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見参!スライムハンター  作者: だる飯あん
Part 1. 第5章 世界と異世界 編
210/290

210. 狂喜乱舞

綾香はダイダラへと向かって何度も斬撃を放つも、悉く斬撃が吸収されて斬る事が出来ずにいた。


「一体なんなのよアレ!? 私の斬撃が全く効かないんだけど! まるで巨大なスライムじゃない!」


ダイダラは、何度も綾香に斬られているが、その全ての斬撃と威力を吸収しており、まるで何事もないかの様に綾香へと向かって巨大な手をゆっくりと振り下ろして来た。


「クッ!? そんな遅い攻撃なんて当たる訳ないじゃない!」


湯屋の化身や大剣を身体へと取り込んだのを見ている綾香は、ダイダラの酷く遅い攻撃を絶対に受けずに必死で避けていた。


「そんな遅さに騙されないわよ! 掠っただけでもヤバいって事は分かってるんだからぁ! 無駄にデカすぎて避けるだけでもしんどいんですけどっ!」


綾香は愚痴りながらもダイダラの手を走って躱していく。


腰をかがめて低い態勢で腕を薙ぐ様に振るうダイダラの太く巨大な腕は、まるで、半透明のスライムの壁の様に、若しくは津波の様に綾香の背中を追いかける。


「斬撃が効かないなんて、私、詰んでるよねコレ!? 湯屋くぅぅぅぅぅぅぅん! ちょっと相手変わってよぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 組み合わせがおかしいからぁぁぁぁぁ!!」


綾香は背後から迫るダイダラの手を走って逃げており、自身とダイダラのミスマッチ具合について大声で湯屋の名前を呼ぶ。











一方、綾香に名前を呼ばれている湯屋はそれどころではなく、雄太までの道が開けた事で、焦る様に右手首にかけているチャクラムを回しながら雄太の方へと向けて集中していた。


「マジでコレで終わってくれよ! 【ウトパド・ヴァサヴィ・シャクティ】ぃぃぃぃぃ!!」


湯屋がスキルを唱えると、手首にかけて回っているチャクラムが青く光り輝き始め、光は次第にチャクラムの中心へと収束しながら湯屋の前方へと向かって伸びていき、まるで青く光輝く巨大な円錐形のランスとなった。


「【サムゥダヤ・ガンディーヴァ・サーカム・ヴァサヴィ・シャクティ】」


次の発言で湯屋の左手へと黄金の弓が現れ、手の中へと弓が現れると同時に弓を地面へと水平に傾けて左腕を前へと伸ばして半身となり、次に弓に矢を番える様にして突き出していた右手のランスを水平に胸の近くへと引き絞る。


右手のランスが最大まで引き絞られると、弓の両端から青い炎の様な雷の様なユラユラと揺れる弦が現れて右手のランスの柄と繋がる。


現れた揺れる弦がランスへと繋がると同時に、弦はピンと張って真っ直ぐになり、ランスの円錐形の後方から、ジェットエンジンから噴出される炎の様に青い稲妻が迸った。


「【プルラヨージャヤティ・ヴィジャヤ】!」


炎の様なランスの後方から噴出される稲妻が限界点に達したかの様に暴れ始め、



フッ──



湯屋は雄太を見据えて息を軽く吐くと同時に、引き絞ったランスからスッと指を離した。





ッ────────────────ィィィィン





湯屋から放たれたランスは、青い雷と炎を纏いながらも、静かに、そして寸分違わずに真っ直ぐに雄太へと向かって突き進む。


雄太は、湯屋から放たれた青いランスを見た瞬間、咄嗟に腰の短刀へと右手を伸ばして引き抜いた。




あの栗色チン毛頭っ! マジで巫山戯んなよっ! あんなの食らったらホントに死ぬぞ! 




湯屋は雄太を殺す気で自身の最強のスキルを放っているのだが、雄太は今頃になって危機感を覚えたのであった。


「【朱雀】!」


雄太が手にしている短刀は、一瞬にして炎の刀身を持つ薙刀の姿へと変わり、雄太は上段で構えると同時に、向かってくるランスへと向けて一気に振り下ろす。



──斬



「爆ぜろっ! 鳳凰っ!」


雄太が振り下ろした薙刀の頭身は、鳳凰の羽の様に燃え盛って肥大化し、まるで向かってくるランスをバクリと捕食するかの様に粘着く炎の渦の中へと包み込んだ。




瞬間






ド───


ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンン────




雄太と湯屋の間で大爆発が起きた。



「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」


「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ────!        ──ガハっ!?」


雄太は、瞬時に自身の周りへと土龍の盾を発現させて渦巻く爆風から身を防ぐが、爆風を防ぐ手立ての無い湯屋は、盛大に訓練場の壁へと吹き飛ばされて、無防備な状態で壁に背中から激突し、重力にしたがって地面へと落ちた。







いきなりの大爆発に対し、綾香は咄嗟に地面へと大剣を突き刺して、大剣を盾にしてその身を隠して渦巻く爆風を必死に耐えた。


「んんんんんんんんんん────!!」


綾香の目の前のダイダラは、まるでそこに実態が存在していないかの様に、爆風を受けてもユラユラと表面や背後の触手が軽く揺らいでいるだけで、ヌボーっと、静かに、ただ立ち尽くしている。


シスも雄太と同じく、自身の前へと土龍の盾を発現させて爆風を防ぎ、湯屋が壁へと吹き飛ばされたのを見て、縛鎖で捕縛している結衣をヒョイっと脇に持ち抱え、地面へと落ちた湯屋の方へと向かって行き、気を失っている湯屋を縛鎖で捕縛した。


『マスター。 2人目捕縛しました』


『よし。 ラス1だ! って言うかシスっ!? アイツ見てみろよ!? 大剣1本でこの爆発と爆風に耐えやがったぞ!? 大剣を地面に突き刺して耐えるとか、どんなイカれた脳筋女だよ!?』


雄太は大剣を地面に突き刺し、大剣の影に身を潜めて爆発と爆風を耐えた綾香に驚愕した。


『この隙に捕縛致しましょう』


『あぁ、ちゃっちゃとやってくれ。 怖すぎて引くわ』


シスは雄太に言われた通り、綾香を捕縛しようと地面から沢山の縛鎖の黒い鎖を伸ばす。


しかし、綾香は伸びて来た縛鎖に対して即座に反応し、大剣の柄の先へと飛び乗って縛鎖を躱すと同時に、そのまま大剣の柄を掴んで地面から引き抜きながら縛鎖の範囲外へと飛び逃れた。


『おい・・・ 見たかよ今の動き・・・ あんな重そうなデカい剣を片手に持って、スッゲー距離飛んでったぞ・・・ ありゃ、相当ヤベェーぞ・・・ アレでチカラの底上げに使ってるのが使い魔って、絶対嘘だろ・・・』


雄太は綾香のピュアとしての、ランカーとしての素のポテンシャルに驚愕した。


『このまま捕縛を続けます』


『俺も加勢する! あんなヤツは俺との距離があるうちに、さっさと捕まえるぞ!』


『ロジャー』


雄太とシスは、異常な動きをしている綾香を捉える為に地面から無数の蠢く縛鎖の鎖を嗾けるも、綾香は手にしている大剣を大振りに振り回しながら、まるで踊る様に悉く縛鎖を断ち切っていく。


今の状況を見ている人は、誰がどう見ても、黄金の鎧を身に纏った勇者の様な少女が、呪われてそうな漆黒の鎖へと勇敢に立ち向かって戦っている姿にしか見えないだろう。





しかし──





『ヤバいって、アレ・・・ マジでヤバいって・・・ アイツ、身体中に目でもついてやがんのかよ・・・ 何食ったらあんな事ができんだよ・・・ しかも笑ってんぞ・・・ 満面の笑みで笑ってやがんぞ・・・ 俺、あんなのとマジで戦いたくないんだけど・・・ ホント怖ぇんだけど・・・ アイツ、絶対にサイコパスだって』


綾香は、踊る様に大剣を振り回しながらも楽しそうに笑っており、動きながらもチラチラと雄太へと視線を向け始めた。


そう、綾香は、雄太とシスの2人係によって発現させている縛鎖の動きへと慣れ始めていたのだ。




『おい。 俺、今、アイツと目が合ったぞ・・・ って言うか、この状況の中、こっちをチラチラ見だしてるぞ・・・』


『思い込みなのでは?』


『絶対に目が合ったって! 俺、絶対にアイツと目が何回も合ったんだって! ・・・って言うか、 声出して笑い始めたぞ!? なんか、めっちゃ楽しみ始めてんぞアイツ!?』







「アハハハハハハハハハハハハハハハ── 楽しいよ! 楽しいよコレ! 今がすっごく楽しいよっ! アハハハハハハハハハ── 初めて本気になれたっ! 私、こんなに思いっきり動いたの初めてっ! キャハっ! 彼なら私の全力を受け止めてくれるかもっ!」


綾香は、雄太とシスの縛鎖を切り裂きながらもどんどん速度を上げており、今までは受ける様に斬っていた縛鎖へと、今度は自分から向かって斬りだし始めた。



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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公大口叩いた割にはショボい 他にも魔族はたくさん居るのに、たった3匹倒すのに何話使ってるの?
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