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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第5章 世界と異世界 編
241/290

241. 可能性

ミカ、カミヨ、イズナの3人は早速打ち解け合うかの様に固まって話し始める。



「女子3人寄ればってのは本当なんだな・・・」



雄太の家の中の雰囲気は一気に明るくなり、雄太はむさ苦しい負のオーラが払拭された様に感じた。



「それじゃ、野郎どもは仕事するぞ」


「「はッ!!」」


「マスターはこの華麗なる俺に働けと言うのかい?」


「黙れ! この(笑)! お前が率先して一番働けよ!」



何処から取り出したのか、よしを(笑)は指と指の間に真っ赤な薔薇を挟んで持っており、少女漫画に出てきそうな王子様の様な装いで目を閉じてスンスンと薔薇の匂いを嗅いでいた。



「ギルフォード! 仕事に行くぞ! 後5分でアリアに別れを告げろ!」


『ま、マスター!? りょ、了解! 直ぐに支度をする!』


「支度ってなんだよ・・・」



雄太はギルフォードへと指示を出すと、自身も着替える為に部屋へと戻って行った。








─5分後─


ギルフォードが雄太の家へと到着し、ラセツ、ヤシャ、ギルフォード、よしを(笑)は家の前で集合した。



「よし! そんじゃ、出る前に状況の確認をする。 ジジイ。 聞こえるか?」



雄太は現状を確認する為に、ブレスレットを使って、先程送り返した木下へと連絡を取る。



『あぁ・・・  小僧か・・・』



ブレスレットからは、芽衣の辛辣な言葉に打ちのめされた元気のない木下の声が聞こえてきた。



「元気出せジジイ。 それがパパの登竜門だ。 ずっと娘とデートできるなんて夢や願望なんてさっさと捨ててしまえ! そもそも、父親の職業が勇者で、しかもギルドマスターとか、この世界じゃ痛すぎて、人生に闇を抱える様なもんだ! 未だに会って顔が見えるだけでも良かったと思え! 会話が成立して声を聴けただけでも幸せに思え!」


『うぅっ──    グスっ──』



雄太に、まるで、収容された凶悪犯罪者の様な扱いをされた木下は、嗚咽をあげながら泣き始めた。



「そんで、海の近くに到着したんだろ?」


『エグっ──  あ‘’ぁ‘’  ざっぎづいだ──』


「そんじゃ、今からそこに行くから。 ジジイをポイントに転移するから周りにスペース開けといて」


『ウグっ──  わがっだ』



木下へと転移すると言う事を告げた雄太は、ふぅ~っと軽くため息を吐いてスキルズへと視線を向けた。



「そんじゃ行くぞ。 下手したら魔族と戦闘になる可能性があるから気を引き締めろよ!  特にオマエ! 分かったな?」



雄太は、どこから取り出したのかフワフワのタンポポを撫でながら愛でているよしを(笑)へと向かってビシっと指をさした。



「分かっているよマスター。 1位は逃したが、俺とヤシャの連携を見せてあげるよ。 良いかいヤシャ?」



よしを(笑)はタンポポを指で優しく握りつぶしながらチラリと流し目でヤシャを見る。



「なんでタンポポ潰したんだよ。 ってか、さっきまで可愛がって撫でてただろうが」



雄太のよしを(笑)への突っ込みはそのままスルーされ、そして、ヤシャは不本意と言った様な様子を顔に表してはいるが、コクリと静かに頷く。



「それじゃ、ヤシャ。  存分に暴れてくれ。  【武器化】!」



よしを(笑)が変なポーズをとって何やら怪しげな言葉を口にした瞬間、よしを(笑)の姿が変形し初め、その身を三節棍へと変身させた。


よしを(笑)の姿が三節棍へと変わると、ヤシャはパシっと右手で三節棍を掴み、鎖に繋がって延びていた三節棍を棍同士が連なる様に軽く天へと突き上げ、1本の棍棒へと連結させた。



「・・・おまえ・・・  なんで道具に成り下がってんだよ・・・」



雄太は三節棍に変身したよしを(笑)にドン引きした。



『マスター! 俺は道具に成り下がって等いないぞ! 俺が意思のある生物兵器となる事で、相互間でプラスシナジーが生み出され、ヤシャのポテンシャルがとてつもなく引き上げられるのだ!』


「んな訳あるかぁ!」



雄太は、いきなり直接脳へと語りかけてきた棍棒 ──よしを(笑)── へと盛大に突っ込み、何か言えと言わんばかりにヤシャを睨みつける。



「お前、アレだろ? コイツと組んだ時に、邪魔だからって、コイツに無理やりこうさせたんだろ? 怒らないから正直に言ってみ?」



雄太が怪訝な顔でヤシャへと視線を固定させると、ヤシャは、言うのが気まずいのか、雄太の視線から逃げる様に顔を背けながら口を開いた。



「主の言う通り、 居ても役に立たないのならと言う事で、脅し、──ゴホン、ンンっ── 双方に益のなるような提案をしました」


「んで、結果がコレと?」


「はっ。 我は武器を欲し、コヤツは楽を欲し、互いの意思を尊重した結果がこれです」


「どうりで、あれだけ武器を欲しがっていたお前が1位になれなくても怒っていなかった訳だ・・・」



雄太は眉をしかめながらヤシャが手にしている三節棍へと視線を向けた。



「って事は、コレはお前が満足する武器って事で良いのか?」


「はッ!  この状態になる前のよしを(笑)は酷いモノですが、この状態になると、よしを(笑)が言っていました様に、我専用の武器として絶大な効果を発揮する事が分かりました」


「ほぉう。 お前にそこまで言わせるんだから、そうなんだろうが・・・」



雄太は考える様に腕を組んで顎へと手をやりながら三節棍のよしを(笑)へと声をかける



「使えないオマエがヤシャに褒められるとか、今世紀最大の奇跡だな。  って言うか、オマエ、ずっとこのままでいいんじゃね? って言うか、もうそのままでいろ」


『ちょっ!? え!? 無茶言うなよ!?』


「って事で、オマエ、これからはヤシャの武器な。 どうせコレ以外で役に立たなかったから、良い転職先ができて良かったな」


『転職先が棒って、どんな職業だよ!? ふざけんなよ!?』


「ヤシャ。 お前がコイツを好きにしていいからな」


「はっ!」


『はっ! じゃねぇだろ!! 何、同意してんだよ!?』


「我の許可なく元の姿へと戻ったら、その時は、この手で貴様を消滅させてやる。 分かったな?」


『分からねぇし、解れねぇよ!?  クソっ! こうなったら一回消滅してもう一度復活してやる!』


「ぬるいな。 貴様が元の姿へとなる度に、我が責任をもって消滅させ続けてやる」


『執着すんなよ! どんだけ粘着質なんだよオマエ!?』


 

ギャァギャァと言い合っているヤシャとよしを(笑)を観ていたラセツは、物欲しそうな、羨ましそうな顔でギルフォードへと視線を向けていた。


それに気づいたギルフォードは、ラセツと絶対に視線を合わせない様に明後日の方へと顔を向けていた。



「主ぃ。 ワシもアレが欲しいんだが」


「ギルフォードと話し合え」


「ちょっ!? マスター!? なんで私なんだ!? 私は武器になるなんて嫌だぞ!? よしを(笑)を皆で使いまわせば良いではないか!」


『言い方!?  ヒデーなオイっ!?  って言うか、そう易々とお前らには俺を使わせねぇからな! 俺をそんじょそこらの声をかければホイホイとついて行く様な尻軽ビ〇チと一緒だと思うなよ!』


「コレは我のだ」


「って事らしいぞ。  って言うか、仲間内で寝取り合いのドロドロのズブズブになるのだけはやめてね。 曜日を決めて順番良くするんだぞ」


『言い方っ!?  あんたが一番ヒデーよ!?  傍観してないで何とかしろよ!?』



よしを(笑)な棍棒は、皆の脳内で喚き散らした。



「仕方ねぇな。  そんじゃ、ラセツとギルフォードは、公平にお互いが交互に武器になればいいだろ? 要所要所で使い分けるって感じで?  どうせお前らの戦闘スタイルは違うんだし、そうすれば、互いの戦力アップにもなるだろ?」


「そうだな。 ワシはそれでもよい」



ラセツは同意を求める様にギルフォードへと視線を向ける。


ゴリゴリのラセツは拳を使った力押しの拳闘タイプで、ギルフォードは技を多用した剣士タイプであり、丁度と言うか何と言うか、2人は似たような近接戦闘スタイルであるため、二人が組めば、近接戦闘の幅が広がるのは間違いなかった。



「交互にと言うのであれば、問題はない?が・・・    本当に交互なんだな?  次にアリアに会う時に武器の姿でしか会えなかったら、流石に私も怒るぞ」



ギルフォードは怪訝な顔で雄太とラセツへと視線を向けた。



「まぁ、オマエは、どこかの駄目スライムや覚醒ナルシストとは違って、向こうの世界とこっちの世界についてを分かっている常識人だし、武器だけにさせておくのももったいないからな。  お前の存在は俺が保証するよ」


「絶対だな? 本当のホントだな?  信用するぞ?」


「あぁ。  安心して思いっきり力を示せ」



雄太の保証を得られたギルフォードは、ふぅ~っと息を吐いて渋々と言った感じで納得する。


同時に、よしを(笑)も自身の存在について確認するかの様に雄太へと質問する。



『え?・・・  じゃぁ、  俺は?』


「オマエはどうでもいいや」


『オォォォぉぉぉぉイ!?  扱い酷くね!?  俺だってマスターが立て込んでた時にハロワに行って、ちゃんとマスターになりきって仕事してただろ!?  しかも、身代わりで圧迫面接みたいなギルドの呼び出しにも出頭しただろ!?』


「そんなお使いみたいな事を自慢するな。  俺のコピーとしてお前を作ったんだから、そんなのできて当たり前だろ?   って言うかオマエにリンクしながら指示出して他の俺だからな?  オマエ一人でやったのってハロワ行って素材を渡してただけだからな?  それにオマエ、その後、捕縛した魔族の監視の時、ヤリクさんとこで思いっきりエンジョイしてたよなぁ?  皆が働いている時に一人でバカンスしてたよなぁ?  終いには、ギルドからの帰りに尾行されて、一時だがこの俺をホームレスにしてくれたよなぁ?」


『ぐぬっ!?』


「あのエルダでさえも、色々と戦いの時に役に立ったことがあるんだぞ?  って言うかオマエ、素材集めの時もずっとヤシャの武器になってたんだろ?」



雄太は確認する様にヤシャへと視線を向けると、ヤシャはその通りと言わんばかりに珍しく力強く首を縦に振った。



「ホレ? ヤシャが珍しく力強く頷いているぞ?  オマエ、珍しく喋れる伝説の武器って存在の方が、色々と有難みや利用価値があるっぽいぞ?」


『──グハァっ!?   ──俺の利用価値ぃぃぃぃぃ!!』


「オマエから武器化を取ったら、それこそ生まれてきてごめんなさいレベルの存在だぞ?」


『ブフォっ!?   ──俺の存在意義ぃぃぃぃぃぃ!!』


「って事で、オマエについては、ヤシャに任せる事にする。  ヤシャ、コイツの人化の権利はお前に任せるから、オマエの好きにしていいからな」


「ハっ!  ありがたき幸せ!」


『お前も、ハっ!  じゃねぇだろっ!?  ってかどんだけ嬉しいんだよ!?  力強く握りすぎだろ!?』



ヤシャは、雄太から託された、よしを(笑)の生死与奪に対して嬉しかったのか、目をキラキラとさせ、生き生きとした顔でよしを(笑)な棍棒をギュぅっと強く握る。

   


「よし。  これでスキルズもパワーアップできそうだし、なんだかんだで色々と連携も取れそうだし、同時にただ飯食いについても片付いたし、さっさとジジイのトコに行くとするか」


「「「ハっ!」」



雄太の見事な対処によってスキルズの戦力アップへと繋げることができ、こうして、個性の塊であったそれぞれのスキルズが上手く纏まり、今後の連携についても面白そうな兆しが見え始めたのであった。



『全然まとまってねぇよ!  って言うか、まだ話は終わってねぇぇ───』



こうして、よしを(笑)の悲痛な声だけがスライムダンジョンへと残され、雄太達は木下の下へと転移して行った。



そろそろ真面目に書きますです!w

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