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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第1章 怒涛のダンジョン 編
26/290

26. アシッドスライム

「なっ!?」


雄太は目の前の2層の光景に驚き、思わず声を上げてしまった。


雄太の目に映っている2層は、岩だらけで1本道の1層とは違って草原と湿地帯が広がっており、上を見上げると青空や太陽みたいなものがあった。


雄太の上空で太陽の様に輝いているものからは熱を感じる事もでき、まるで本物の太陽の様だ。


真夏日真っ盛りのダンジョンの外とは違い、2層の気候はまるで春と夏の間の様な心地良さを感じられた。



「なんじゃこりゃ~!? 一体どうなってるんだ!? ダンジョンの中なのに空も太陽もあって風まで吹いてるぞ!?」



2層の光景に驚いている雄太へと同じ光景を見ているエルダが喋りかけてきた。



『こんなので何驚いているのよ。 こんなのダンジョンでは当たり前よ。 序の口もいいところよ。 下に行けばもっと凄いとこだってあるんだから』


「マジかよ!? もっと凄いとこってここよりもどう凄いんだ!? って言うか、猛暑の外よりここの方が居心地がいいぞ!?」


『そんなにはしゃいでないで、ちゃんと周りを警戒しなさいよ。 2層は1層よりスライムの危険度は増しているんだから』



雄太はエルダに周りを警戒する様に促され、ダンジョンにいる事を思い出したのか、キョロキョロと周りを警戒し始める。



「オイオイオイ・・・ どんだけスライムが居るんだよここ・・・・」



雄太がスライム察知で確認した範囲には、1層とは比べものにならないくらいの量のスライムが居り、雄太のゴーグル内には逆三角形の赤いポイントが所狭しと密集して表示されていた。



『だから言ってるでしょ。 1層とは危険度が違うって』


「・・・マジかよ・・・ 狩り放題じゃねぇか!?」


『え?』



エルダは雄太が大量のスライムを示すアイコンを目の当たりにし、嬉々として喜んでいるおかしな状況に感覚が付いていけなかった。



『ちょ、ちょっとぉぉ!? なんでそんなに喜んでいるのよ!? コレだけの数のスライムが居るのよ!? 頭おかしいんじゃないの!?』


「馬鹿かオマエ? 鳥と同じ脳味噌なのか? 俺のスキルを忘れたのか? こんなのマジでボーナスステージじゃねぇか! ぶっちゃけ、ここで1週間くらい留まりてぇわ! そうすればどんだけスーツにスライムを吸収できて、どんだけ素材が手に入ると思ってんだ! 俺にとっちゃここは宝の山だぜ!   ヒャッハー!!」



雄太は1層と違って大量に居るスライムに歓喜し、両目が “$” へと変わっていた。



『そう言えばそうだったわね・・・ ユータのスキルの事忘れていたわ・・・』


「って事で、今からボーナスステージを始めます!! エルダ。 後2本追加でいけるか?」



雄太は現在発現させている6本の赤腕をさらに2本追加すると言うことをエルダへと伝えた。


『ユータみたいな2本しか腕がない人間と違って私は元からスライムなんだし、追加に関しては全然問題ないわ。 後2本くらい余裕でいけるわ』



と言う事で雄太の左右の腕に2本、背中に2本の合計4本を雄太で操り、エルダで6本という合計10本の赤腕を展開させた。


「沢山赤腕を発現させたのは良いが、かなり絵面がヤベーな・・・ 自分で言うのもなんだが、見た目が完璧に化け物じゃねぇか・・・」


『腕が沢山生えているという以前に、人間が無差別に有無を言わさずスライムを捕食している時点で人間辞めていると思うわよ・・・ 私も含め、捕食される方にとっては、ユータは恐怖の対象でしかないわ・・・』



エルダから人間辞めていると言う辛辣な宣言を受け、雄太は少しヘコんだ。



「辛辣な感想ありがとう!! だがしかし! スキルを解除すればコレまで通りの人間と同じだから俺は気にしない様にする! って事でボーナスステージ、張り切って行くぞ、オラァ!!」



雄太は今の自分の見た目に開き直り、赤腕を広範囲で広げながら走り出し、スライムを片っ端から狩り始めた。



「オラオラオラー!! 逃げるんじゃねぇぞコラァー!! 大人しく俺に狩られろやぁぁ!!」



雄太はまるで無双ゲームの様に狩れている大量のスライムに興奮し、喜びながら広大な草原を駆け抜けて行った。



『あんた、本当に人間辞めてるわよ・・・ 一体、どこの狩猟民族よ・・・』



2層の草原には1層と同じ青いスライムが大量にダラダラしており、雄太は探知で大量にスライムが居る箇所へと向けて突撃を繰り返していた。


2層に降りて3時間程スライムを無差別に狩っていると、草原に居たスライムは雄太とエルダによって狩り尽くされ、残すは湿地帯のみとなったタイミングでスライムスーツのレベルが上がった。




『スライムスーツノLVガ上ガリマシタ』




「お? スーツのレベルが上がったぞ。 って言うか、2層も1層と同じで普通のスライムばかりだな。 まぁ、変なヤツが現れるよりはその方が楽だから良いんだけど。 って言うか、エルダ。 2層の情報を教えろ。 オマエ何か知ってるだろ?」



雄太はスーツのレベルが上がったタイミングで休息を取る様に足を止め、収納から水を取り出して飲みながら、エルダへと2層の情報について何か知っていないかと確認する。



『う〜ん。 そうねぇ・・・ 大まかに言うと、ここは草原エリアと湿地帯エリアに分かれているわ。 草原エリアには1層と同じ普通のスライムが大量にいて、湿地帯エリアには普通のスライム以外にアシッドスライムとポイズンスライムってのがいるわね』


「アシッドとかポイズンって、なんて言うか、毒々しい名前だな・・・ ヤバイのかそのアシッドとポイズンは?」



水を飲み終えた雄太は収納からタバコを取り出して吸い始め、エルダから出てきた毒々しいスライムの名前に少し眉をしかめる。



『ユータなら大丈夫なんじゃないの? アシッドスライムは体液の酸が強くて触れるものをなんでも溶かすし、ポイズンスライムは身体全てが毒になっていて触れれば触れた箇所から即、毒に侵されるわね。 通常は遠距離攻撃で倒すのがセオリーかな?』



エルダから教えられた2種類の新しいスライムは、なかなかヘビーな感じであり、雄太は口角をヒクヒクとさせ、少し開きっぱなしになっている口からタバコの煙がモクモクとダダ漏れになっていた。



「マジかよ・・・ そんなの生身で触れたら即アウトじゃねぇか・・・」


『まぁ、生身で触れたらアウトだねぇ。 でもユータは膨張があるからヨユーでしょ?』



エルダが何を根拠に余裕と言っているのか雄太には分からず、とりあえず湿地帯エリアは全身を膨張で包みながら狩りをする事にした。



「因みになんだが、俺の膨張で酸や毒に耐えられると思うか?」


『雄太が直接触らなければなんとかなるんじゃないの?』


「そ、そうか・・・ 直接触れるってとこだけはマジで気を付けないとだな・・・」


って言うか、ここはエルダを発現させて先行させたり吸収してもらうしかないな・・・


肉壁作戦開始!



雄太は自身が直接アシッドスライムやポイズンスライムを触らない方法として、エルダを肉壁として発現させ、湿地帯を先行させる事にした。



「オマエも狩りに疲れただろ? ここで少し休んで行こうぜ。 飲み物やお菓子もあるから遠慮なく食べて良いぞ。 周りは俺が警戒しておくからノビノビと寛いでいいぞ」


『え? ホント!? ナニナニ気が利くじゃんユータぁぁ!! それじゃお言葉に甘えるとしますかぁ。 視界が広がって好き勝手に見れるって言っても身体を持っていたせいか、自分の行きたいところに行けないってのはなんか窮屈な感じがするのよねぇ』



雄太はエルダを発現させ、収納からお菓子や飲み物を取り出した。



「って言うかオマエって飲み食いできるのか? 味とか分かるのか? って言うか俺のスキルなんだよな?」


「味は感じる事もできるよ。 食べたものはそのまま雄太の膨張として吸収しちゃうから排泄物もないし、まぁ、嗜好品って感じかな?」



発現されたエルダは、大きく腕を広げて伸びをした後に雄太の横へと腰を下ろし、出されているポテトチップスやミルクティーを飲み食いし始める。


「美味っしー!! 人間の食べ物ってなんでこんなに美味しいの!? これは止められませんなぁ!」


「お?気に入ったか? そんじゃ、スライムダンジョンに一区切り付いて外に出た時に、色々と美味しいものを食べに行くか?」


「いいねソレぇ〜! そんじゃ、速いとこクリアするっきゃないね! 美味しいものの為に私も頑張っちゃうんだから!」


「おう、その勢いでどんどん頼むぞ相棒。 さすがは俺の頼れるパートナーだな! ダンジョンやモンスターの知識もあるうえに勇敢とか、流石はエルダー種だっただけはあるな! しかも容姿端麗とくれば、もう、完璧じゃねぇか! 全く隙がねぇわ! なんなら主従入れ替えて欲しいくらいだわ! こんな美貌の持ち主の奴隷になれるとか、マジでご褒美でしかねぇわ!」


「いやぁ〜。 ソレほどでも あ る け ど ねぇ〜。 って言うか、なんて言うの? もう、オーラを隠しきれないって感じ? 私からオーラが勝手にダダ漏れしちゃっているから抑えられないのよねぇ〜。 ソレに気付くとかユータもなかなかじゃないの? この勢いで私がユータのご主人様になってあげちゃうわよ〜」










ー10分後ー


「ヤダヤダヤダヤダぁぁぁぁぁ!! あんなの触れるわけないじゃないのぉぉ!! どぉ見ても私を溶かす気満々の色よアレっ! なんなのよあのケミカルな緑色は!? あんなの無理だって!! 無ぅぅぅ理ぃぃ!! なんで私がやらなくちゃいけないのよ!? ユータが吸収しなさいよ!!」


「いや、だってオマエ、俺のご主人様なんだろ? だったらご主人様らしくカッコいいところ見せてみろよ? まさか、ご主人様のくせにカッコいいところを下僕に見せられないなんて言わねぇだろうな? あんまり下僕を幻滅させるなよ。   ご しゅ じ ん さ まぁ?」


休息を終えた雄太とエルダは、草原エリアから湿原エリアへと入り、テンションが上がって調子ブっこいているエルダを先頭にスライムを吸収しながら先へと進んでいたところで件のアシッドスライムと遭遇し、今の酷い絵面の状況に至っている。


雄太は全身を膨張で包み込み、エルダを背後からガッシリとホールドしながらエルダの右腕を伸ばして掴み、アシッドスライムへと触れるか触れないかと言うところで壮絶な駆け引きが行われていた。



「無理だって! あんなの触ったら腕が溶けちゃうって! 私の腕が溶けちゃうぅぅぅぅぅ!! 嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁ!! やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ!! 溶けちゃうのぉぉぉぉぉぉ!!」




ピタ




「「あ」」




雄太に背後から羽交い締めで腕を掴まれ、精一杯アシッドスライムを触るのを凌いでいたエルダは、いきなりノソっと動き出したアシッドスライムによって雄太の羽交い締めを踏ん張っていた足を触れられた。



「「・・・・・・」」




ジュゥゥゥゥゥゥゥ〜〜




「・・・ギャァァァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 足がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 私の足がぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァ!! 溶けてるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!! 足ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!! 溶けるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」


エルダの足に触れたアシッドスライムは、エルダの足を溶かしながらその身を吸収されて縮小していき、エルダの足を踝まで溶かしたところでその身を消滅させた。



『スライムスーツニ新タナ能力ガ追加サレマシタ』



お読みいただきありがとうございます!

投稿し初めてまだ五日しか経ってないのに、皆様のおかげでランクやら何やらが色々とすごい事になってました!


そんな中恐縮なのですが、土日はストックを作成する為、次の投稿は月曜日になりますです。

今後とも何卒よろしくお願いいたします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ありふれた能力だけど、斬新なアイデア。 [気になる点] ありすぎて困る [一言] 先が気になるのは素晴らしい小説。 続き、楽しみにしてます。
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