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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第1章 怒涛のダンジョン 編
32/290

32. ユーザーVSアーススライム 2

少しでも自分がみんなの自粛の役に立てる様に今日は全部で3話出します。

おばちゃんから情報のすり合わせと新たな情報を入手した日向達は、ハロワの表にある狭くも広くもない駐車場へと向かって歩いて行った。


駐車場には日向達が乗って来た、いかにも専用車といった様な出立ちの黒いキャンピングカーの様なバスの様な大型の車が止まっており、日向達は「プシュー」と空気を吐き出す様な音と共に開いたドアから順に車内へと入って行く。


車内はなかなか広く、両端に長くベンチの様な椅子が設置されており、軍の護送車等で良く見そうな感じを思わせる様な内装で、大型のモニターやPC、ガラスボードといったものまでもが完備され、まるで司令室の様な感じでもあった。



「それじゃ、ダンジョンに潜る前に少しブリーフィングをする。 各自好きなところに座って私の話を聞いてくれ」



日向はガラスボードの前に立ち、各自に座る様に促した。



「各自、先程の春日所長の話を聞いた通りだ。 標的はアーススライムというスライム種のレアだ。 大きさは縦横3m程らしい。 まぁ、比較的大きなスライムってところだろうな? 標的はダンジョンの最奥にいて、地面にベッタリと張り付いている。 春日所長が言うには、最奥の広場に入る入り口から奥の壁へと向かって真っ直ぐに10m程進んだ所に標的はいるそうだ。 標的はリポップするらしく、本日、先行している者が既に倒していると予想されるが、我々はリポップしてる前提で万全を期して向かう事にする」



日向は後ろにあるガラスボードへと大まかな最奥の図を描き、アーススライムがいるであろう箇所へとバツ印を付けた。



「標的は、ちょっとやそっとの攻撃では見向きもせず、そのまま無視されるらしい。 よっぽどの大物か攻撃されている事にも気づかない様な低脳なんだろう。  クックックック──」



日向は自分が発した言葉がツボに入ったらしく、右手の甲で口を押さえながら笑いだした。


ダイバー達は何がそんなに面白いんだとシラけた様な目で日向を見つめ、ダイバーの一人が噛んでいた風船ガムが弾けた音だけが静かな車内へと響き渡る。



パンっ



「んんっ。 失礼。 それでだ。 今日はそのアーススライムの姿の確認と、可能なら接敵しながら弱点やパターンを探る。 余裕があれば討伐しても構わない。 どうせ次の日にはリポップするらしいから倒したとしても検証する時間はたっぷりある」



日向はガラスボードに描いてあるバツ印を囲む様に11個の丸を描いた。



「最奥へと到着後は、各自標的を囲む様に散開しながら時計回りで順に総攻撃を仕掛ける」



日向はキュキュキュという音と共に11個の丸の上から時計回りに大きな丸型の矢印を描く。



「それでも標的が反応しない様だったら一度広場の入り口付近まで下がって火力のある遠距離攻撃を仕掛ける」



ガラスボードには広場の入り口まで下がるという事を表す矢印が付け足された。



「それでは各自、調査の準備を始めてくれ。 30分後にはダンジョンへと潜るぞ」



日向が話し終えると、ダイバー達はサッとその場を離れ、車内の左右の壁に設置されているロッカーからそれぞれの装備を取り出し、ダンジョンへと潜る準備をし始めた。








ー30分後ー


ダンジョンゲートの前に日向をはじめとした10人のダイバーがフル装備で集まっていた。


今まで最弱扱いされていたスライムダンジョンに、フル装備でいかにも強そうなダイバー達が集まっているという異様な光景に、普段からやる気のない見張りの人は、『もしかして自分が何かやらかしたのでは』と気が気じゃなくなっており、ブルブルと震えながら直立不動で背筋を伸ばして立っていた。



「只今の時間は14時45分。 それではこれよりスライムダンジョンへと潜る」



日向は先程の小綺麗なスーツ姿とは違って、全身黒でまとめたSWATの様な重装備に身を包んでおり、手には重そうな長槍を持っていた。


日向を始めとして各自がリストタイプのデバイスをゲートへと翳しながら潜っていき、ダンジョンへと通じる地下へと向かって歩を進めて行った。


日向達がゲートを潜って階段を降りて行った後、動く事なく直立不動で立っていた見張り番は、滝の様に流れ出ている汗を腕で拭いながら『フゥ〜』と息を深く吐き、強張っていた身体の力を盛大に抜いた。



「・・・俺、  一言も声をかけられるどころか、全く見向きもされなかったな・・・・」




階段を降りてダンジョンとの境目についた日向達は、各々が剣や刀、弓や斧、槍や大盾といった様に武器を構え、臨戦態勢を取った。



「春日所長の報告では既に先行者がスライムを駆逐しているとの事だが、各自しっかりと周りの警戒はしておく様に。 我々はこれから一気に最奥へと向けて走り抜ける。 いつものフォーメーションで行くから各自ポジションに着け。    ・・・行くぞ!!」



日向が号令をかけると、日向を先頭にしてダイバー達は2列に並んで全力で走り出した。




流石はギルド本部から派遣されて来ただけの事はあり、雄太が先に駆除したモンスターがいないダンジョンを颯爽と走り抜けて行く。


日向達の走る速さは、速度にして雄太の全力より少し遅いくらいではあるが、それでもなかなかの速さで11人の集団がダンジョンの中を颯爽と走っている姿は凄まじい。




全力で走り続ける事40分前後でダンジョンの最奥が見え出し、日向達は一度最奥の手前で休息をとる事にした。



「フゥー。  各自、一旦ここで休息をとる。 10分後には最奥へと向かうから体は冷やさない様に気を付けろ」



流石に40分前後も走りっぱなしだった為か、全員の息が上がって大量に汗をかいており、各自が背負っているバックパックの中からタオルを取り出して汗を拭いたり、水を取り出して飲み始めた。


水を飲みながら息を整える者や、脚や腕を曲げたり伸ばしたりと軽くストレッチをする者、クールダウンの為なのか、水を片手に辺りをウロウロと歩く者といった様な感じで、各自でこれからに備えて身体の調整をしていた。


日向は水を飲みながら自身のバックパックから小型カメラを取り出し、ヘルメットの前方へと取り付けて撮影の準備をする。



「そろそろ時間だ。 これより最奥へと入るが、各自準備はいいな?」



日向は左手首にあるデバイスで時間を見た後に、ダイバー達一人一人の顔を見ながら視線による無言の返事を確認し、左掌をゆっくりと自身の肩より少し上へと上げて、最奥へと入った瞬間に手を振り下ろした。


日向が無言で手を振り下ろすと、ダイバー達は広い最奥の空間へと日向を中心にして円を描く様に散開していき、雄太が報告した情報の箇所を囲む様に距離を取る。


各自が距離を取りながら所定のポジションへと着き、標的のアーススライムへと向けてジリジリとゆっくりと詰め寄って行く。


標的まで3mというところまで近づくと、視線の先に下へと続く階段が無い事を確認した日向が、サッと左腕を上げて素早く指を鳴らした。




パチン!




日向が指を鳴らしたタイミングで、一番右端にいるダイバーから順に時計回りでアーススライムが居るであろう地面へと向けて連続して攻撃を仕掛けた。


日向達の攻撃は隙がないくらいに連携が取れており、同じ箇所へと連続して次々に仕掛けられた攻撃によって地面からはモクモクと土煙が立ち込め、時計回りの攻撃が一巡し終えると、日向達は素早くアーススライムが居るであろう箇所から距離を取って土煙が晴れるのを待つ。



・・・・・・



さぁ、出てこい。


今迄、人類を騙し続けていたその姿を現せ。



日向がギラギラとした目で土煙の先へと視線を固定していると、静かなダンジョン内に1人のダイバーの悲鳴が響き渡った。



「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」



日向は突然の悲鳴に何事かとメンバーに向け右端から順に目線だけを動かすと、1番最後に攻撃を仕掛けたダイバーが、土の塊の様な触手の様な得体の知れないモノに右脚を絡められて空中へと逆さに吊り上げられていた。



「な!?」



日向の左側に居た4人のダイバー達は、脚を絡められているダイバーの元へと救出の為に駆け寄り、日向のパーティーは左と右に分断される。



「右翼! 左翼へとスペースを詰めろ! このままでは分断されるぞ!」



瞬時に状況を把握した日向は、パーティーへと指示を出し、土煙を警戒しながら自身も左翼へと距離を詰める。



「助けてくれぇぇぇぇぇぇ!!  脚が、 俺の脚がぁぁぁぁぁぁぁ!」



直径15cmはありそうな太さを持った触手によって脚を絡めとられているダイバーの右脚は、ギチギチと脛当てを破壊されている様な音と共にグチャァ、グチャァと血を吹き出しながらゆっくりと締め付けられて潰されており、逆さになりながらも手にしている大剣で必死に触手を切ろうと斬りつけるも、逆さに吊るされているせいか、ガッ、ガッという鈍器で壁を叩く様な堅い音を鳴らすだけで振っている大剣には全く力が入っておらず、それを無視するかの様に触手はどんどんと更にキツく脚を締めあげていく。



「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」




ドチュッ!


ドサっ!


トサっ


ガランガランガラン・・・




触手に脚を絡められて空中で逆さに吊るされていたダイバーは、触手によって脛の箇所で脚を潰されており、膝から上と踝から下が脛を潰されて千切れた事で、自重を支えきれなくなったダイバーと足が地面へと落ちた。



「湯川ぁぁぁぁぁぁ! 佐々木と安岡は私を援護しろ!! 井尻は湯川を回収しながら後退して回復しろ!」


「「「了解!」」」



日向はパーティーメンバーへと指示を出した後、手にしている槍へと力を込めて握り、脚を潰された湯川が倒れている場所へと向かって走りながらスキルを発現させた。



「【身体強化】!」



身体強化を発現させた日向は、脚力が上がった事で地面を滑る様に走り、倒れている湯川の前へと瞬時に到着して触手へと向けて槍を構えた。



「「【ファイアバレット】!」」



日向が湯川の前に立つと、日向の左右からバスケットボール程の大きさでかなりの速度がある火の玉が、アーススライムへと向かって一つずつ飛んで行く。


佐々木と安岡が同時に放ったファイアバレットはアーススライムの触手へと直撃し、ファイアバレットの爆風によって土煙が流されて視界が開けた。


土煙が晴れた先には、アーススライムが直立しながら多数の触手を空中でグネグネとさせており、2発のファイアバレットを受けて損傷した触手は、アーススライム本体の方へゆっくりと引っ込んで行く。



「なんて事なの!? 本当にこんな所にモンスターが居たなんて!?」



湯川の身体を引き摺りながらゆっくりと後退していた井尻は、土煙が晴れた事でその巨体を晒したアーススライムの姿に驚愕する。



今日の2話目

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[気になる点] 主人公が、倒した最奥のアーススライムだけが、その日にリポップしているのは、矛盾していませんか?
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