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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第1章 怒涛のダンジョン 編
39/290

39. エルダ死す (多分)

スライムスーツへと能力が追加され、スキルが上がったという声を聞いた雄太は、残心するかの様に水の塊が居た箇所へと現れた階段を見つめながら発現させていた膨張を解除した。



「ふぅ〜。 今回はかなりしんどかったな・・・  2層のガーディアンは何て言うか、デカさと言いヤバさと言い、急にハードルが上がった感じがしたわ・・・  階段もあったし、次は明日のリポップを倒せばこの階層は終了か」



雄太は疲れた様な顔をしながら収納から水を取り出して飲み始め、水を飲み終えた後にタバコを取り出して吸いながらエルダへと声をかけた。



「エルダ。 お疲れ。 よく頑張ったな」


『・・・・・・』



雄太はエルダへと声をかけるも、何故かエルダからの返事がない。



『おい? 生きてるか?・・・ お〜い。 もしも〜し?  ・・・・・・やっと死んでくれたか?』



いつもは煩いエルダが静かな事に怪訝に思った雄太は、今度は頭の中へと直接声をかける。



『ユ・・・  タ・・・』



雄太の頭の中で聞こえたエルダの声は酷く擦れており、いつもの様なバカ丸出しな覇気が全く感じられなかった。



『どうした? 何があったんだ? 大丈夫か?』


『・・・ここから・・・  ここから出られなくなっちゃった・・・』


『ハァあ?』



雄太はエルダの言っている言葉の意味が分からず、胡散臭そうに思いながら思わず驚きの声を上げてしまう。



『何言ってんだオマエ? どうせ、戦いたくないとか動きたくないって理由で、これを機にとか何とか思ってウソついてんだろ?』


『嘘じゃないわよぉぉ!! こんなので嘘ついてどうすんのよぉぉ!? こんなんじゃ・・・  こんなのじゃわたし・・・  美味しいもの食べられないじゃないのよぉぉぉぉぉぉぉ!!  ユータが食べているのを見てるだけとか、そんなの生殺しよぉ!!  こうなったら、もういっそ殺して! わたしを殺してぇぇぇぇぇぇぇぇ!! 私のご飯がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! やっと見つけた幸せがぁぁぁぁぁぁぁ!!』


『・・・なんて声をかければ良いか知らんが・・・  一体、何がどうなってそうなった・・・』



雄太は取り敢えずエルダがこうなった訳を聞いた。


エルダが言うには、雄太が一気に発現させた100体の暴れる赤腕のコントロールを無理矢理制御したところ、エルダの意識?精神?が仮の肉体を得られる発現寄りではなく、スキルとしての存在である内側寄りへと移行してしまったらしい。




へ〜


そうなんだぁ〜




そんな、俺には全く意味が分からない何処ぞの世界の中で、エルダが、意識?精神?を無理矢理にでも発現寄りへと寄せようとすると、スキル側に雁字搦めにされ、逆にエルダの意識?精神?を奪われそうになったとの事だ。




チッ・・・




まぁ、俺としてはどっちでも良く、いや、どっちかと言うと今の方が楽になりそうだが、もし、仮に俺がエルダを無理矢理発現させようものなら、俺のスキルに何かしらの影響や支障が出そうだった為、無理矢理エルダを発現させるのはやめた。




もう、一生封印でいいな




そうなったらそうなったで頭の中で騒がれるのは勘弁して欲しいから控えろと言うと、エルダは意識?精神?を半分程スキル側に持って行かれているらしく、雄太が意識的に意識?や精神?があるエルダへと声をかけない限りは今までの様に軽い感じでお喋りができなくなり、しかも、俺がスキルを使っている間に声をかけられたら、まるで意思の無いシステマチックな考えになってしまい、会話には感情が消えてしまうとの事らしい。




最高じゃねぇか!?




グッ!


この事を聞いた俺は、無意識で拳を握ってガッツポーズをしていた。


しかし、エルダの話しには続きがあり、雄太がスーツのレベルを上げていけば、スキルのコントロールが容易になる為、エルダがスキル側から解放され、再度発現する事が可能になるらしい。




いや、ずっとこのままでお願いします




と言う訳で・・・


『俺、ダイバー辞めて、このまま地上に帰って別の仕事に就いていいかな? パン屋さんになるのが小さい頃からの夢だったんだよなぁ』


『え!? ちょっ!? フザけ!? え!?・・・  ──や、 やめてぇぇぇぇ! それだけは本当にやめてぇぇぇぇ!! お願いだからやめてあげてぇぇぇぇ!!』



俺が小さい頃の夢を語ると、エルダが俺の頭の中で大声で叫びながら泣き出し、このままでは俺の頭の中がクソ煩いし流石にちょっと可哀想になった為、俺はこのままダンジョンを進む事にした。



『可哀想だから24時間に1回くらいはチョロっとかけてやるよ (声を)』



『ダメェェェェェ!! もっとかけテェェェェェェ!! イッパイかけてェェェェェェェェ!! わたしが飽きるまでかけてェェェェェェェェェェェ!! お願いィィィィィィィ!!』



もし、この部分だけのやり取りを誰かが聞いてたら、盛大に誤解され、確実に俺はクズ扱いされる事は間違いなかった。



『と、取り敢えず、声もちょくちょくかけてやるから、スーツのレベルが上がって解放される迄、オマエは俺のスキルのコントロールでもしてろよ。 って言ってもどうせ選択肢はないか?』



俺がそう話し終えると、未だに大泣きしているエルダは、だんだんと泣き声をフェードアウトさせながら消えていった。




「・・・よし! 俺、やっぱりパン屋さんになろう!」




エルダの問題が解決したので (俺の中で) 、先程得たスキルを確認する事にした。




─────

橘花 雄太 (25)


ユニークスキル:

【擬装】 (アクティブ)

-【収納】 (アクティブ)

-【超越】 (パッシブ)

-【並列思考】 (パッシブ)

-【スライムスーツ】 (アクティブ) LV 9

<スライムグラトニーベース>

・身体強化 (パッシブ)

・同属察知 (パッシブ)

・同属捕食 (パッシブ)

・スライムナイト:硬化変形 (パッシブ) 衝撃吸収 (パッシブ)

・スライムソルジャー:斬撃変形 (パッシブ)

・スライムメイジ:膨張変形 (アクティブ)

・スライムスナイプ:狙撃変形 (アクティブ)

・スライムジェネラル:統率変形 (パッシブ)

・アーススライム:アースエンチャント (パッシブ) 土属性耐性 (パッシブ) 質量追加 (アクティブ) 無機物捕食 (アクティブ)

・エルダースライム:意思疎通 (パッシブ) 造形変形 (アクティブ)

・アシッドスライム : 溶解 (アクティブ) 溶解耐性 (パッシブ)

・ポイズンスライム : 毒爪 (アクティブ) 毒耐性 (パッシブ)

・ウォータースライム : NEW

─────



「・・・あの湖、 ウォータースライムって言うのか・・・  そのまんま過ぎて、なんの捻りもねぇな・・・」



雄太はウォータースライムと言う名前を確認し、スキルをポップアップさせる。



─────

・ウォーターエンチャント (パッシブ)

衝撃吸収力を高める。

・水属性耐性 (パッシブ)

・槍蕀 (アクティブ)

膨張から棘を発現させる。

・分離 (アクティブ)

膨張を分離させる事ができる。

分離した膨張は統率でコントロールできる。

─────



「これまた、まんまアイツが使っていたスキルだな」



雄太は先程まで戦っていた湖を思い出しながらスキルのポップアップに記載されている概要を読む。



「・・・って言うか、分離って・・・  あいつ、マジでツイてねぇな・・・」



折角、分離スキルが手に入り、エルダは雄太と膨張の紐で繋がる事がなくなったと言うのに、エルダはスキルのコントロールに捕われて発現で身体を持つ事ができず、全くもってツイてないとしか言い様がなかった。




キィィィィィィィィィィィィィィィ!!




雄太はふと、エルダがヒステリーをおこしている声が聞こえた様な感じがし、ハンカチを噛んで悔しがっている姿が脳内で容易に想像できた。


雄太は徐に腰からデバイスを取り出して時間を確認すると、既に夜の8時をまわっていた。



「そんじゃ時間も時間だし、さっさとスキルの検証しとくか」



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― 新着の感想 ―
[一言] 次回!エルダ死す!〜やっぱ子供の頃の夢って大事だよね〜 デュエルスタンバイ!
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