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理の王 ~転世者を裁く者たち~  作者: 鹿竜天世
第一章 雷を呼ぶ青年
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ライムの選択

「さて、あいつが帰ってくる前に、さっさと話を済ませるとするか」


 茂みになかに隠れていたフランダルは、葉っぱを払いながらそう言った。


「ライム。決意は固まったか?」


「僕は――」


 ライムはそう言って、力強くフェベムを見た。


「僕はフェベムさんについていきます。僕には、助けてもらった恩があるから。竜化の力は使いません。自分の力で、人と魔物とを繋ぐ架け橋になりたいです」


「ライム…」


 フェベムが目に涙を浮かべる。


「いい答えだ、ライム。お前がそう決めたなら、俺たちはこれ以上何も言わない。自分の道を進むといいさ」


 フランダルは明るい口調で言った。


「さ、退散するぞ、ドグ。仕事は終わりだ」


 踵を返して去ろうとしたフランダルを、フェベムは呼び止めた。


「待つのじゃ」


「なんだ?」


「なぜライムの隠れていた部屋がわかったのじゃ? あの部屋はわしやジュード、それにカサンドラしか知らぬはずじゃが」


「なんだ、そんなことか」


 フランダルは口元に笑みを湛えた。


「簡単な話だ。俺のいるスレイド城と構造が似ていたからだよ。もし自分が何かを隠すならどこかって考えたんだ。それをドグに伝えた。もしかして、設計者は同じ人物なのかもな」


「――そうか。まあ、遅かれ早かれ、いずれは気が付かれていたのであろう。にしても、じゃ。よもやカサンドラの恨みがあそこまでとは。思いもせなんだ」


「部下の胸中を見誤ったな。ジュードもそれを心配していたよ」


「なに!? ジュードと話したのか?」


「ああ。あんたらが出発した、少し後でな。カサンドラが胸に一物抱えていたことは、ずいぶんと前から何となく察していたみたいだぜ。後のことをよろしくとかって頼まれちまったけど、これでよかったのかねぇ」


「あやつ…、素知らぬ振りして余計なことを…」


「ま、おかげでカサンドラちゃんの暴挙を止められたんだ。その点は、よかったんじゃないか?」


「ぬう…。ジュードとはまた帰って離さねばな。カサンドラについては、こちらでなんとかする。いらぬ心配をかけたようじゃ。すまなかったの」


「あらあら、最初の態度とは打って変わって、ずいぶんとしおらしいじゃないの」


「黙れ。わしとてお主らに心を許したわけではない。じゃが、今回のことで学んだこともたくさんある。それは、胸に留め置かねばならぬと思っておるだけじゃ」


「さて、それじゃ、後はお好きにどうぞ。こっちもちっとばかし介入しすぎたんでね。ここらでさっさと退散することにするよ」


「うむ」


 フランダルはドグとともに、森の中へと姿を消していった。


「理の王…。なんだか不思議な存在ですね…」


 ライムが言うと、フェベムは鼻を鳴らした。


「ふん、まったく、ろくでもない連中じゃ。好き勝手に場を荒らしおって」


 その言葉とは裏腹に、フェベムの表情は明るかった。

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