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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第2章 追憶のレジスタンス 編
83/290

83. VSフード 4

「な!? ギルド だと!?」


日向からの返答に、雄太は自身が知り得る様々な情報によって頭の中がグチャグチャになってしまい、目を見開いて硬直してしまった。


「あぁ、ギルドだ。今、私から話しても良いが、詳しくは我々の幹部と会った時に聞いてくれ」


「って言うか、なんで、俺がアンタ達の幹部と会う前提で話が進んでいるんだ?」


「君は知りたくないのか?君のご両親が我々と一緒に何をしていたのかを・・・それと、特殊なダンジョンコアと君のご両親の関係や、何故、我々がギルドと戦うのか、と言う事を」


「・・・・・・」


雄太は、日向の話を聞き、きっぱりと”興味がない”と言えずにいる自分がいる事に気づき、色々と深く考えて思考を続け、自然と無言になってしまった。


「君のその沈黙は肯定と取らせてもらう。では、明日の夜9時にスライムダンジョンのハロワへと来てくれ。迎えを寄越す」


日向は、雄太と幹部達が会う事について、淡々と話しを進めていった。


「・・・俺がアンタらと会った後に、この事をギルドに話すって事は考えてないのか?」


しかし、雄太は試すかの様に日向へと質問を投げかけた。


「君の行動からしてソレは無いだろう。どちらかと言えば、君はこちら側の人間だと私は思っている」


「・・・さぁ、どうだかな・・・それと、昨晩、スライムダンジョンのプレハブを襲ったのはアンタ達なのか?今日俺を襲った様に」


雄太は質問と共に、睨みつける様に日向を見た。


「アレは我々がやったのではない。十中八九ギルドの仕業だ」


「んん?どうなってんだ?何故、ギルドが同じギルドのダイバーを襲う?」


「私が思うに、特殊なダンジョンコアがある可能性がある、最後の下層が見つかったダンジョンに対して、他の者達への情報の隠蔽や、撹乱の為だろう。事実、先日、調査の為にスライムダンジョンへと入った我々は、本部からいつも以上の報告書を書かされたり、直接報告と言う名目の尋問じみた事を受けた。そして、2回目のダンジョン調査の際は、監視の為か、戦力の増強と言う理由で、ギルド子飼いのピュアを監視に付けられた。もし、あのまま最下層まで進んでいれば、我々は確実に消されていただろう。まぁ、あのダンジョンは、ピュアでも容易には攻略できそうにも無いがな」


日向は先日のダンジョン調査を思い出したのか、眉間にシワを寄せ、参ったと言った様な表情をしていた。


「と言う訳で、すまないが、この拘束を解いてくれないか?我々には、もう君達と戦う意思は無い。まぁ、もし戦ったとしても、すぐさま返り討ちに合うのが目に見えているがね」


日向はフっと鼻で笑った後に、雄太や雄太の後ろにいる鬼達へと視線を移動させた。


「まぁ、確かに。アンタらより、下層に居たスライムの方が全然凶暴だったしな」


日向は雄太の言葉にたじろいだ様にピクッと目を動かし、雄太は、日向と赤フードの男を赤腕の拘束から解放した。


「それで、他の倒れている奴らもアンタの仲間なのか?余りにも手応えが無さすぎたが、アイツらも、アンタと同じユーザーじゃないのか?」


雄太は白フードと黒フードの言動を思い出し、倒れているフード達を見た後に日向へと視線を向けた。


「いや、彼らと我々を一緒にしないでくれ。ここに居る我々の同士は、今、君から解放された彼だけだ。その他の奴らは、所謂、ダイバークズレの者達だ。金で雇っただけで、我々の組織とは何も関係がない」


「そうか。それならいい」


雄太は、日向の言葉に何かを納得した後に、再度、周りで意識を飛ばしながら倒れているフード達へと視線を向けた後、両腕に発現している赤腕をくっつけるかの様に左右の腕を近づけ、再度、黒いバックパックの姿へと変形させた。


「・・・君のソレはスキルなのか?」


赤腕からバックパックの姿へと形を変えた雄太の膨張を見た日向は、未知なるモノを見ている様な驚いた表情を作りながら雄太へと質問した。


「言う必要あるか?」


「ないな。すまない。失言だった。忘れてくれ」


日向からの質問を無視し、バックパックの姿へと変わった膨張を肩へとかけた雄太は、鬼達へと向けて顎をしゃくり、帰る様に促した。


「それでは、明日、夜9時にスライムダンジョンのあるハロワで君を待つ。もし、君が来なかったとしても、君のご両親を知る我々は、これ以上君へと干渉する事は無いだろう。まぁ、我々と敵対した場合は別だがな」


雄太は、日向の言葉を聞きながら背中を向けて歩き出し、ゆっくりと日向達の前から立ち去りながら後ろ手を上げた。


日向達を取るに足りない存在と感じたのか、鬼人とエルダを背負った大鬼は、日向達へと顔を向ける事なく、雄太の後を追う様に、ゆっくりと建設現場の入り口へと向かって歩を進めた。






「日向さん・・・彼は来ますかね?もし、来なかった場合は・・・」


日向が雄太を勧誘した事に対して心配そうな顔をしている安岡は、日向へと不安そうに質問した。


「あぁ。彼は、確実に来るー」


安岡からの質問に対し、日向は自信ありげに即答した。


「ー彼は、あの、瑠花さんと翔吾さんの子供だからな」


日向は、安岡にも聞こえないくらいの小声で、何かを思い出すかの様にボソっと呟いた。







不意の襲撃と新たな悩みの種を得た雄太は、このまま帰路へと着こうとしていたのだったが、もしかしたら日向達の他にも誰かに見られている可能性を考慮し、スキルズの発現を解いて収納から原チャを取り出して帰ると言う事を止めた。


どうやって帰ろうか?と悩みながら、とりあえず駅前へと向かって歩いていたのだが、色々と考えるのが面倒になった為、途中でタクシーを捕まえてそのまま帰った。


しかし、雄太は誰かに荒らされた部屋へと帰り、そこで夜を明かすのは心情的に気が進まなかった為、予定を変更して新しい部屋のマンションへと帰る事にした。


(もう考えるのは面倒臭ぇわ・・・襲われたら襲われたで、襲って来た事をその身をもって後悔させてやる)


物騒な事を考えている内に、新しい部屋があるマンションの前へと到着した雄太達は、そのまま近くにあったコンビニへと入り、大量の食料品と一緒に、エルダと約束したアイスを大量に買い占めて部屋へと帰った。


エルダを背負っている大鬼が、大量に弁当が入っている籠を持ってレジへと並ぶと、大鬼を見たアルバイトらしき女性の店員は、無意識の内に「ヒィっ!?」っと甲高い悲鳴をこぼした。


店員は、終始手をプルプルと震えさせ、絶対に大鬼へと視線を合わせようとせずに俯きながらレジ打ちをしており、金額を伝える時も声がかすれたり、盛大に裏返ったりしていた。


そんなプルプルと小動物の様に震えながらレジ打ちをしている店員の姿をジ〜っと見つめていた大鬼は、何故かションボリと悲しそうな顔をしており、それを後ろから見ていた鬼人は、目尻に薄っすらと涙を溜めながら、優しい顔で大鬼へと微笑みかけていた。


(何なの?この、友達の鬼をヨイショする昔話みたいなシチュエーションは・・・)




そんな茶番は置いておき・・・


状況は変わり、雄太の新しい部屋は、15階建のマンションの最上階の角に部屋があり、雄太は少しドキドキしながら鈴木から事前に貰っていた鍵で玄関のドアを開けると、中からは若干、暑く籠もった空気と共に、新築の様ななんとも言えない匂いが漂って来た。


「・・・スッゲーなここ・・・新築じゃねぇか・・・しかも、鈴木さんからもらった間取り図以上に広く感じるな・・・」


雄太は新しい部屋に満足し、部屋やトイレ、風呂等を色々と見て回ったが、考えるのが面倒になった為、今日は、とりあえずみんなで一緒にリビングで寝る事にした。


色々とあって、忘れていた夕食を取ろうとしたが、昼間にしこたまビュッフェで食事をした事もあり、雄太はあまりお腹が空いておらず、エルダも気を失ってままだったので、おにぎりを一つ食べただけで夕食を済ませ、水龍のベッドを発現させてそのままの格好で就寝した。


雄太は、就寝する前に、鬼達用と言う事で、弁当やお菓子、飲み物を適当に出しておいた。










ピピピピっ


ピピピピっ


ピピピピっ


ピピピピっ


ピピっ


雄太はデバイスで設定していたアラームの音で目を覚ました。


「ふぁ〜〜・・・・・・そう言えば、昨日は新しい部屋に泊ったんだったか・・・」


雄太は、目覚めの景色がいつもと違う事で、一瞬、ボーっとしてしまったが、昨日の事を思い出しながら現状の把握へと繋げた。


「・・・それで、なんでコイツはまたここで寝てるんだ?」


雄太が視線を向けたエルダは、昨日と同じ様に雄太の足元の水龍のベッドにしがみ付きながら寝ていた。


「主ぃ。昨日と同じです」


「だいぶ離れたところでそのまま寝かしていたのですが、昨日の様に、寝ながらゴロゴロとここまで動いて来ました」


大鬼と鬼人は、呆れたかの様にエルダを見ながら雄太へと答えた。


「一体なんなんだろうな、コイツって・・・」


雄太は呆れた顔をしながら、エルダの背中を足先で小突いた。


「オイ、起きろ。飯にするぞ」


涎を垂らしながら気持ち良さそうに寝ていたエルダは、雄太の“飯”と言う言葉に反応し、パチリと目を開けて覚醒し、瞬時に飛び起きた。


「ご飯!」


雄太は、何も無い板張りのフロアの上へと人数分の弁当を取り出し、朝食の準備をした。


「頂きます」


「「「頂きます!」」」


ガツガツガツガツガツガツガツガツガツガツ!


「「「おかわり!」」」


「一瞬かよ!?」


雄太は再度スキルズへの弁当を取り出して各自へと渡した。


朝食を取った雄太は、スキルズの発現を解除し、昨日と同じ様に膨張で作ったバックパックを担いでマンションから出て行き、人目につかないところで原チャを収納から取り出してそのまま原チャへと跨ってハロワへと向けて走らせた。

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― 新着の感想 ―
[一言] 味方につけようとする人間を襲うか、ふつう?
[良い点] 主人公の成長が早くテンポよく俺TUEEEEを楽しませてもらってます。 現代ダンジョンモノで話のテーマになったり特に設定を練らず風呂敷を畳まれないケースも多いダンジョンの出現した理由や設定に…
[一言] 「確実に交渉できる確信」があった主人公を襲う必要あったんでしょうか? 私が主人公ならそんな支離滅裂な組織と取引や交渉はしないですが・・・ 両親の死亡原因を知ってるという証拠なども一切出してな…
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