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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第1章 怒涛のダンジョン 編
62/290

62. 復活

新しく獲得したスキル、【エアロエンチャント】のおかげか、空中を浮遊するボードを操っている雄太のバランス感覚は飛躍的に良くなっており、バランスが安定した事で浮遊での移動速度が格段に上昇した。


概要には速度を上げるとあったが、バランス感覚や体幹も一緒に上がっており、流れる様に身体をコントロールする事で速度が上がっている様だった。


祠へと向かって前を向いている雄太の視界の横では、流れる様に目まぐるしく景色が背後へと流れ去って行き、格段に上昇した移動速度の効果を物語っていた。


移動中、雲に掠ったボードから1本の白い線が引かれ、雄太が通り過ぎて行く真っ青な青空は、まるで青いキャンバスへと白い線によって分断されているかの様に見えた。


雄太は突き抜ける様な青空と、移動によって発生している心地良い向かい風を受けながら、最近手に入れた原チャの事を思い出した。


(さっさとダンジョンを終わらせて、原チャでブラっと何処かにドライブ行きてぇな・・・)


そうこうしている内に、下へと続く階段がある祠へと到着した。




『スライムスーツノLVガ上ガリマシタ』



『スライムスーツノLVガ上ガリマシタ』



『スライムスーツノLVガ上ガリマシタ』



雄太が祠がある浮島へと降り立つと同時にレベルが上がった事を知らせるアナウンスが聞こえた。


「ボーナスエリアは順調そうだな。この調子でレベルが上がっていけば、今後、かなり楽ができそうだな」


雄太は祠に背を持たれたながら収納からタバコを取り出して吸い始めた。


(さて、エルダをどうするべきか・・・偽核のスキルアシストも確認しなければならないしな・・・忠実とか優秀って言っていたけど、やっぱり確認しておかないとマズいよなぁ〜)


「はぁ〜」


雄太は深いため息と共に立ち上がり、タバコの吸い殻を収納へと仕舞って空を見上げた。


「ふぅ〜・・・考えていてもしょうがない」


雄太は背中から膨張を出現させて眼前へと移動させた。


「エルダ、発現」


雄太の眼前にある膨張はグニョグニョと蠢き出して人型を造っていき、造形変形によって色白で胸元まで伸びている銀髪を靡かせ、身体の線が細い幼さが残る女性の姿へと変形した。


雄太の眼前へと姿を現したエルダは、両目を瞑った状態で両手を下へと向けて広げて地面へ降り立った。


「・・・クソっ・・・マジで発現できやがった・・・」


雄太は目を瞑っているエルダの顔を見た瞬間、悪態をつきながら収納からタバコを取り出して吸い始めた。


「・・・わたし・・・身体・・・」


エルダはゆっくりと目を開き、自身の両手を眺めた。


「・・・ユータ」


そして、ゆっくりと雄太へとスライムの様な透き通った青い眼を向けた。


その眼には嬉しさや喜びー


ーそして欲望や怒りが混ざっていた。


「た・・・食べ物を・・・食べ物をよこせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


雄太を見つけたエルダは、表情を般若の如く激変させ、まるで獣の様に爪を立てながら雄太へと襲いかかり、身体の細い色白の女性が手足を広げて男性へと襲いかかる姿は、まるでどこぞのゾンビ映画の様な荒々しさを伴っていた。


「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ〜!!」


雄太へと襲いかかって来たエルダは、狂気を含んだ目つきをしながら雄太の右腕へとガジガジと齧りつき、雄太は恐怖のあまりに思わず悲鳴を上げてしまった。


「食べ物ぉぉぉ!食べ物をよこせぇぇぇぇぇぇぇ!!ガジガジガジガジ」


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ゾンビだぁぁぁぁぁ!!ゾンビがでたぁぁぁぁぁぁぁ!!俺を食うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!クソっ!そんなに俺を食いたいなら、コレでも食らってろぉぉぉ!!」





ドガっ!





雄太は恐怖の余り、自身の腕へと執拗に齧りついてくるエルダへと思いっきり前蹴りをおみまいした。


雄太に蹴られたエルダの身体は、スーツのレベルが上がっている雄太の蹴りによって軽々と浮島の外へと蹴り飛ばされてしまった。




「「あっ・・・」」





「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・」






そして、エルダはドップラー効果を残しながら浮島の下へと落ちて行った。


「・・・ふぅ〜・・・危うく喰われるとこだったわ・・・」


雄太は収納から水を取り出して恐怖でカラカラになった喉を潤した。


喉を潤した雄太は収納へと空のペットボトルを仕舞い、ゆっくりとエルダの発現を解除した。


「そんじゃ、もう一回、エルダ発現」


雄太の眼前へと再度発現されたエルダは恐怖で顔を痙攣らせた表情をしており、手足を広げ、まるで下へと落ちている時と同じ様な仰向けの格好で発現された。



ドサっ!



「・・・ヒデーなコレ・・・」


雄太は発現されたエルダをゴミを見る様な目で見下ろしていた。


「オイ。もう襲って来るなよ。襲ってきたらまた落とすからな」


雄太の言葉に対し、エルダはまるで油が切れたロボットの様にギギギギと首を捻って雄太へと顔を向けた。


「ヒィっ!?」


「た、食べ物を・・・どうか・・・食べ物をください・・・」


急に口を開いたエルダは、心底食へと執着しているかの様に死んだ魚の様な目をしながら大量の涙を流しており、身体を引きずって地をズルズルと這いながら雄太へと食べ物を嘆願してきた。


「・・・オマエって別に物食わなくても死なないだろ・・・って言うか俺のスキルなんだし・・・・・・チッ。ほれ、コレでも食ってろ」


雄太は収納からうま○棒コーンポタージュ味のお得用パッケージを取り出してエルダへと与えた。


袋を受け取ったエルダは、まるで神から聖なる杯を受け取ったかの様な幸福に満ちた表情で雄太の手から袋をそっと受け取った。


と同時に、どこぞの山賊の様に目を血走らせながら勢いよくバリバリと袋を開封しだした。


「ありがとうごぜぇーます!ありがとうごぜぇーます!ゲヘヘヘヘヘヘヘヘヘ!待ちに待った食べ物じゃぁぁぁぁぁ!!」


袋を開封したエルダは、細長い棒のお菓子を一心不乱に自身の口へと何本も詰めだした。


「ふがふがふがふが!もごもごもごもご!」


「いや。何言ってるか分かんねぇし・・・」


狂った様に涎を垂らしながら口一杯に棒状のお菓子を味わっているエルダの姿は、童で貞の青少年にはとても刺激が強すぎて決して見せてはいけない様な絵面となっていた。


「あぁぁぁっ!何よこの棒ぅっ!なんなのこの濃厚な味っ!?しかもこんなに沢山っ!うふぅぅぅっ!こんなの初めてぇぇぇぇっ!ハァハァハァハァ・・・んんんっ!?わたし、もう、トロトロになっちゃいそぉぉぉぉぉぉ!!スライムだけにぃぃぃ〜!!アハンっ!」


「・・・・・・さてと・・・コレでやっと検証に入れるな」


地面でうま○棒まみれになって大人しく?なったエルダを尻目に雄太はエルダが言う偽核を使った優秀なアシスタントを確かめる事にした。


「多分、アイツが出て来てるって事は、もう既に偽核に置き換わっているって事だよな?取り敢えずいつもみたいに声かけてみるか?」


雄太はいつもの様に思考を自身の内側へと向けて自身の中に居るであろう何かへと声をかけた。


『聞こえるか?』


『イエス。マスター』


「うおっ!?」


雄太が自身の内側へと声をかけると、機械的ではあるが、エルダが落ち着いた感じの様な声で返答が返って来た。


『オマエがエルダが言っていた偽核のアシスタントなのか?』


『イエス。僭越ながら私がマスターのアシスタントとしてお手伝いさせて頂きます』


『そんじゃ、取り敢えず、餓鬼を一体発現させてくれ』


『ロジャー』


すると、雄太の前へと背中に羽をつけている紫色の体表の餓鬼が姿を発現させた。


『おぉ〜!?』


雄太の眼前へと現れた餓鬼は、雄太が頭の中で思い描いていた餓鬼であり、偽核のアシスタントには全く情報を知らせていなかったのだが、アシスタントは雄太の思考を読みとったらしく、雄太が必要とした餓鬼を発現させた。


『何故この状態の餓鬼を発現させたんだ?』


『イエス。マスターのイメージを読み取りました』


『やっぱりか。そんじゃ、こう言うのはできるか?』


そう言うと雄太は虚空へと向けて徐に右の掌を広げながら腕を伸ばした。


雄太が掌を広げた先へは、まるで岩の様にゴツゴツとした刃の部分が紫に染まっている一振りの刀が現れた。


雄太は現れた刀を掴み、2、3振った後に左手を広げながら右手にあった刀を横へとポイっと捨てると、今度は雄太の左手の中へと炎に包まれた短刀が逆手の状態で現れた。


「・・・完璧じゃねぇか・・・」


雄太は今の自分のスキルでできる事を想像しながら膨張を発現させていたのだが、偽核のアシスタントは雄太の思考とイメージを完璧に読み取って即座に反映し発現させていた。


そうこうしている内に、雄太の背後には空中に浮いた直径30cm程の正20面体の立体となっている槍棘が4つ発現しており、雄太の合図と共に立体がバラけ、まるで節足動物の足の様に尖った棘を前へと突き出した。


「これも俺のイメージのまんまだな!アシスタント、マジでスッゲーな!?」


偽核のアシスタントは、雄太のイメージの細かい部分までもを再現して発現させており、雄太は目をキラキラとさせながら歓喜した。


「それじゃぁ〜〜。最後は、コレ!」


雄太が言葉を発すると、8つのカイト型の土龍の盾が空中へと発現され、雄太の周りをグルグルと周りだし、雄太の眼前で2列になって並んだり、米の形に並んだりと雄太で自由自在に動かせた。


「コレも思った通りにいけるな!」


雄太はスキルのコントロールについて、エルダから偽核のアシスタントへと変わった瞬間にこうも簡単に自分のイメージ通りにスキルを発現できる様になったのかを確認した。


『なぁ、なんでここまで俺の思い通りに膨張を発現できるんだ?』


『イエス。これは、全ての膨張へと偽核作成を付与しており、偽核を持った膨張は、私を媒介とした並列思考によってマスターのイメージを共有している為です』


『こりゃぁ、本当にあのバカより優秀だわ・・・』


雄太は横で狂った様に棒を食い漁っているエルダを見て、心底、偽核の有能さを感じていた。


「ンフぅぅぅっ!この棒っ、最高ぉぉぉぉぉぉぉ!!」


「・・・・・・」


雄太は横で淫らに棒を食い漁っているエルダを無視してタバコを吸いながらおばちゃんへと4層の報告を送った。

誤字報告頂きました!

ありがとうございます!


いつもいつもとても助かっております!!

ありがとうございます!


投稿日は基本、月〜土ですので、

引き続きお楽しみいただければです!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] マスターのアシスタントをお手伝い 主人の助手をお手伝い、ある意味正しいのかもしれませんがマスターのアシスタントを致しますとかで良いのでは?
[一言] マジで「食玩(オマケが本体)」状態だな
[気になる点] 淫らに...スライムだから見た目とは違って食べられる場所は口とは限らないということか... 実際の見た目は人の形をある程度とった上であらゆる箇所から食べているとすると中々ヤバイな。
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