48. 爆炎と爆散
空気を読まずに平然とフラグを立てたエルダに対し雄太はかなり焦る。
『オマっ!? この状況でなんて事言いやがんだ!? 空気読め馬鹿ぁぁぁ!!』
しかし時既に遅く、雄太のディスプレイにはスライムを表すアイコンがハッキリと祠の前へとマークされていた。
「クソっ!!」
雄太は悪態を吐きながら急いでエルダとのやり取りを中断し、背中へと赤腕の6対の羽を発現させてアイコンが指し示す場所を警戒する。
そして、雄太が恐る恐るアイコンが指し示す場所へと近付いて行くと、そこには野球ボール程の今にも消えそうな火の玉の様なものが祠の影に隠れており、雄太が近づいた事でモゾモゾと蠢いてどこかへ逃げようとしていた。
「・・・・・・」
それを見た雄太は、真顔で少しも表情を変えずに速攻で赤腕を伸ばしてプチっと吸収した。
『スライムスーツニ新タナ能力ガ追加サレマシタ』
『スライムスーツノLVガ上ガリマシタ』
どうやら、盛大に自爆した小さな太陽は、小さくはなったが死なずに生きていたらしく、祠の影に身を隠して雄太が去るのを待っていた様だった。
『オイ・・・ どうやら仕留めたらしいぞ・・・』
『・・・そう、 らしいわね・・・』
小さな太陽を仕留めた事で雄太はエルダへと声をかけたのだが、あまりにも最後があっさりしすぎていた為、雄太とエルダの間へと微妙な空気が流れた。
「・・・と、とりあえず、スキルを確認しておくか・・・」
─────
橘花 雄太 (25)
ユニークスキル:
【擬装】 (アクティブ)
-【収納】 (アクティブ)
-【超越】 (パッシブ)
-【並列思考】 (パッシブ)
-【スライムスーツ】 (アクティブ) LV 14
<スライムグラトニーベース>
・身体強化 (パッシブ)
・同属察知 (パッシブ)
・同属捕食 (パッシブ)
・スライムナイト:硬化変形 (パッシブ) 衝撃吸収 (パッシブ)
・スライムソルジャー:斬撃変形 (パッシブ)
・スライムメイジ:膨張変形 (アクティブ)
・スライムスナイプ:狙撃変形 (アクティブ)
・スライムジェネラル:統率変形 (パッシブ)
・アーススライム:アースエンチャント (パッシブ) 土属性耐性 (パッシブ) 質量追加 (アクティブ) 無機物捕食 (アクティブ)
・エルダースライム:意思疎通 (パッシブ) 造形変形 (アクティブ)
・アシッドスライム : 溶解 (アクティブ) 溶解耐性 (パッシブ)
・ポイズンスライム : 毒爪 (アクティブ) 毒耐性 (パッシブ)
・ウォータースライム : ウォーターエンチャント (パッシブ) 水属性耐性 (パッシブ) 槍棘 (アクティブ) 分離 (アクティブ)
・ファイアスライム : 燃焼耐性 (パッシブ)
・ラヴァスライム : 熱耐性 (パッシブ)
・ストーンスライム : 石化耐性 (パッシブ)
・フレアスライム : NEW
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スキルを確認すると、どうやら本当に仕留められていたらしく、雄太はスキルをタップして概要をポップアップさせた。
─────
【フレアスライム】
・フレアエンチャント (パッシブ)
攻撃力を高める
・火属性耐性 (パッシブ)
・爆炎 (アクティブ)
膨張や指定したスーツの一部分を任意で爆発させる
・爆散 (アクティブ)
爆炎を発現させている膨張を圧縮し大爆発を起こす
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「・・・小さくなってはいたが、本当にあいつだったんだな・・・」
雄太は最後に軽くプチッとされたフレアスライムの姿を思い出し、何故か少し微妙な気持ちになってしまった。
「・・・とりあえず、いつものスキル検証といくか。 先ずは【爆炎】!」
雄太は発現させていた赤腕へと爆炎を付与させる。
爆炎を付与された赤腕は見た目もなにも変わらなかったのだが、小さな太陽がやっていた事を思い出して爆炎が付与された赤腕で地面を殴って見ると、「ドンっ!」っと爆発音を鳴らしながら地面へと小さなクレーターを作った。
「すげーなこれ!? って言うか、これって膨張じゃなくても付与できるのかよ!?」
と言う事で、雄太は膨張を解除して真っ黒なスライムスーツの姿へとなり、自身の拳へと爆炎を付与して地面を軽く殴った。
ドンっ!
雄太が地面を軽く殴ると、爆炎を付与した膨張で地面を殴った時と同じ様に、爆発と共に地面へと小さなクレーターを作った。
「スッゲぇぇぇぇぇぇ!? 膨張無しで地面を破壊できたぞ!? しかも俺に衝撃が全く来ねぇぞ!? これは地上で膨張を見せたくない時に使えそうだな! って言うか、スーツの一部分って事はこれもイケんじゃね?」
雄太は徐に腰に刺している今まで使った事がない短刀へと手を伸ばして鞘から抜き出す。
「これもスーツの一部分だよな? 【爆炎】? これでできたのか?」
そう言って雄太は真っ黒な短刀へと爆炎を付与し、ダメ元で地面へと短刀を両手で突き刺した。
ドンっ!
「うお!? できたよ!?」
短刀は雄太が地面へと刃先を刺した瞬間に地面を勢いよく破裂させた。
雄太は、地面へと突き刺して周りを破裂させた短刀を地面から引き抜き、気になって短刀の刃先を見てみると、真っ黒な短刀は破損も曲がりもなく、鞘から抜いた時と同じ形を保ったままだった。
「・・・マジかよ・・・ あんだけ地面を爆ぜさせたくせに傷一つないとかヤバすぎだろこの短刀・・・」
傷一つない短刀を驚きながらマジマジと見ていると、雄太はふと、ある事を思い出した。
「そういえば、スーツのレベルが上がれば上がる程切れ味が増すとかって概要に書いてあった様な・・・」
短刀のスキル概要を思い出した雄太が短刀を手の中でグルグルと回しながら眺めていると、不意に手を滑らせて短刀を落としてしまった。
雄太の掌から溢れて地面へと向かって落ちていく短刀は、刃の重心が重い為か刃先を向けて地面へと落ちた。
スっ
「!?」
刃先から落ちた短刀は、地面へと当たって転がる事はなく、音も立てずに刃先から刃の根本までを凝縮された溶岩でできた硬い地面へと刃を滑りこませる様に突き立てた。
「ヤバイだろコレ・・・ マジでヤバイだろこの短刀の切れ味・・・ 音もなくガッチガチな溶岩に突き刺さったぞ・・・」
雄太は地面に刺さっている短刀を抜こうと引っ張り上げたのだが、うまく真っ直ぐ引き抜く事ができず、刃の部分が地面を切り裂きながら斜めに抜けてしまった事に再度驚く。
「・・・マジで切れすぎだろ・・・ 今まで膨張を使っていたから全く存在を忘れていたが、実は膨張よりヤバイんじゃねぇのかコレ・・・」
新たなスーツの可能性を見た雄太は、黒い短刀を鞘へと収め、次のスキルの検証へと移った。
「最後は爆散だな・・・ コレってアレだよな・・・ 自爆スキル・・・」
雄太は小さな太陽が最後に大爆発した事を思い出し、少し怖くなり、どう検証しようか悩む。
「・・・とりあえず、スライム弾に付与して遠くに飛ばしてから爆発させるか・・・」
雄太は右腕へと筒状の膨張を発現させ、スライム弾へと爆散を付与した。
「そんじゃ、発射!」
パスっ!
雄太より射出されたスライム弾は、気の抜けた音を出しながら3層の上空へと向けて飛んでいき、雄太は距離の頃合いを見てスキルを発動させた。
「【爆散】!」
ドッゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
「・・・・・・」
雄太によって起爆されたスライム弾は、3層の上空で盛大に爆発し、爆発地点を中心に輪状の爆煙を発生させ、衝撃波を撒き散らしながら3層中を盛大に揺らした。
雄太は上空で盛大に爆発したスライム弾を見て、目を見開き口をあんぐりと開けて驚愕する。
「な、なんなんだよコノ威力は!? あんな小さなスライム弾がどんだけ弾けたんだよ!? マジでありえねぇだろ!?」
最初は驚愕を貼り付けていた顔をしていた雄太ではあったが、だんだんと口角が吊り上っていき、無意識に悪そうな笑みを浮かべていた。
「ヤバイ事思いついたぞ」
雄太はスライム弾へと爆炎と爆散を付与し、今居る火山の中腹から見下ろしている3層の溶岩地帯へと向かって発射した。
ドンっっ──
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!
スライム弾は溶岩の地面へと着弾すると、初めに爆炎によって地面を破裂させ、続いて爆散によって2撃めの大爆発を引き起こし、小さめのきのこ雲と一緒に溶岩の地面へと直径100m程の深いクレーターを作り出した。
爆散によって地面が爆ぜた勢いで、中心地の周りはソニックブームの様な輪になった衝撃波が広がり、雄太の眼下は凄い事になってしまっていた。
「ふふっ・・・ ふふふふふふふふふ・・・ マジでヤバイなコレ・・・ スライムを吸収するって言う目的がなければ、これでなんでも瞬殺できるんじゃねぇか?」
雄太は手に入れた新たなスキルに大満足し、満面の笑顔を作りながら今日の寝床について考える事にした。
だる飯あんはここに宣言します!!
もう、ブクマも評価もどうでも良いので自分勝手に作品を書かせていただきます!
作品を気に入った人だけ好きな様に評価なりなんなりしてくださいwwww
これからだる飯あん色にぶっ壊れていくので
引き続き楽しんでいただければです!!




