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自分の小説のキャラに『話の続きを書け』と迫られる話

作者: はんだれい

「よう、元気してたか?」


 机に突っ伏してうとうとしていた俺はその女の声に飛び上がった。


「うわああぁぁぁぁっ!?」

「うおぁっ!? そ、そんなに驚くなよ!?」


 驚くに決まっている。俺は独り暮らしで、他に合鍵を持っているのは実家のカーチャンだけなのだ。それがいきなり知らない声で肩を叩かれて、驚くななんてムリだ。


「な、なんだよお前!? 誰だ、どこから入ったんだよ!? げ、玄関開けっぱなしだったか……!?」


ガタン! と派手に椅子を倒しながら立ち上がって、声の主へファイティングポーズを取る。

 だがしまった、スマホの充電が切れたまま寝落ちしていた。これでは110番に通報できないじゃないか。

 そんなことを考えて背中に汗をダラダラと流していると、いつの間にか部屋にいたその女は呆れとも嘲りともつかない風に笑う。


「そのクソみたいな構えで何と戦うつもりだよ? そんなへっぴり腰じゃ小型ガイスト一匹仕留められないぜ」

「……え?」


 そこで思考が止まった。

 女が発した『ガイスト』という言葉がそうさせたのだ。


「な、なんでその言葉を……?!」

「知ってるに決まってるだろ」

「いや知ってるわけがない! ガ、『ガイスト』なんて……この世界にはいないんだから……!」


 ――ガイスト。多足で高い知能と再生能力を持ち、硬い外殻に覆われた異形の怪物の総称。


 そうだ、ガイストはこの地球のどこにも存在しない生物群。

 奴らが存在しているのはここではない別世界――俺の小説、『コールド・ブラッド』の舞台である異世界。


 つまり、女が発したその単語は、()()()()()()()()でしか通用しない言葉だった。



******



「ど、どこで『ガイスト』なんて言葉を……」


 女は倒れた椅子を拾い、どかりとそこに腰かけた。


「生まれたときから知ってる。だって私は、ガイストに乗っ取られた国、ローダリアンの出身だからな。耳にタコができるほど聞いてるさ」

「ローダリアン……」


 それも俺が創作した言葉だ。『コールド・ブラッド』作中で主戦場となる地……そして、


 主人公であるメア・ブラッドの出身地。


「やっと気づいたのかぁ?」

「そ、そんな……そんなわけない……。ゆ、夢か? 俺は変な夢でも見てるのか……?」


 女――いや、あえてこう呼ぼう、メアは、舌打ちして胸の下で腕を組んだ。


「残念だが現実だよ。お前が妄想を文字データに起こした存在であるメア・ブラッドが、現実のお前のところにやって来たんだ。そろそろ認めろ」


 認めろ、と言われても認められるものじゃない。さすがに現実と空想の区別くらいはできているつもりだ。


 でも……彼女の恰好は、俺が執筆中に想像していた戦闘服そのままの姿だった。

 容姿だってそうだ。外に跳ねたショートヘア、子供っぽさが残る童顔、右手の古傷、よく見てみると意外に大きい胸……何から何まで、俺のイメージした通りのメア・ブラッドだ。


「そんな、こと……。信じられない……」

「何なら触って確かめてもいいんだぜ? ドーテーにはちょっと刺激が強いかもしれないけどな!」

「だ、誰が童貞じゃい!」


 とは言ったが確かに童貞だ。あと数年で魔法使いになってしまう。

 しかしそれにつけてもこの軽口の雰囲気もメアのキャラ付けとして書いた覚えがある。


 もしかすると、これは本当にフィクションのキャラクターが現実に現れてしまったのではないか……。俺は少しずつそんな風に思い始めていた。


「メ、メア……と呼んでいいのか分からないけど。……き、きみはどうやってここに来たんだ?」


 すると彼女は机の上のパソコンを指さして、


「データの中からディスプレイを経由して出てきた」


「貞子か何か? っていうかそんな物理的な感じで?」

「私の世界には魔法みたいな便利設定が存在しないからなぁ」

「そんなメタ発言していいのかよ?!」

「上位世界に出てきてる時点でメタもクソもないだろ!」


 まったく、と深く座り直してメアは続ける。


「いいか作者サマ、この際だから教えてやるが、小説に限らずフィクションのキャラクターは大抵、『自分が創作物の一要素に過ぎない』ことを把握してるんだぞ」

「えっ……そんな、嘘だろ? じ、じゃあきみだけじゃなく他のキャラも『コールド・ブラッド』って小説の存在を知ってるのか?!」

「そういうことだ」


 メアは大きくうなずいた。


「自分の行動が作者の気まぐれで勝手に決定されるのを快く思ってない奴もいるぞ」


 ちょっとグサッ、と来た。プロットに合わせて無理やり気味にキャラを動かした心当たりは結構あった。


「ついでに言うと、私の相棒のルカだが……あいつがお前の初恋の女の子をモデルに作られたことも周知の事実だ」

「ウワアアアォァア!! や、やめろ昔のこと掘り返すのは!!」

「そのせいでルカの行動描写は妙にねっと~りしてるんだもんなぁ。毎回ちょっと引いてたもん」

「やめろやめろ!! そんなことねぇし!! ルカに特別な思い入れとかねぇし!!」

「否定するのは自由だけどさぁ」

「なんだよその顔馬鹿にすんなよこちとら作者様だぞ!!」

「はいはい申し訳ございません」


 だがメアはまるで悪びれない。腰に挿した戦闘用ナイフを抜いて、口笛を吹きながらこしこしと磨いていた。

 そんな彼女の様子に混乱していた俺の頭はますます痛んだ。


 ちくしょう、余計なこと思い出させやがって……。

 しかしこのまま詰られているだけじゃ作者の面目丸潰れだ。


「……何なんだよいきなりやってきて好き放題言いまくって。一体全体何しに『コールド・ブラッド』の中から出てきたっていうんだよ!」


 彼女がメア・ブラッド本人であることは認めてしまっている発言になるがここはしょうがない。さっさと元の世界に帰ってもらわないと、また俺の心がダメージを受けてしまう!

 そういうわけで放った一言は、ある意味では核心を突く問いかけだったに違いない。メアはそれを聞くと、軽やかな身のこなしで俺の目の前に迫り、手にしたナイフを首元に突きつけて言った。



「『コールド・ブラッド』の続きを書かせに来た」



 切れかけた電球の光でぎらりと煌めく刃。でもそれ以上に俺の背中を冷たくしたのは――


 もう一年も『コールド・ブラッド』の続きを執筆できていないという事実だった。



******



「お前が続きを書いていない間に登場人物全員で会議したんだ。作者に続きを書くよう言いに行くべきか、行くなら誰が上の世界に出向くかって。その結果は……分かるだろ?」


 メアは軽く目を細めた。喉元にあてがったナイフの背を静かに肌に伝わせる。皮膚に触れる金属の冷たさは間違いなく現実のそれだ。


「さあ、書け、作者サマ。お前が書かなきゃ私たちは己の死に様すら確かめられないんだからな」

「う……」


 彼女に脅されるまま、俺は椅子に座った。いつものように背もたれに背中を預けて、手元にキーボードを置いてパソコンを点ける。

 ファイルを検索して、開く。


『コールド・ブラッド』147KB


 場面はメアとルカが口論になるシーンで終わっていた。元々この二人にはそりが合わないところがあったのが、直前のガイストとの戦いで考え方の違いが決定的になる。どちらも生き残ることはできたがメアの不満が噴出して……という局面……だった、と思う。

 何せ最後に筆を執ったのは一年も前のことだ。どんなイベントがあってどんな戦いをして、そしてこれからどうやって書いていこうかなんてもう覚えていない。


「…………」


 時間が止まった世界を前にして、俺の動きも止まった。空白の「」の中で点滅するカーソルが急かすのに、指がぴくりとも動かない。


「どうした、早く書け。そこで私はなんて言ってルカをぶん殴ればいいんだ」

「そ……そうだな……メアの性格なら、ルカ相手に怒るときは……」


 カタカタとキーボードを叩く。


――『……お前がこんなに頑固だとは思わなかったぞ、ルカ』


 でも、いや、違う。


「このセリフを使うなら、ここまでのシーンで割と八方美人というか、ルカが他人に合わせるキャラだっていう描写をしてないとしっくりこない……。そうじゃなくて、他人の意見を尊重しつつも自分の中に決してブレない確固とした芯を持ってる女性、それがルカだったはずだ……」


 そしてメアはそんなルカの初めて見る一面に驚き、ついキツい一言を言ってしまう。だから俺が書かなきゃいけないのは、ルカの意固地なところを皮肉り、本意じゃない強い言葉で突き放してしまうメアの未熟さを表わしたセリフだ。


「なら……こう、かな……」


――『悪人も善人も分け隔てなく助ける? それが戦う力を持った者の務め? ハッ、ご立派な思想だ、さすがお姫様は違うな。……甘いだろ、ルカ。私たちにそんな力はないんだよ……っ!!』


「おお、悪くないんじゃないか? アホほど険悪になりそうだけど……ここから中盤の山場があって私たちの絆が深まるんだろ?」

「うん……そうするつもりだったけど……」

「何だよ納得いかないのかぁ?」


 ここまでの展開でメアが悪人を切り捨てて善人だけを助けてきたならしっくりくるシーンだが、一年前の俺はそういう過程を描いていただろうか?

 ……肯定できない。パズルを完成させるのに必要なピースを作ってきた自信がない。


 結局俺は「」の中を丸ごと範囲指定してバックスペースキーを押した。


「あっ、おいっ何で消すんだよせっかく書いたのに!?」


 メアはぐわっとディスプレイに顔を寄せて、それから餓えた野良犬みたいな牙をむき出しにして俺を睨んだ。

 その怒り顔も俺の想像通りなのがかえって空々しく思える。


「……だめだ、書けない」

「あぁ!?」

「俺には続きは書けない……書きたくない」


 腕から力が抜けて、だらんと垂れ下がった。ぼんやりした目に自分が積み重ねてきた文章を映してみても、その最後の「」に当てはめるべき言葉が見つからない。

 ……頭が痛い。


「……チッ、分かった。なら今日は帰る」


 メアはそう言ったかと思うとナイフを鞘に納め、俺の背中側に回り込む。


「だが、いずれは書いてもらうぞ……『コールド・ブラッド(私の物語)』の続きを」


 耳元で唸るように囁いたかと思うと、俺が後ろを振り返った瞬間には彼女の姿は消えていた。



******



 その日からメアは毎日、俺の前に現れるようになった。


 バイトをしているとき、電車に乗っているとき、腹が痛くてトイレにこもっているときもドアの向こうには奴がいた。

 中でも一番最悪だったのは大学で講義を受けているときのことだ。教授が何か大事そうなことを喋っているというのに、メアは俺の真ん前の席からこっちを向いて、


「書け、書け、書け、書け、書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け書け」

「だああぁぁぁっ、うるさいぞお前はぁぁぁっっ!!」


 と思わず立ち上がって叫んでしまった。ハッとして周りを見てみると教室の全員が俺の方を見てものすごい顔をしていた。

 しかもメアの姿は俺以外には見えていないらしく、傍から見れば完全にヤバいヤツだ。


 そのあとのことは思い出したくもない。


 そういうわけで、メアが現れてからの数週間、俺の生活はとにかくぐちゃぐちゃだった。

 そろそろあいつを追っ払って元の平穏無事な生活を取り戻してやる……。

 

 と思ってみても、訓練された軍人である彼女にナイフを持ち出されたら従わないわけにもいかず。俺は毎日、小説なんて書きたくもないのにパソコンの前に座らされている。


「……な、なんとかケンカのシーンを書き終えたぞ……」


 カラカラに乾いた口にコーヒーを流してうめく。やっとだ。一つのシーンを描くのに何日かかったことか。数段改行して暗幕を垂らしたところで、ここ最近の疲労感が一気に俺に襲い掛かった。


 一方でメアはというと、ひとのベッドに無遠慮に横になって漫画を読んでいた。「ほーん」とか「はー」とか独り言を言いながらページをめくっていたのだが、俺の言葉を聞いてぴょんと跳ね起きたようだった。


「やっとか作者サマ!! 随分待ったがついに進んだんだな!」

「う、うん……一応」

「締まらないリアクションだなぁ。進めたってことは会心の一文が書けたんだろ?」

「いや……全然だめだ。まるで自信がない」

「まぁたそれかよ……」


 イラついた舌打ちを繰り返してメアは俺を椅子からどかせた。


「私が見てやる。主人公直々のチェックなら安心だろ」

「お、おい!」

「どれどれ……」


 止めようとする俺を単純な腕力で押しのけて彼女は文章に目を通し始めた。またしても「ほぉ~」とか言いながら。

 そうなってしまうともう止めても仕方ない。メア・ブラッドがどんな行動を取るのかをメア・ブラッドが確認し終えるまで待つしかない。


「ふむふむ……なるほど…………ルカの言い分に私が歩み寄りそうな雰囲気があって………………」


 待っている間、時間が異常に引き延ばされて感じた。

 手汗が止まらないし、心臓がやたらと早鐘を打つせいで呼吸のリズムが掴めない。


「……すぅ、はぁぁ……」


 よくない。こんな妙な緊張状態が続くと頭がおかしくなる。

 ここは別のことをして気をそらすべきだ。

 そう思ってメアが置きっぱなしにした漫画を開く。


「あ……これって、昔ドハマりしたやつか……」


 ページをめくるとすぐにその頃のことを思い出した。単行本派の俺が、珍しく掲載雑誌を毎月買って追いかけていた作品だ。あの頃は本当に毎月楽しみだった……。最終回でちょっと評価が落ちてしまったのだが、それでも俺にとっては不朽の名作に違いない。

 そして同時にもう一つ思い出す。


『コールド・ブラッド』はこの作品にインスパイアされて書き始めた小説だったこと。


「……メアはこれのチョイ役の女の子を自分好みにリデザインしたキャラだったっけ」


 性格はほとんど別物になってしまったが、見た目は少し面影も残っているだろう。

 まさか彼女が現実にまで出てくるとは、イメージを作っている最中には思いもしなかった。


 するとマウスのホイールを回していたメアが発した。


「うーん、いいんじゃないか?」

「え?」

「読んだ感じ、セリフもそれぞれのキャラにマッチしてると思うし、展開も後に繋げられるようにできてる。これで問題ないと思うけどなぁ」


 古傷が痛々しい右手であごを掻きながら彼女は振り返る。


「自信がないってほどの駄文じゃないだろ」


 賞賛ではないが慰めというほどでもない言葉。メアらしいナチュラルな言い草。

 ――そんな言葉が俺の神経に障った。



「い……いや、全然よくないだろ!!」



「な、なんだよいきなり?」

「よくない、よくないっ!! こんなお話じゃ全然だめだ!!」

「はぁ? だから大丈夫だって言ってるだろ」

「こんな文章じゃ全……っ然、満足できないんだよっ!!」


 ガンッ! と拳を本棚に叩きつけた。ボロの棚はぐらぐら揺れて、衝撃で中の本を次々に吐き出していった。


「な……何なんだお前は?! 主人公である私がこれでいいって言ってるだろ!」

「違う、違う、違うっ……!!」

「何が言いてぇんだよはっきりしろ!!」

「俺は……! こ、この漫画みたいな話が書きたいんだよ……!!」


 訝しげに眉間にしわを寄せるメアの姿がじわりと滲んだ。


「この漫画はすごい……敵対勢力の設定やデザインの発想力はずば抜けてるし、展開には隙がない上に笑えるところもシリアスなところも全部網羅してる」


 もちろんそれだけじゃない。ハラハラドキドキして息をつかせない構成の中に少年漫画らしい熱いセリフの応酬がちりばめられていて一言一句まで見逃したくないと思わされる。そんな極上の作劇テクニックで描かれる主人公は未熟ながらも芯の通った男で、共感することも憧れることもできる。そんな主人公がグロテスクなのにカッコイイ敵と戦う中で成長していく。

 そんな物語が書きたくて。主人公よりさらに上にいる作者に憧れて、俺は『コールド・ブラッド』を書こうと決めたのだ。


「……そうだな、私も面白いと思った。けどこれはお前の作品とは別だろ」

「話はもちろん別だ……。主人公の設定から何から違う。でも間違いなく、俺はこの作品に影響されてきみたちを創ったんだ」


 嗚咽しそうになるのを唇を噛んでせき止める。


「なのに……! お、俺の文章は……この漫画に何一つだって及んじゃいない……!!」

「…………」

「話のスケールは小さいしキャラの個性も足りてない、展開だって全然ドキドキ感がないのにしかもあちこちにとっ散らかってまとまりがないじゃないかっ!!」


 気づけば俺は泣いていた。泣きながら、ひどい光景だと思った。

 自分の小説のキャラにその作品のだめさを説くなんて。しかも、大の男が号泣しながらだ。

 ……笑えない。


「メアとルカのセリフ回しも世界観にそぐわないところがいくつもあっただろ!? かっこよくもなくてユニークでもない、何の面白みもないセリフがそこら中にいくらでもあった!! そんなつまらない、ありふれたセリフを使ってるっていうのにメアの心情に共感できるかって言ったらそうでもない!!」

「……おいそこまで言うなよ」

「表現力も足りてない。ガイストの気持ち悪さを十分に伝えられる言葉が使えてないんだ。他のキャラのビジュアルだって、俺の頭の中にはイメージができてても、読んで伝わるようには描けてない!!」

「もうやめろって」

「設定もこの漫画の後追いと奇を衒ったような逆張りが目立ってかえって没個性的になって美しさを損なってる!!」


 そこで俺はついに体を支えることもできなくなった。椅子の背もたれに縋りつきながら、感覚すらなくなってる顔でメアを見上げて、


「……いいかメア、俺の『コールド・ブラッド』にはこんなに欠点があるんだぞ!? 作者の俺がそれに気づいてるのに、読んでみて気づかないわけないだろ!? 気づけよ、気づいてくれよ俺のだめさにっ! 気づいてるんだったら言ってくれよここがだめだから直せって!! それもせずに流し見て、これでいいんじゃないか、なんて……ひとの小説を読んでおいて無責任にもほどがあるだろっ!!」

「――っ、いい加減しろッ!!」


 バタン、と突然体がひっくり返った。息が止まりそうになりながら体を起こしてみると、涙目をしたメアが倒れた椅子の前に立っていた。

 ずんずんと彼女は俺のところに寄って、ものすごい力で胸倉を掴んで俺を引っ張り上げる。


「ぅ、ぐぅ……っ!」

「おい作者サマ、何を勘違いしてんだか知らねぇがきちんと言ってやる……!」

「か、勘違い……?」



「私がお前の小説を適当に流し見たりなんかするわけないだろうが……!!」



 メアが食いしばった歯の間から激しい熱が漏れるのを感じた。


「作者サマ、お前が書いた小説はお前だけのもんじゃないんだぞ!? お前が書き始めた時点で、お前の世界は私の世界になってるんだよ!! お前が書いたこの文章は私が暮らして、戦っていかなきゃならない世界なんだよッ!! それを……まさか適当に読んだりなど誰がすると思う……ッ!!」


 また背中に強い衝撃を受けた。今度はメアに突き飛ばされて壁に激突したのだ。

 それから彼女はナイフを抜いて瞬時に逆手に持ち替え、目にもとまらぬ速度で喉元に切っ先を突きつけた。

 金属の冷たさと彼女の古傷から漏れる熱さが俺の神経を狂わせていた。


「私は本当にこの文章で問題ないと思った! こういう展開がある世界で生きてもいいと思った! それを伝える態度が真剣さに欠けてたっていうならそれは謝る、だが、だからと言って私にとって唯一の世界をこれ以上愚弄するなら許さないぞ……!!」

「は……はぁっ……!」

「お前が作者じゃなければここで殺してた……! けど、私にそれはできない。私はお前が作ったキャラクターだからだ。でも忘れるなよ、お前が創った『コールド・ブラッド』の世界は、お前にとっては空想の産物でも、私にとっては唯一の現実なんだ。私だけじゃない、ルカもガイストも、あの世界では大勢の命が生きてる。お前が創った命が、次の展開をいつまでも待ってんだよ……!」


 クソッ!! メアはそう叫びナイフをベッドに突き立てた。そして俺を開放し、静かに背中の方へ回り込む。


「……お前が私たちの世界を嫌ってるのは分かった。だから、もういいよ」

「え……っ?」

「みんなにこのことを報告して、説得する。きっと私が話せば続きはないってことが分かってもらえると思う」


「な……何言ってんだよメア……」

「いいんだ、作者サマ。辛いなら書かなくたっていい。お前にはこっちの世界での生活があるんだ、私たちみたいな下位世界のことでわざわざ悩まなくっていい」

「なんだよ……なんだよそれ! お前が書けって言うから俺は頑張って書こうとしたんだぞ!?」

「ゴメン、悪かった、謝るよ。被造物の分際で神の邪魔してすまなかった」


 じゃあな。

 そう聞こえたと思ったら、背後から気配は消えた。振り向いても、そこには誰もいない。

 ただ倒れた椅子と散らばった本、それにベッドに突き刺さった濡れたように輝くナイフがメア・ブラッドがそこにいたことを言葉少なに語っている。

 


 電球が切れかけた部屋の中で俺はひとり、顔を覆っていた。そうしているうちに泣き疲れて眠ってしまったんだろう。


 目を覚ましたときには、俺は散らかった部屋で縮こまって横になっていた。


「……ぅ、朝か……。授業は……間に合わないな……。せめて、か、片付けないと……」


 全身が張って痛むのを押して立ち上がり、本棚が大量に吐き出した本たちを拾い集めた。

 漫画、小説、学校のテキストや参考書、新書がほんの少しだけ……。

 その中に俺はひどく懐かしいものを見つけた。


『コールド・ブラッド(仮題)』


 そう題された大学ノートだ。どこに挟まっていたのか忘れていたが、それは確かにあの作品を書くにあたって用意した専用のノート。


「……設定とかプロットをこれにメモして考えてたんだっけ」


 俺はそのノートを持ったまましばらく黙っていた。一分か、二分くらい。

 でもそれから意を決した。

 表紙をめくってみたのだ。



――『Q.主人公の名前は? A.ブラッドは確定、名前考え中←メア・ブラッドで決定』



 一ページ目はそれだった。思いついた名前を何度も書いてみて、アリだと思ったものをピックアップして少しずつ絞っていって……そうして決めたのが彼女の名だった。


「……こんなの考えてたっけ、忘れてたな」


――『Q.敵の名前は? A.モンスター、クリーチャー、レギオン、ガイスト、シャドウ←←ガイスト?』

――『Q.主人公の大目標は? A.敵に奪われた祖国を取り返す!』

――『Q.パートナーは? A.主人公とぶつかりそうな正反対っぽい女の子(名前:ルカ?)』


 こんな自分への問いかけに答えることで俺は少しずつ物語の輪郭を作っていった。

 ずっと忘れていた。今の『コールド・ブラッド』がどんな設定を考えて走り始めたのかも、それらの要素と競合して没になった案が存在したことすらも。

 自分が走らせたペンの筆跡がこんなにたくさんだったことなんて、いつから忘れていたんだろう。


 そうしてめくっていくと、書き込みのある最後のページにたどり着いた。

 そこに書いてあった問いかけと俺の答え。それを見て、自分の文字だというのに、俺はひどく心を揺さぶられた。


「…………っ、そ、そうだ……忘れてた……。俺は……こ、こんなに基本的で……忘れちゃいけないことまで……ノートの中に閉じ込めてたのか……」


 朝日が差す部屋の中で、俺はまた涙を流していた。



******



 メアが物語の中に帰ってから一週間。あれ以来彼女はどこに現れることもなくなった。バイト中も、通学中も、講義中も、トイレに入っているときも。どこにも彼女の声は聞こえなくなった。

 すごく過ごしやすい一週間だった。誰にも邪魔されずに一日を送れるのがこんなに素晴らしいことだとは思わなかった。


 そうだ、すごく快適だった。すごく快適で……ひどく空っぽな一週間だ。

 元の生活に戻っただけだなんて信じられないほど虚ろな日々。


『コールド・ブラッド』の――小説のない、空虚。


 知らなかった。小説を書くためにパソコンに向かう時間を持たないだけで、俺はこんなにも弱体になってしまうなんて。物語を考えるという行為にこれほどに依存していたなんて。


 だけどこれが本当の俺なんだ。

 書きたくない、なんて嘘だった。心に乗せた蓋に描いた薄っぺらな虚像だった。

 それに気づいてしまった。


 なら俺がやるべきことは決まってる――。



「よう、久しぶりだな」



「うわああぁぁぁぁっ!?」


 パソコンの前で椅子を引いた瞬間、肩を叩かれて俺は絶叫した。


「うっるせぇな、そんな驚くなって言ってんだろ?!」


 床に滑り落ちながらわたわたと振り返って見る。

 そこには耳に手を当てて顔をしかめるメアがいた。


「メ、メア……?! な、なんでこっちにいるんだよ……?!」

「今さら原理の説明なんかいるか?」

「そ、そうじゃないだろ!」

「ハハ、分かってるよ冗談だ」


 彼女はひらひら手を振ってどかりとベッドに腰かけた。そうして枕元に置いたままにしていた戦闘用ナイフを拾い、刃の鋭さをこちらに見せびらかす。


「こいつを返してもらいにな」


 そう言うと、うっすらと目を細めた。


「あとついでに、報告しに来た」

「ほ、報告?」


 本棚から漫画を物色しつつ彼女は平調子に言う。


「なんとかほとんどのキャラから、『コールド・ブラッド(世界)』の続きが書けないことの了解を得てきた」

「なっ――!」

「ルカがよく働いてくれた。最初はあいつも動揺してたが、すぐに分かって私と一緒に説得を手伝ってくれた。相棒枠らしい大活躍だったぞ」


 背骨から首にかけてをハンマーで殴られたような衝撃に襲われた。ぐわんぐわんと頭が揺れて、思考が真っ白だか真っ黒だかよく分からない色に塗りつぶされる。


「ち、ちょっと待てメア!」

「あぁ?」

「いいのか、続きがなくなっても?! お話の続きが、書かれなくなるんだぞ!? そうしたらきみを含めた世界の全部が前にも後ろにも行けなくなるんだぞ!?」

「ついでに右にも左にもな」

「メアッ!」


 彼女は開きかけたあの漫画を膝の上に置いて腕を組む。


「……よくはないけど、仕方ない。私たちの物語を書けるのは作者サマ、お前だけだ。そのお前が私たちの世界を気に入ってなくて、書けないって言うなら、私たちキャラクターはそれを甘んじて受け入れるしかない」


 左腕を掴むメアの右手――そこに残る古傷に力がこもるのが分かった。


「私たちは所詮、キャラクターに過ぎない。作者の意向にどうこう意見する権利なんてのは本来ないんだ」


 強気を装うその声の震え。

 作者である俺が気づかないわけがない。


「メ……メア……!」


 居ても立ってもいられなくなった俺は、メアにも負けない素早さで彼女の前に膝をついた。


「ごめんなさいっ!」


 両手を床について手の間に額をこすりつけながら、俺は裏返った声で叫んだ。


「え……えええぇぇっ!? お、おいなんだよいきなり!? やめろよ気持ち悪いぞ!?」

「違うんだよメア! 俺は本当はきみたちの世界が好きなんだ、きみが大好きなんだよ!!」

「きっしょ! 自分のオリキャラに告白とか頭イカれてんのか!?」


「そうじゃないんだ聞いてくれ! お、俺はひどい間違いをしてたんだ!!」


「間違い……? わ、分かった聞くから顔上げろ……」

「うぅ……ありがとぉ……」

「うわ顔きったねぇ」

「余計なこと言うな……」


 受け取ったティッシュで鼻水を拭いて、俺は改めてメア・ブラッドの前で正座に居直った。


「……お、俺の間違い……それは、小説を書くことに対する……考え方。もっと言うと、小説を書く動機それ自体を……自分で思い違いしてたんだ」

「動機だとぉ? そんなこと私の側にとっちゃまるで別次元の話だが……」

「それでいいから、今は聞いてほしい」

「…………分かったよ」


 そこで俺はカバンからノートを取り出した。あれから何度も読み直した『コールド・ブラッド』のアイデアノートだ。

 まとまらないアイデアをこのノートに書き殴っていた昔の自分が、きっかけを思い出させてくれたのだ。


「メア、俺は……あるたったワンシーンが描きたくて、物語を作ろうと思い立ったんだ」

「ワンシーン? それだけのために何万字も書いてたのか?」


 俺は深くうなずく。


「そのシーンのためだけに設定を考えてプロットを練って……そうだ、きみの右手の古傷だって」

「この傷?」

「幼少期にガイストに襲われてできた負傷の痕……その設定もワンシーンで活かすために足したんだ」

「…………」


 メアは自分の手をまじまじと眺めて、「ふぅん」と短く吐き出した。


「俺は元々そのシーンのために書き始めた。なのに、しばらくすると別のことに気を取られるようになった。……創作者としての自分の力のなさだ」


 書いても書いても粗が見えてくる。キャラも薄いし話の軸もブレブレ。たまに、『これはよく書けた!』と思う部分があっても、後になって読み返すと小学生の作文に見えた。

 それが歯がゆくて仕方なかった。


『俺の頭の中にある世界はこんなに素晴らしいのに!』

『……なのに手元にできた世界はこんなに穴だらけだ』


 そう思って方針に悩むたび、あの漫画を読み返した。そこには俺が目指すべき素晴らしい創作物があって、いつでも俺を待っていてくれる。

 それに比べて『コールド・ブラッド』はどうだ。駄文乱文は前提として、心がひりつくような熱いセリフもおおっと唸るようなキレた展開もない。そして追いかけるほどに理想の世界は遠ざかっていくのだ。


 そうしているうちに俺は疲れてしまった。

 書きたいものがあるのにそれを表現できない。そのもどかしさが苦痛に変わって、やがて物語の続きを考えることそれ自体が辛く苦しいものになってしまった。


 こうして俺は『コールド・ブラッド』を書くのをやめたのだ。


「……そのシーンは書けず終いか」

「そうだ、まだ書けてない。書けてないのに、俺はそれを書きたかったことを忘れて……その想いに蓋をしてたんだ」

「今はどうだ、書きたい気持ちは残ってるのか?」

「昔の俺が思い出させてくれた」


 それを聞くとメアはほんの少しだけ表情を緩めた。


「これは本来は私が聞いちゃいけないことなんだろうが……教えてくれないか、お前が描きたいシーンが何なのか」


 待ってました。きっとそう言わんばかりに目を見開いたに違いない。俺はノートの最後のページを開きメアの目の前に突きつけた。



――『Q.エンディングはどうする?』


A.(答えは、)ハッピーエンドだ!」



「……!」

「俺が好きだったその漫画、最終回はバッドエンドだったんだ! 俺はそれだけが気に入らなくて、自分ならハッピーエンドにするのに、ってずっと思ってた! だからそこからインスピレーションをもらった『コールド・ブラッド』は絶対にハッピーエンドにしようって、その最後の一文だけが描きたくてずっと書き続けてたんだ!!」


 自分が何を求めていたのか、そのためにどうやって物語を綴るべきだったか、それが今ならはっきり分かる。

 

 俺は他の誰でもない、『自分が読みたい物語』を創っていたのだ。ハッピーエンドで”完”とつけられるストーリーが読みたくて、でもそれは俺の頭の中にしかないから『コールド・ブラッド』という名前をつけて文を編み始めたのだ。


「きみたちの物語――『コールド・ブラッド』は俺のための物語だった。だから本当は、他の人が描いた世界と比べて見える粗を気にしたって仕方なかったんだ。俺は俺のために、誰と比べることもなく、ただ自分の思うようにメアを描くべきだった」

「お前……」

「だから俺に書かせてほしい。きみの物語の結末を――書きたいんだ」


 もう一度深く頭を下げた。勢いよくだ。

 書きたくない、なんて言った欺瞞を吹き飛ばすために。


 すると俺の頭に柔らかい感触が当たった。間を置かず、その感触がぐりぐりと力を持って頭を押してきて――、


「ぃい痛い痛い痛い痛い!! やめろよ手ぇどけろ!! 頭割れるわっ!!」

「なんだお前作者のくせに自分のキャラの攻撃にも耐えられないのかぁ?」

「藤子先生がドラえもんに勝てるかって話だろ!!」

「そうかそうか、ふはははっ!」


 笑ってまたぐりぐり俺の頭をなでるというか引きずりまわす。

 そんな彼女の様子は、なんとなく、俺が知らないメア・ブラッドのそれという風に感じた。


「あー……ハハ、笑えるな」

「笑えねぇよめまいがしてきた」

「悪い悪い……。だが作者サマ、頭まで下げてもらって申し訳ないが、そんなこといちいち私に頼む必要ないだろ?」

「え……そうかな」

「私はお前の創ったキャラクターでしかない。私にとってお前は神サマだぞ、それが私に頭を下げて『続きを作らせてくださいー』なんて変だろ」


 そう言われれば、その通りだ。そもそも小説を書く書かないなんて自分が決定することだし他人にとやかく言われる筋合いはないわけで。

 今まで流していたが、そう思うと主人公をこっちの世界に送り込んでまで続きを催促してきた『コールド・ブラッド』のキャラ連中にちょっとムカついてきた。


「そうか……神か……。そ、そうだよな、俺は『コールド・ブラッド』の世界を自由にできる神みたいなもんだよな……」

「おう、そうだぞ! だから私たちの言うことなんか気にせず、お前の好きなようにやれって、……な?」


 メアは笑っていた。ドキリとするような純粋で穏やかな笑顔だ。

 この笑顔をラストシーンに描きたい。俺は強くそう思った。


「よし……書くぞ。俺は神だから、好きなように世界を創造できるんだ。俺の望んだ結末を文章にする権利があるんだ」


 俺はパソコンに向かい手元にキーボードを置いた。「」の中で点滅するカーソルが、次はどの文字を綴ればいいのかと俺に問うている。

 だけど俺は急かすカーソルを少しだけ待たせて、メアに振り返る。


「メア、頼みがあるんだ」

「あん?」

「言ってほしい言葉がある」


 俺は神だ。確かに創造神、あるいは想像神だ。でも、だからこそ絶対に忘れちゃいけないことがひとつだけある。


「俺の知らないところできみたちキャラクターは生きてる。俺が生み出した命が『コールド・ブラッド』の世界には無数に存在してる。……そうだろ?」

「そうだ。画面の向こうで物語の続きを待ってる連中がいっぱいいるんだ。名前すら与えられなくても、ただ自分があの世界で何の役割をするのか知りたがってる奴がいくらでもいる」


 俺はメアの声を全身で聞いていた。目を見開いて、鼻を膨らませて、口を開けて。とにかく体に刻み込んで忘れないように。


「頭の中だけの空想から世界を生み出して……命を、創った。だったら神は――作者は、その命に責任を持たなきゃいけない。作品を最後まで書き上げて世界を閉じる義務がある」

「……ああ」

「もしも作品を終わらせられなかったとしたら、作者はその物語のことを……時が止まった世界にいるすべてのキャラクターのことを忘れずに、魂に詫びて、十字架を背負って次の作品に進むしかない」


 そうじゃなければ創造者(クリエイター)としての自分が死ぬ。

 俺はもっと物語を書きたい。世界を創って、いずれは大好きな漫画を超えるものすごいお話を文字で表現したい。だからまだ死ねない。死なないために俺は書くんだ。


 メアのハッピーエンドを!



「言ってくれ、メア。俺に――きみの続きを書かせろ」


 書かなくてもいい、なんて二度と言わせない。

 きみたちだけにはもう絶対に言わせない。

 俺がきみたちをいつも忘れないのと引き換えに、きみたちは俺が無責任な神にならないよう、いつもデータの向こうで目を光らせておいてほしい。

 

 そして俺が書く手を止めてしまったときは、“こう”言うんだ。


 ……分かった。

 彼女はナイフを抜いて、ぎらりと閃く刃を俺の喉元に突きつける。





――「話の続きを書け、神サマ」

ご覧いただきありがとうございました。

自分ではよく書けたと思います。ただしネット小説は不慣れで読みにくいところがあるかもしれません。ご容赦ください。


感想はもらえるととっても嬉しいのでなんでもウェルカムです。1文字でもおk。


それではまた会いましょう。

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