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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第1章 怒涛のダンジョン 編
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49. ピュアVSアーススライム 1

ー時は少し遡りー


雄太が3層のマッピングをし、鬼人と大鬼がストーンゴーレムを容赦無くボッコボコにしている時。


地上では三人のピュアと日向、数名のユーザーがハロワへと訪れていた。


ハロワの駐車場には、大型バスが4台停まっており、3台はピュアがそれぞれ一人ずつ、残りの1台は日向を筆頭としたユーザーのパーティーが乗っていた。


ハロワへと到着してバスを降りた日向達は、ハロワ館内へと向かわずに、そのままダンジョンへと向けて歩を進める。


厳重に警備されているダンジョンの前には、既に数棟のプレハブ小屋が設置されており、そこは、まるで司令室の様な、医療棟の様な佇まいを見せていた。


日向達ユーザーは、司令室の横にある会議室の様な建物の中へと入り、三人のピュアがバスから降りてくるのを待った。


日向達がパイプ椅子へと腰をかけながらピリピリとした雰囲気で待つ事数十分、建物の中へと、栗色のおしゃれパーマの髪型が印象的な20代前半の爽やかで整った顔をした若い男性が姿を現した。



「すいませ〜ん! お待たせしましたぁ! ってあれ? 他の人達は?」



男性は室内を見渡し、ピリピリとしている日向達をまるで気にしていないかの様に軽い感じで誰となしに声を上げる。



「やっと準備が整ったかい? 湯屋君」



日向は、ユーザー達を代表する様に湯屋と言う青年へと向けて返答する。



「準備はとっくに終わってたんですけど、ちょっと、最近気になっている女の子から電話がかかってきちゃって。 てへ」



遅れて来た湯屋は、全く悪びれた素振りもなく堂々と女性と電話をしていたと言い切った。


その返答に対し、待たされていたユーザー達は鋭い目つきをしたり、冷めた様な表情を作って湯屋へと視線を向けていた。



「湯屋君、今日は重大な調査なんだ。 少し気を引き締めてくれないと、指揮を取る私としても色々と上へと報告せざるをえなくなるんだよ。 分かってくれるかな?」


「うす! 分かったであります! 日向隊長!」



湯屋は日向の指摘に対して巫山戯る様に敬礼をしながら調子良く答える。



「ふぅ〜。  湯屋君。 頼むから私から変な報告を上層部へとさせないでくれよ・・・」



日向は、机へと右肘を着いてこめかみを抑えながら、心労からか自然と溜息を溢した。


室内に入って来た湯屋は、何故か空いている席へは腰掛けず、わざわざ椅子を移動させて迄も室内にいた女性ユーザーの横へと位置をとった。



「キミ可愛いね! この後一緒にご飯食べに行かない? 美味しいイタリアンのお店があってさぁ──」



日向が湯屋の言動に頭を痛めていると、再度部屋のドアがノックの音と共に開いた。



「すいませ〜ん! 遅れました〜!」



次に室内へと入って来たのは、活発そうでボーイッシュな女性とも女の子とも取れる細身で赤毛のポニーテールの子と、背中まである長い黒髪を額で真っ直ぐに切り揃え、抑揚の無い表情をした身長が低い日本人形の様な女の子だった。



「集合時間はとっくに過ぎているが何か言う事はあるか?」


「綾香ちゃんにゲーム誘われた」



日向の質問に対し、身長の低い女の子が赤毛の子を指差して即答した。



「ちょ!? ちょっと結衣ちゃん!?」



赤髪の子は黒髪の女の子によるいきなりの裏切りに対して慌て始める。



「あたしが時間だからって呼びに行ったら、ゲームしようって誘って来たのは結衣ちゃんでしょ!? なにしれっとあたしを生贄にしてるのよ!」


「・・・ダメ??」



黒髪の女の子はコテっと軽く横に首を傾げながら赤髪の女の子を見つめた。



「ダメとかそう言うんじゃなくて! 可愛い仕草しても騙されないんだからね!」


「あ〜。 もう良い・・・  笹川と安田も席に着いてくれ・・・  さっさとブリーフィングを始めるぞ」



日向は、自由すぎる3人のピュアの言動に呆れて首を左右へと振りながら、重い腰を上げる様にホワイトボードの前へと立った。



「各自、レポートを読んだと思うが、今迄1層のみと思われていた最弱のスライムダンジョンに下層へと続く階段が現れた。 それはダンジョンの最奥の広い部屋にあり、今迄見た事も無い新種の大型スライム、アーススライムが下層へと続く階段を守っている」



日向の発した言葉に対し、5人のユーザー達は恐怖を含んだ悔しそうな顔をしながら眼をギラつかせる。



「湯屋君、笹川君、安田君以外の私を含めたメンバー達は、先日一度交戦し、なす術なく撤退して来た。 それで、今回は君達3人のピュアによる戦力増強によるアーススライムの討伐、並びに2層めの確認、そして、アーススライム討伐のルーティン化の模索が今回の任務のゴールとなる」



日向はホワイトボードに並行した2本の線を描き、上の1本めには丸で囲まれた巨大スライムと言う文字が、1本めと2本めの間には階段が描かれ、2本めの線の下にはクエスチョンマークが描かれた。



「本部からも通達があったと思うが、本作戦の期間は3日間とし、この間にアーススライムの討伐ルーティン化を確定させ、2層め進行への足掛かりを作る。 ここ迄で質問は?」



日向が室内に居るメンバー全員へと視線を移動させながら質問の有無を確認していると、湯屋が真っ直ぐに手を上げる。



「すみませーん。 僕ら3日間も拘束されるんですか? 途中で抜けたりとか自由時間ってあります? 僕、デートの約束とかあるんですけど」



湯屋の質問に対し、ユーザー達はこの空気の中でよくそんな巫山戯た質問ができるなと言った、信じられないものを見る様な目線を湯屋へと向け睨みつける。



「ふぅ〜。 君達ピュアへの今回の依頼は、アーススライムの討伐と討伐ルーティン化の確立だけであり、アーススライムを倒した後のリポップする迄の6時間の間は君達の好きにしても良いと私にも上からも命令がきている」



ピリピリとしたメンバー達を抑える為なのか、日向が今回3人のピュアへと出された依頼について説明する。



「おぉ!? マジで!」


「だが、アーススライムがリポップする1時間前である5時間後には必ず此処へと集合し、討伐ルーティン化の検証をする事がギルド本部から君達に出ている依頼の為、時間は必ず厳守する事。 その君達への依頼を確認する事が今回の私の仕事になるから私に嫌な報告を上にさせないでくれ」


「うへぇ〜。 自由時間があるって言っても、3日間で12回も同じヤツを倒すのかよ・・・」



湯屋は心底面倒臭そうな顔をしながら右手を自身の額へとペチっと当てた。



「そう腐るな。 自由時間がある分、我々よりましだろう?」



日向は湯屋が呟いたアーススライムを『12回も倒す』と言う、倒す気満々の言葉に対し、数日前の何も知らなかった自分を思い起こして少しクスっと笑ってしまった。



「現状、我々の経験からの情報なのだが、標的は炎系の攻撃に弱い、または耐性がないと見ている。 先ずは遠距離からの炎属性による攻撃で様子を見、その後、各属性による攻撃に対する検証もする。 また、標的は階段を守る様に最奥の広場から出る事はないらしいが、私と安岡は対象が攻撃範囲を広げて来る事を身をもって体験しているから、各自、対象の攻撃範囲に惑わされる事がない様に気をつけてくれ。 今回はコレも含めて調査の対象となるから、各自しっかりと対象の行動には気を張っておく様に」



日向は自身の左斜めに座っている安岡と視線を合わせると、安岡は、日向の目を力強く見つめ返してコクっと軽く頷く。



「それでは、現在、13時45分、15分後の14時にダンジョンへと突入する。 今回は先行者がいない為スライムを殲滅しながら進む事になるから、各自、装備の準備や点検はしっかりとしておく様に。 では、解散!」



日向が解散を告げると、5人のユーザー達はそそくさと装備の準備や点検の為にバスへと戻り、赤髪の笹川は横で船を漕いでいる安田の身体を揺すって起こしており、湯屋はスマホで何処かへと電話しながら外へと出ていった。



「結衣ちゃん! 起きて! ブリーフィング終わったよ! 後15分でダンジョンに行くんだってよ! 早く準備しなきゃ!」


「グウ・・・」


「やっほ〜。 ごめんね待たせちゃって〜。 うん。 そうなんだよ〜。 そんでね──・・・」



この自由すぎる3人のピュアを見ていた日向は、ホワイトボードに書いてあるアーススライムと言う文字を見ながら「ふぅ〜」っと盛大なため息を吐き、何かを思う様に深く目を閉じる。






ー15分後ー


ダンジョンのゲート前には日向を含めた六人のユーザー、湯屋、笹川、安田と言った3人のピュアが装備に身を包んで集まっていた。



「各自、装備に抜かりはないな? では、これからアーススライムの討伐並びに討伐ルーティン化の検証の為ダンジョンへと潜る。 各自進行を阻むスライムを殲滅しながら進むから気を抜くんじゃないぞ!」



”はい!”



「では、  これより調査を開始する!」



日向達ユーザーは再度アーススライムと対峙する為なのか、先日の体験を思い出したからなのか、険しい表情をしながらダンジョンゲートを潜るが、彼らとは正反対に、湯屋達3人のピュアは、まるで遠足にでも行くかの様に軽い足取りでダンジョンゲートを潜り抜けた。



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