


 目を開いたテムザは、草木の声に耳を澄ませた。ここから先、力の出し惜しみはしない。その分、いくらか副作用が出るが、気にはしていられない状況だ。


 木々が草花の声を伝え、風に乗ってテムザの耳へと届く。


「そこか」


 はっきりと少年の位置を把握したテムザは、森の中へと歩を進めていった。

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