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理の王 ~転世者を裁く者たち~  作者: 鹿竜天世
第一章 雷を呼ぶ青年
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報せ

「フランダル様、あのような場所でくつろがれると、風邪をひきかねませんぞ」


 フランダルが部屋に入るなり扉を閉めたキースは呆れた様子で言った。


「この城はどこにいても似たようなものだ」


 室内には火のついた暖炉もあるが、閑散とした城内は天井も高く、とても暖房としての機能を果たしているとは言い難い。実際、自分の書斎や寝室以外ではフランダルも外套を着て生活している。


「それで、問題発生か?」


 フランダルは手近にあったソファに腰かけ、足を組んで言った。


「ドグ・ラクラ様からの報せです。魔の国に凶兆あり、と」


「ラダンカか。国王がらみか?」


 フランダルは目を細めて言った。


 ラダンカはアレド山脈の南に位置する、溶岩と荒野の国だ。文字通り荒れ果てているので、地理的な面で言うと特筆すべき点はない。彼の国の特徴はなんといっても、その国民性だ。


 ――魔の国。ラダンカを言い表すのに、これほど適した表現はないだろう。なぜなら、そこに住んでいる者は人ではないからだ。全国民が魔物で構成された、世界で唯一の人外の国なのだ。故に当然、国を治める者も魔物――すなわち魔王である。


「どうやら、そのようです」


「そりゃ、ちっとばかし骨が折れそうだ」


 フランダルが立ち上がると、キースがすかさず指を鳴らした。


 どこからともなくメイド姿の侍女が現れる。手に持っているのはフランダルの旅装だ。


「それじゃ、キース。留守は頼んだぞ」


 侍女から行きの分だけの旅支度を受け取りながら、フランダルは言った。


 キースが何も言わずに恭しく礼をする。


 物静かな二人を背に城を出たフランダルは、薄く雪の積もった山道を歩き始めたのだった。

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