表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
理の王 ~転世者を裁く者たち~  作者: 鹿竜天世
第二章 花冠の王
24/44

捌け口

 募る不安を誤魔化すかのように、ヘイレスは馬を駆った。


 行く先はただ一つ。ミリアのもとである。


 夜も更けていたので、村人たちは皆、寝静まっているようだった。鍛冶師の家も例外ではない。


「ミリア」


 不躾にもドンドンとドアを叩き、彼女の名を呼ぶ。


 以外にもミリアはすんなりと姿を現した。その後ろにはエーデンの姿も見えるが、彼も何も言ってこない。


「エーデン、腕は大丈夫なようだな」


 声をかけないのもどうかと思ったのか、ヘイレスはそんなことを言った。


 聞こえているのかいないのか、エーデンは無視してそこに立ったまま、反応がない。


 当然と言えば当然だ。人の腕を切り落としておいて、『大丈夫なようだな』とは、どういう了見か。我ながら笑える話だ。


「ああ、ミリア」


 月光のもとにさらされた美しい素肌に、思わず見入ってしまうヘイレス。


「ミリア、今日はいいワインが手に入ったんだ。これから俺の屋敷に来るといい。朝まで飲み明かそう」


 彼女もまた、聞こえているのかいないのか、無表情なままだった。


 しかし、そんなことはどうでもよかった。今はとにかく、彼女が欲しいのだ。


 ミリアを自室へと連れ帰ったヘイレスは、感情のない人形のようにただ一点を見つめて動かない彼女を椅子へ座らせ、ワインを注いだ。


「さあ、ほら、乾杯だ」


 まるで動じないミリア。


「どうした? 具合でも悪いのか?」


「……」


「ミリア。返事をしてくれ。俺には君しかいないんだ」


「………」


「頼む…ッ!」


 肩を掴んで乱暴に揺さぶるが、それでも彼女に反応はない。


 胸にグッと熱い何かがこみ上げてきたヘイレスは、ミリアを床に押し倒した。


 声も出さず、表情一つ変えなかったミリアの目からは、涙がこぼれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ