90. バレた
87話から再度書き直しております。
色々と迷走しており、大変申し訳ございません。。。
「ここはミディアとは違い、モンスターはダンジョンの外には居ない筈だが、なぜソレらがここにおる?」
木下は鋭い目つきで雄太を見つめた。
「流石は勇者様ってトコか。バレないと思っていたんだけどな・・・」
「勇者であったワシが、人とモンスターの違いが分からぬとでも?これから行動を共にするんだ。詳しく話してもらおうかのぉ」
雄太はチラッと横目でスキルズをみて、フゥ〜っと鼻から息をだした。
「鬼人、腕寄越せ」
「はっ!」
鬼人は雄太に言われるままに、いきなり肘から下の自身の左腕を右の手刀によって切り離した。
ドサっ
「なっ!?」
雄太に言われるがままに躊躇なく自身の腕を切り落とした鬼人に対し、木下は自身の目を疑い、驚き、思わずソファーから腰を上げて立ち上がった。
「おまっ!?なんて事をー」
「ー良いから黙ってみてろよ」
鬼人は、まるで何事も無いように床に落ちた自身の腕を拾い上げて雄太へと手渡した。
「おいっ!?モンスターなのに腕から血が一滴も出てないぞ!?一体これはー」
木下は鬼人から手渡された腕の断面を見て血が一滴も垂れていない事に驚き、雄太へと説明を求める様に視線を動かした。
「ーコイツらは俺のスキルだ。俺のスキルによって、こうやって仮初のコアでモンスターとして発現している」
雄太の手の上にある鬼人の腕は、グニャグニャと形を変えていき、薄く透けている赤黒い膨張へと姿を変えていった。
「な、なんなんだオマエのスキルは!?スキルが人の様に意思や自我を持って行動できているだと!?ありえんぞ!?」
「・・・そんな事言われても仕方ねぇだろ?俺もよく分からんが、現にこうしてできてるんだし。悪いな鬼人。返すわ」
「はっ!問題ないです。主」
雄太は掌の上にあった膨張を鬼人へと渡し、鬼人が雄太から受け取った膨張を吸収すると、切断された左腕が先ほどまでと同じ様に衣服を纏った状態でニョキニョキと再生されて元通りになった。
「明らかに異常だろオマエのスキル・・・そんなスキル初めてみたぞ・・・しかも、召喚やテイムと違ってモンスターをスキルから生み出すとか、なんなんだオマエは一体・・・ルカは、一体オマエにどんなんスキルを与えたんだ・・・」
雄太は驚きのあまりに立ち上がってしまっている木下を下から眺める形で見ており、フゥ〜っと息を履いてソファーへと深く背をもたれさせた。
「まぁ、どうせこの組織にも入るんだし、言ってもいいか・・・おい、ジジイ。誰にも言うんじゃねぇぞ?俺と一緒にダンジョンに行くと言う奴が決まれば、そいつらにも一応、教える予定ではあるが、誰かれとホイホイ俺のスキルについて言うんじゃねぇぞ?それが約束できなければ、俺のスキルについてはここまでにするが」
木下はゴクリと音が鳴るほどの勢いで唾を飲み込んだ後にゆっくりとソファーへと腰掛けた。
「・・・あぁ。約束しよう。・・・それで、一体オマエはなんなんだ?オマエの身に何が起こっておるんだ?」
「俺のスキルは【擬装】って言うユニークスキルだ」
「【擬装】?今までミディアでも地球でも聞いた事がないスキル名だな・・・それで?」
「俺のスキルは、自身で倒したモンスターコアをこの指輪で吸収し、倒したモンスターの特徴の装備を発現させる。ってものだ」
雄太の言葉に、木下は先ほどコアを吸収した雄太の左手に嵌っている真っ白な指輪へと視線を移した。
「イヤイヤイヤ!それだとおかしいだろ!?オマエは今、スキルを発動させているのだろ?オマエの説明だと、スキルを発動させると装備が発現されるとー」
「ーあぁ。そうだな。それもスキルの1つだ。因みに、俺が指輪で吸収したモンスターのコアは ”スライム” だ」
「なっ!?スライムだと!?最弱のスライムにそんな巫山戯た力がある筈がない!」
雄太の口から発せられたスライムと言う言葉に対し、木下は最弱のモンスターであるスライムを瞬時に思い浮かべて驚愕した。
「まぁ、落ち着いて黙って聞いてろって」
「うぐっ・・・」
雄太は、自身が発する一言一言に対して酷く取り乱している木下へと、取り敢えず落ち着く様に促した。
「俺が吸収したのは、スライムグラトニーって言うレア種だ。俺が始めて入ったダンジョンは最弱と呼ばれているスライムダンジョンで、ダンジョンに入ってすぐにこのスキルが発現した。これは、アンタが言っていたお袋がかけていた封印が条件を満たした為に解除されたんだと思う。それで、ダンジョンに入った直ぐに偶々スライムグラトニーと遭遇し、倒してコアを吸収したら擬装にスライムグラトニー由来の装備が現れた。スライムグラトニーの装備には、同属捕食って言うスライムグラトニーの特徴があり、スライム種を倒す事に特化していて、スライム種ならどんなスライムでも捕食して、俺のスキルの糧にできた」
「その時点でかなりおかしすぎるだろ!?どんなスライムでもって!?スライムにはそんなに種類がおるのか!?しかも同属捕食ってなんだ!?」
「同属捕食ってのは、スライムグラトニーの同属、所謂スライムな。そのスライム種を捕食して捕食したスライムからスキルを奪い、スキルを俺のスキルで発現した装備に反映させるってものだった」
「なん だとっ!?」
「って事で、俺はスライムダンジョンへと潜って、新種のスライムを倒す毎にスキルが増えていき、勢いのままスライムダンジョン中のスライムを捕食してスキルを手に入れたらこうなった。ついでにダンジョン最奥に居たアンタが言うイカれたモンスター、スライムも捕食し、コアも手に入れた。以上!」
「い、以上じゃないだろ!?オマエのスキルは色々とおかしすぎるぞ!?と言う事はオマエは一体どれだけのスキルを保持しているんだ!?しかも、オマエのスキルは、ルカと翔吾のスキルを足して割った様なスキルではないか!?」
「んん?お袋達のスキル?さっきの話に出て来たお袋のスキルは、確か、【創造】って言うスキルだったよな?」
「あぁ。ルカのスキルは【創造】で、ルカが想像した色々な物を具現化するスキルだった。色々と制限はあったがのぉ。だから時間をかけて異世界へと繋がる門の鍵も作れたと言う訳だが・・・翔吾のスキルは【模倣】と言うもので、翔吾が対象と決めた相手のスキルを完璧に再現するスキルだった。人、モンスター関係なくな・・・それで、オマエのスキルは、翔吾の【模倣】でモンスターのスキルを再現し、ルカの【創造】で装備として発現させる。本当に二人のスキルを足して割った様な感じだわい。まるで・・・オマエはアイツらに今も守られているようだな・・・」
雄太は木下の話を聞きながら、自身の指に嵌っている指輪を眺めた。
「守られている・・・お袋と親父のスキルか・・・」
「そんな異常なスキル、ワシが誰かに言ったところで誰も絶対に信じないぞ。信じたところで、オマエの保持しているスキルの数やその保持している多くのスキルの能力が分からなさすぎて、なんの情報にもならんわ!しかも、スキルからモンスターを生み出すとか、オマエ、魔王以上だぞ!?しかも、まだ、スライム種だけって事は、他の種類のモンスターの能力をまだまだ取り込めるって事だろ?オマエのスキルは本当に異常だわい!あの親バカ供め!!己の息子を守るにも程があるわい!!」
「魔王以上は流石に言いすぎだろ?」
「言い過ぎではないぞ!実際にミディアで魔王と戦った事のあるワシが言うんだ。魔王でも他の場所から好きにモンスターを召喚できただけだったわい!それを、オマエはモンスターを好きに生み出せるんだぞ?しかも意思や自我を持ったモンスターをな。オマエ次第で人型ではないモノも発現できるのだろ?」
「・・・まぁ、できるんじゃねぇか?」
「そんな事ができりゃぁ、あのダンジョンの最奥にいるイカれたモンスターも倒す事ができる筈だわい・・・確かに、そんなオマエからしてみれば、誰もがオマエの足手まといにしかならんわな・・・勇者以上にチートとか、もう、いっその事、オマエが勇者を名乗れ!」
「絶対に嫌だっ!それはアンタが永遠に保持してろっ!」
「融通のきかんヤツめ!本当にルカに似おって」
木下は勇者を引き継げなかったのが悔しかったのか、口を尖らせながら勢い良くソファーへと背を預けた。
「それはそうと、ダンジョンに行くメンバーを決めんだろ?」
「あぁ。そうだな。今日はもう遅いから、明日の昼にでもここへ来てくれ。明日の昼迄にワシでメンバーを選出しておく」
「分かった」
「明日、迎えを寄越す。場所はそうだのぉ・・・」
「ハロワの近くにコンビニがあるから、そこでいいだろ?」
「そうだな。ハロワの前では如何せん目立つからのぉ。それと、電子機器は絶対に持ってくるんじゃないぞ。電子機器は全て自分の部屋にでも置いておけ。特に、ダイバーのIDが登録可能な物はGPSでヤツらに居場所がバレる。そんなの、絶対にここに持って来るんじゃないぞ。分かったな」
木下は、雄太へとダイバーのIDを利用できる電子機器についての厳重注意をした。
「分かった。ダイバーカードは大丈夫なのか?来る時も回収されなかったが?」
「カードは大丈夫だ。ギルドでカードを作らせたのは、ギルドに潜入させた組織の者達だからのぉ。ワシらの組織がダイバーとしてダンジョンに潜る為に、GPSが付いておらんカードを作らせたのだ。ワシらの組織には、ギルドを監視する為に潜入してる者が多く居てのぉ。日向もその一人だ。力のある者達は、ランカーにさせない様に、討伐したモンスター素材をダンジョンに置いてこさせ、敢えてランクに名を上げない様にしておるわい」
「そうなると、この組織の資金源はどうなってんだよ?ダンジョンに潜って金を稼げないとか、効率悪すぎだろ?」
「全ての素材を放棄している訳ではないから、最低限は大丈夫だ。それと、まぁ、色々と協力者がおるから、その内、顔合わせを兼ねて紹介するわい」
そんなこんなで、雄太は、母親が作り、元勇者がマスターを務める裏ギルドへと入る事になった。
過去の回想については
『見参!スライムハンター 〜追憶のレジスタンス〜』
と言う形で別投稿いたしました。
色々と迷走してしまい大変ご迷惑をおかけしましたが、
引き続き楽しくお読みいただければです!




