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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第1章 怒涛のダンジョン 編
33/290

33. ユーザーVSアーススライム 3

今日の3話目

土煙が晴れて視認ができたアーススライムの姿には、井尻だけでなく他のメンバーも同様に驚いており、全員が雄太が提供した情報の正確さをその身をもって知らされた。



「全員! 一箇所に留まらずにお互いがフォローできる距離で散開しろ! 先ずは左翼で触手を引き付けるぞ! その隙に右翼はタイミングを見て本体へと攻撃! 攻撃後はそのまま触手を引き付けろ! それを左右で繰り返す! 各自、触手には絶対に捕まるな!」



日向の指示によってパーティーは左右へと分かれ、湯川と井尻の穴を埋める為に入った日向がいる左翼では、プレートアーマーを着て大盾とメイスを持った巨体の倉田が、ガンガンと大盾をメイスで叩いて大声をあげながらアーススライムの意識を向ける為に挑発する。



「オラオラァ! こっちだデカブツ! かかって来い! お前の攻撃なんて効かないぞ  オラァ!」



アーススライムは倉田が鳴らす盾の音に反応し、日向の作戦通りに多数の触手が左翼へと伸びていく。



「回避ィィィ!!」



日向の合図と共に左翼のメンバーは多くの触手を必死で回避しだしたのだが、10を超え20に届くかと言う数の触手を全て回避することは容易ではなく、タンク役と言う重装備で動きが一際遅い倉田は、持っている大盾の中に身を隠す様に手前に引いて眼前に構え、触手の重い連打の猛攻を、盾を握る腕と、力強く踏ん張る足へと全体重をかけて受け止める。


触手の重い練撃に身体を飛ばされない様、地面へと根を張るかの様に踏ん張って耐えている倉田から、まるでプレートアーマーへと大きな岩がぶつかっている様な鈍く重い音が鳴り響いている。



「グフぅぅぅぅぅ!? なんて重い攻撃なんだ!? 誰でもいい! 早くコレをなんとかしてくれ! このままじゃ俺の身が持たねぇぇぇぇぇ!!」



倉田は、タンク役と言う相手の攻撃を一手に引き受ける役割にもかかわらず、触手の重い攻撃に対して自然と弱音が出てしまい、奥歯をギリギリと噛み締めながら必死の形相で触手の猛攻を耐える。


左翼が触手を受けたり躱したりしている中、右翼のメンバーはアーススライムへと接触して攻撃を開始する。



「【スラッシュ】!」


「【地断】!」


「【ファイアアロー】!」


「【アイスアロー】!」


「【エアロシュート】!」



ズザン!ズザッ!ズガン!ズガン!バガンッ!




2人から同時に放たれた剣と刀の斬撃によってアーススライムの触手が1本ずつ斬り落とされ、後方より放たれた野球バット程の大きさの細長く尖った氷と火の魔法によってアーススライムの身体を貫き、最後に風の塊を纏った矢によって1本の触手が弾け飛んだ。


攻撃を受けたアーススライムは、左翼のメンバーへと伸ばしていた触手を止め、今度は右翼のメンバーへと向けて伸ばし始めた。



「攻撃が来るわ! 全員散開して回避!」



触手が右翼へと方向を変えたタイミングで、後方に居た手に弓を持っている女性メンバーが右翼のメンバーへと指示を出す。


弓の女性の掛け声に合わせて右翼のメンバーは一気に散開し、各自で残った触手を引きつけながら回避を始める。


左翼にいたメンバーは、2、3分程度と言う短い時間、触手を引き付けていたと言うだけで、夥しい量の汗をかきながら酷く疲労しており、触手の攻撃を真面に受け続けていた倉田に関しては、プレートアーマーや大盾がボコボコになって全身ボロボロの状態で地面に片膝を着いて首を下げ、盾の中へと蹲った状態で沈黙していた。



「「「ハァハァハァハァハァハァハァハァ・・・」」」



「倉田ぁ! まだ、生きてるか!? 無理そうなら、井尻のところまで下がって、休んでいろ! ──ハァハァ。  残りは、攻撃に、 移るぞ!」


「「了解!」」


「グフッ。 ──りょう かい・・・」



酷く疲労してはいるものの、倉田とは違ってまだ動ける日向達3人は、アーススライムへと向かって攻撃を仕掛ける。



「【刺突】!」


「【ファイアアロー】!」


「【ファイアアロー】!」



ズガッ!ズガン!ズガン!



日向の槍でアーススライムの身体に穴を開け、佐々木と安岡が放った魔法はアーススライムの身体へと突き刺さる。


2本の火の魔法が身体へと突き刺さった事で、アーススライムはグニャグニャと苦しむ様に蠢いており、右翼のメンバーを追いかけている触手の動きがあらぬ方向へと暴れ始めた。



「効いてるぞ!? もう一度同じヤツいくぞ!」



日向は攻撃した位置から大きく移動し、再度刺突を放つ。



「【刺突】!」


「【ファイアアロー】!」


「【ファイアアロー】!」



ズガッ!ズガン!ズガン!



日向が刺突をアーススライムの身体へと再度放ったタイミングで、佐々木と安岡が魔法によって触手を1本ずつ落とし、触手を落とされた事で再度左翼へと触手が動き出す。



「来るぞ! 触手が届くギリギリの所まで下がれ!」



日向達3人は、最初の攻撃を受けた時に触手が届く範囲を見極めており、そのボーダーラインへと向けて移動を始める。


触手が日向達へと向かって動き出したタイミングで、こちらも触手を躱し続けた事でかなり疲労しきった右翼のメンバー達が、再度攻撃へと移る為にアーススライムに向かって距離を詰める。


右翼のメンバーが各自の攻撃が届く位置へと着いた瞬間、アーススライムから新たに発現された触手が至近距離で位置取っていた刀を持った男性ダイバーへと伸びて来た。



「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」



バキンッ!


ゴッ!


ズザザザザー




刀を持ったダイバーは、突然現れた触手を反射的に刀で受け止めるも、触手は刀をへし折りながらダイバーを横薙ぎに弾き飛ばした。


触手によって弾き飛ばされたダイバーは、地面を激しく滑っていき、そのまま意識を失った。



「緒方ぁぁぁ!?」



弾き飛ばされた緒方の近くにいた剣を持っているダイバーは、一瞬、緒方へと意識が行ってしまったせいで、再度アーススライムの身体から発生した触手への反応が遅れてしまい、触手の突きによってモロに腹部を強打されて壁際へと飛ばされる。



ボグッ!


「グボォ」


ズザッゴロゴロゴロゴロ



左右のダイバー達に対応しだした触手によって、現状、日向達は完璧に分断されている状態であり、このままでは確実に全滅すると言う事が全員の脳裏へと浮かんできた。



「クソっ! 仕方がない! 撤収するぞ! 各自近くにいる動けない者を回収しろ! 動けない者より遠くにいる者はサポートと援護に回れ!」



日向達3人の左翼は、触手を引き連れながらも右翼のサポートと援護へと向かう為に触手の届かない範囲を大きく回り込む様にして走り出す。


佐々木と安岡は走りながらアーススライムへとファイアアローを連続して放って右翼の援護をし、日向は最後尾で蛇行しながらアーススライムの攻撃範囲へ入ったり出たりを繰り返してアーススライムのタゲ取りを始める。


そのかいあってか、触手によって吹き飛ばされた2人は他のメンバーによって無事に救出される。


現在、戦えるメンバーは日向だけを残して後衛のみとなっており、触手の届く範囲から出たメンバー達は、眼前でグニョグニョと蠢く多数の触手を出しているアーススライムを疲弊しながら見つめていた。



「ふぅ〜・・・ 残ったのは後衛だけか・・・ こうなったら遠距離攻撃でヤツを仕留めるぞ。 ヤツは火属性の攻撃に対して過剰に反応していた。 攻撃の属性を火で統一しろ。 狙いはヤツ本体だ。 各自、ありったけの攻撃をぶつけろ」


“了解”



日向の新たな指示の為に、各自は其々が間隔を開けながら日向を中心にアーススライムへと向かって攻撃の位置に着き、日向が右腕を上げて指揮を執る。



「──ゥテェェェ!!」



日向が右腕を振り下ろした合図と共に、メンバーから放たれた多数の魔法やスキルがアーススライムへと向かって飛んでいく。





ドドドドドゴォォォォォォォォォォォォン!!





放たれた魔法やスキルは、その場にただ立っているだけで動かないアーススライムへと全弾命中し、土煙を上げながら一斉攻撃の威力を見せつけた。



「──テェェェ!!」



ドドドドドドドド!



「──テェェェ!!」



ドドドドドドドド!



「──テェェェ!!」



ドドドドドドドド!



・・・・・・


・・・・


・・




遠距離からの連続した一斉攻撃を繰り返す事数分、日向以外の遠距離攻撃を行ったメンバー達は、力を使い果たしたと言わんばかりに息を荒げ肩で息をして疲労しきっている。


日向達の眼前では、連続された一斉攻撃によってモクモクと土煙が激しく舞っており、アーススライムの姿が全く見えない状態となっていた。



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